地域において担っている役割
当院は、慢性期以外の病床機能を有し、地域センター病院や地域救命救急センター、地域がん診療連携拠点病院の他、多数の指定を受け、365日断らない救急医療の実施や高度急性期から訪問看護、看取りなどの在宅・予防医療まで、幅広い医療を展開し中空知医療圏全体から患者を受け入れており、地域医療の充実を図っております。また、大学病院との連携や、圏域内の医療機関、行政、介護事業所、薬局等と連携し、地域包括ケアシステムの構築を推進しております。
経営の健全性・効率性について
・「経常収支比率」は。新型コロナウイルス感染症に伴う補助金で一定程度補填されたものの、「医業収支比率」は病院改築に伴う建物、器械備品の減価償却費が多額であること、診療制限や、患者の受診控え等が影響し100%を下回る厳しい状況にあります。・「病床利用率」は、新型コロナウイルス感染症による影響により平均値を下回っていないものの低い病床利用率が継続しています・「入院患者及び外来患者1人1日当たり収益」は、外来については平均値を下回るものの職員が一丸となって増収対策を行っていることから年々増加しているところです。・「職員給与費対医業収益比率」の増加は、現行の診療報酬に係る政策が、技術や人的サービスに再配分され医師、看護師等を増員し、医療提供能力を向上させることで診療単価の増加を目指す方向へ変化してきており、目まぐるしく変化する医療情勢に素早く対応するため、医療スタッフを確保していることもありますが、新型コロナウイルス感染症による医業収益の悪化が影響しています。・「材料費対医業収益比率」は、薬価の引下げや高額な抗がん剤等を使用する患者の増加もありますが、高度急性期医療を担う当院としては避けては通れない問題でありますので、今後においてもベンチマークなど活用し購入価格の見直しに努めて参ります。
老朽化の状況について
当院は10年前に改築事業が完了しました。①有形固定資産減価償却率、②器械備品減価償却率が年々高い数値となっているのは、改築時に更新等行った医療機器が耐用年数に近付いている、または超過しているものですが、平均値を下回っているところです。③1床当たり有形固定資産においては高い数値となっていますが、当院の役割から、感染症対策や放射線機器をはじめとする高額な医療機器については、高度化する医療等に対応するため計画的な投資を行っているもので、今後においても計画的、効率的な投資に努めて参ります。
全体総括
令和3年度は、未だ終息が見えないコロナ禍の中、職員の創意工夫による感染症対策強化と医療提供体制の両立を図りました。収益では、前年度の新型コロナウイルス感染症による手術や検査の延期、患者の受診抑制などの影響が緩和され、診療収益は持ち直しつつあり、新型コロナウイルス感染症に伴う補助金により一定程度補填されたところです。費用では病院建設に係る企業債の元利償還金や減価償却費などが計上される中、経費縮減等に取組み、前述の要素もあり純利益を計上しました。キャッシュ・フローでは資金が増加し、引き続き厳しい経営状況ではありますが、医療圏における中核病院として安定的、継続的な医療を提供するべく、経営基盤の強化を図り、今後においても健全経営に努めて参ります。