経営の健全性・効率性について
行政区域内人口の減少、大口需要者である工場等の使用水量の減少により、給水収益は減少傾向にある。安定した収益が減少している中、千葉県、構成市町村からの高料金対策による補助金・負担金等により、経常収支の均衡を保っており、経常収支比率は、100%を大きく上回ることがない。また、既設水道を統合し給水を開始したことにより、老朽化した施設が多く存在しているが、建設改良事業に係る費用を、企業債の借入れに依存しており、企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均値を大きく上回っている。地勢上、水源を、高額となる利根川水系の用水供給団体からの受水により賄っており、高額な給水原価を供給単価で賄うことができず、料金回収率が、80%と低い状況となっている。当水道事業は、給水区域に農村部を多く抱え、配水管布設延長に対し配水量が少ないことから施設利用率が、類似団体平均値を下回っており、老朽化した配水管により、無効水量(漏水量)が多く、経営の効率性を損なうこととなっている。
老朽化の状況について
昭和55年に既設水道事業を統合し、給水を開始しており、老朽化した施設が多く、有形固定資産減価償却率、管路経年化率が類似団体平均値を大きく上回っている。特に管路に関しては、現在、石綿セメント管の更新事業を主要施策として実施しているが、他の既設水道事業時代に埋設された塩化ビニル管等の老朽化が進み漏水事故等が多くみられることから、管路の耐震化に併せ老朽化した管路の更新工事を年間6.7㎞実施する予定である。また、浄水場などの水道施設についても、既設水道事業時代の施設を修繕し使用しており、大規模な改修工事が必要となっている。
全体総括
安定した経営を図るためにも、経常費用の5割以上を占める受水費の削減が必要である。高額な給水原価の配水損失を防ぐため、類似団体平均を下回る有収率の向上が急務であり、漏水調査の計画的実施や老朽化した管路の更新工事を実施する予定である。また、配水量の減少から低迷する施設利用率を考慮し、建設改良工事を計画的、効率的に実施するため、ダウンサウジングを含めた水道施設の再構築が必要となっている。