市川市：リハビリテーション病院

地域において担っている役割

「市川市に寝たきりの人をつくらない」ことを基本理念として、平成１０年に開設して以来、良質で安定した回復期リハビリテーション医療を提供している。医療スタッフやその知識、スキルの蓄積を通して、地域における回復期リハビリテーション医療を牽引するなど地域医療に貢献している。

経営の健全性・効率性について

経営の健全性を示す経常収支比率については、平成２６年度から未処分利益剰余金を活用したこと、さらに２８年度は大学医局による医師派遣終了による入院制限等により数値が悪化しているが、それ以前は概ね１００％以上を保っていたため、累積欠損金は発生していない。病床利用率と入院患者１人１日当たり収益、材料費対医業収益比率が類似病院よりも良好な数値を示しているにもかかわらず、医業収支比率が低くなっている。これは職員給与費の高さが影響している。良質な医療を提供するためには、優秀な医療スタッフの確保が大事であるが、医業収支比率を大きく改善するためには、職員給与費の見直しが必要である。また、病床利用率を高めて医業収益を改善するため、２９年度より地域医療連携室を設置して入退院調整を強化してきたが、さらなる連携の充実が必要である。

老朽化の状況について

施設譲渡を前提として、平成３１年度からの民営化を予定しているため、計画的な更新計画等は作成していない。しかし、民営化にかかわらず、快適で安全な入院環境等を維持する必要がある設備の更新、例えば、空気調和設備の更新などは優先的に進めている。

全体総括

開設以来、回復期リハビリテーション専門病院としては、比較的堅調な運営を行ってきた。しかし、平成２８年度の大学医局による医師派遣終了を契機として、病院運営に必要な医師を継続的、安定的に確保することが困難な状況となり、３１年度から民間法人に病院運営を移譲することとなった。直営のままでは医業収支比率の劇的な改善は困難な一方、今後も回復期リハビリテーション医療の需要は増大していくことを考慮すれば、民営化に踏み切ることはやむを得ないと考えている。