地域において担っている役割
本市は、海岸部から四国カルストの高地までの広大な面積を有し、市内全域に集落が点在していることから、西予市民病院・野村病院の2病院を運営することにより、24時間365日の二次救急医療(輪番制)を行っている。市内に他の二次救急病院が存在しないため、救急医療において、当院及び西予市民病院の担う役割は大きい。また、県のへき地医療拠点病院の指定を受け、大規模災害時には医療拠点としての役割も期待される。
経営の健全性・効率性について
【①経常収支比率・②医業収支比率・③修正医業収支比率】令和4年度からの病床数削減の影響により収益が大幅減少し収支比率が悪化している。引き続き、在宅療養支援病院として地域住民に寄り添った在宅医療の取り組みにも力を入れていく。【④病床利用率】病床の有効活用に努めたことにより平均値を9.7%上回っているが、引き続き利用率向上に努めていく。【⑤入院収益単価・⑥外来収益単価】入院・外来ともに平均値を上回っている。引き続き、診療加算の取得等により収益上昇に努める。【⑦職員給与費対医業収益比率・⑧材料費対医業収益比率】病床数削減による収益減少の影響でいずれも平均値を上回っている。適切な施設基準の取得や職員配置のほか収益確保にも努める。
老朽化の状況について
【①有形固定資産減価償却率】平均値を超える水準で推移している。経年比較でも数値が上昇しており、平均値を15.3%上回っている。資産の老朽化を示しているため、より適切な更新計画や長寿命化が必要となる。【②器械備品減価償却率】平均値を3.8%上回り、器械備品の老朽化を示しているため、今後も適切かつ計画的な更新に努める。【③1床当たり有形固定資産】令和4年度より病床数を削減したことから、平均値を大きく上回った。今後は、老朽化対策を含め慎重な投資計画が必要となる。
全体総括
令和4年度からの病床数削減が特に収益面において経営に大きな影響を与え、経常収支比率は100%未満、単年度赤字を計上している状況である。今後は在宅療養支援病院として地域住民に寄り添った在宅医療の取り組みに力を入れていくほか、診療車による巡回診療や国保診療所への医師派遣等により地域の医療確保にも尽力していく。医療に従事する人員不足はいっそう深刻な状況にあり、平成28年より奨学資金制度を創設して医療スタッフの確保に努めているところである。将来にわたり地域医療を守るためにも、指定管理制度の導入が令和6年7月臨時議会において可決されたことから、令和7年4月からは病床を西予市民病院へ集約し、野村病院を無床診療所とすることとなっている。