地方独立行政法人府中市病院機構：府中北市民病院

地域において担っている役割

当該地域唯一の病床を有する病院として、救急・外来・入院から訪問診療・訪問看護まで、在宅生活を支える医療・介護サービスを提供している。また、地域に不足する診療科として小児科・婦人科・耳鼻咽喉科・皮膚科・泌尿器科・外科医療を大学の協力のもと提供しており、令和３年４月から新たに眼科診療を開始する予定である。訪問診療、訪問看護の他にも、訪問リハビリ、通所リハビリや定期巡回随時対応型訪問介護看護事業、サービス付き高齢者向け住宅の運営をしており、行政や介護事業所と協力し地域包括ケアの推進のための取り組みを行っている。

経営の健全性・効率性について

②医業収支比率は前年度と同程度で推移している一方、①経常収支比率が大きく改善しているのは、第3期中期計画策定時に運営費負担金算定方法が整理されたことが影響している。③累積欠損金比率は法人内での運営費負担金の按分額が変更されたことに伴い改善している。④病床利用率は昨年度と比較して減少している。新型コロナウイルス感染症の流行による受診控えやインフルエンザ患者の減少などの影響が考えられる。⑤入院単価は令和2年5月から看護職員夜間配置加算の届け出等により増加している。⑥外来単価は訪問事業の収益増等により改善しているが、類似病院平均値には至っていない。⑦職員給与費対医業収益比率は平成26年度の病棟再編後の人員配置の効率化や医業収益の増加により前年度と比較して改善しており、類似病院平均も下回っている。⑧材料費対医業収益比率は、類似病院平均を下回っている。コストの大きい治療が類似病院と比較して少ないということが考えられる。

老朽化の状況について

①有形固定資産減価償却率は、類似病院平均を下回っている。当院は、病院の本館を平成10年度に建て替えており、類似病院と比較して建物は新しいと考えられる。②機械備品減価償却率は、令和元年度にMRIを始めとした医療機器の多くを更新した為、類似病院平均を下回っている。③1床当たり有形固定資産は、令和元年度にサービス付き高齢者向け住宅改修工事を行い増加したが、それでも類似病院平均を下回っている。

全体総括

府中北市民病院は、高齢化の進展が著しい府中市北部の中山間地域において唯一病床を有する救急告示病院として、救急医療から在宅支援までの診療機能の確保・提供に努めるとともに、安心して地域の高齢者が生活できるよう住民の健康を維持し、日常生活を支える医療・介護サービスの提供に努めている。地方独立行政法人への運営形態変更後８年が経過する中で、いち早く地域の人口動態に即した病床機能の再編（病床数の削減及び回復期への集約化）を実施しており、可能な限り長く現状の医療機能を維持しつつ訪問系医療・介護サービス及び安心な住まい（サービス付き高齢者向け住宅）の提供に務めることで、地域の高齢者の安心・安全な在宅生活を支える（＝上下地域における地域包括ケアの拠点）という病院の役割は明確になっている。令和2年度は新型コロナ流行で医療現場が混乱する中でも経常収支比率の改善が図られていることから、引き続き在宅支援機能の強化と経営改善に取り組んでいきたい。