涌谷町：涌谷町国民健康保険病院

地域において担っている役割

町立の病院として、一次・二次医療（急性期の一般患者（内科疾患）や在宅療養患者の受入、医療依存度の高い患者の在宅復帰支援、急性期病院からの受入）の提供、救急告示病院として２４時間体制で可能な限り患者の受入を行ってきた。また、併設する老人保健施設や訪問看護ステーションとの連携を図り、切れ目のない支援を提供し、地域医療の中心的な役割を担っている。

経営の健全性・効率性について

経常収支比率は、類似団体の平均値と比べて低い状態が続いている。また、累積欠損金比率は平均値以下を維持しているものの上昇傾向にあるため、経営状況としては厳しい状態が続くことが予想される。今後も改革プランを基に、医師の確保や入院・外来患者様対しての医療サービス向上に向けた体制の見直しと、更なる費用の削減が必要である。外来患者１人１日当たりの収益は毎年上昇傾向にあり、病床利用率はこれまで７０％を切らずに平均値より高い状態を維持しているため、次年度以降も継続していきたい。しかし、入院患者１人１日当たりの収益は平均値を大きく下回っているため、入院収益の確保に向けて工夫をしていく必要がある。

老朽化の状況について

有形固定資産減価償却率が全国平均及び類似団体と比べ高い状態が続いている。現状の施設としては空調機器の不具合や給排水管等の経年劣化による漏水等で設備の修繕箇所が増加し、診療やその他の業務に支障をきたすことが多くなっている。全体的な状況を踏まえ、大規模な改修工事を視野に入れる時期ではあるが、現状としては財源の確保が難しく計画的に設備更新を行うことも困難である。しかし、今後における大きな支障を未然に防ぐために、今の計画を見直し、効率的に施設・設備の更新を検討していく必要がある。また、機械備品については法定耐用年数を越えて使用している医療機器が大半を占める状況にある。医療安全の管理上、メーカーの保守期間を過ぎた機器に関しては、更新が必要となるため、今後も優先順位を決め、計画的な予算措置等が必要となる。

全体総括

現状としては病院全体として厳しい状況にあり、さらに状況が悪化することも十分考えられる。今後は地域医療の役割を考慮しながら、医師確保に向けた取り組みと他病院との更なる連携を強化し、収益の増加を図る。併せて施設の設備と機械備品の投資計画を見直し、今の医療体制を維持するとともに、将来を見据えた効率的な更新を進めていく必要がある。