経営の健全性・効率性について
「収益的収支比率」は、下水道使用料や一般会計からの繰入金等で維持管理費や地方債の償還額をどの程度賄えているかを示す指標であります。当該指標は数値が100%以上の場合、単年度の収支が黒字であったことを表します。しかし、本町の平成28年度の決算数値は80.25%であり、単年度の収支が赤字であったことを示しております。その原因の1つとして、「汚水処理原価が高いことが挙げられます。当該指標は汚水量1㎥当たりの処理費用を表すものであり、現在の使用料水準(1㎥当たり175円)を大きく上回っております。また、本来使用料で汚水処理に係る費用(建設費+維持管理費)を賄うこととされていますが、現在の使用料水準では80%程度しか確保できていない状況が「経費回収率」からも分かります。「企業債残高対事業規模比率」は、料金収入に対する企業債残高の割合であります。現在、更新工事等の投資を継続しておりますが、当該指標は他の類似団体と比較し低水準であり、減少傾向にあることから、適切な投資ができているものと思われます。「施設利用率」は、他の類似団体と比較し、やや高いものの、65.98%であり、処理能力が過大となっております。これは下水道事業の当初計画より、人口、流入水量ともに減少傾向にあることに起因していると思われます。このような現状を是正するため、使用料の見直しや、計画処理能力の適正化を検討してまいります。
老朽化の状況について
美幌町の公共下水道事業は、管渠は昭和48年度から、処理場は昭和51年度からと道内では比較的早くから事業に着手しております。施工後約40年を経過しており、経年劣化により管渠、処理場設備ともに不具合が増加傾向にあることから、毎年度修繕計画を立て、その計画に基づき、効率的な維持管理に努めてまいります。また、処理場機械・電気設備については、平成25年度より、社会資本整備総合交付金を活用しながら計画的な更新工事を行っております。今後も定期的な調査、点検を継続し、事故の未然防止や経費削減に努めてまいります。
全体総括
現在の使用料水準は、4,492円/月(一般家庭の20㎥当たりの使用料)であり、他の類似団体と比較し、極めて高い数値であります。しかし、汚水処理原価がそれ以上に高いため、経費回収率からも分かるように、使用料のみでは賄いきれておらず、一般会計からの繰入金に依存している状況であります。また、有収率(処理した汚水のうち、使用料の徴収対象となる有収水の割合)63.28%と低く、処理場に流入する水量の約37%が不明水であります。このような状況を是正するため、使用料の見直しを検討するとともに、管内内部のカメラ調査等を実施し、計画的な更新を図り、使用料収入の向上に努めます。また、経年劣化により不具合が増加傾向にある処理場設備についても計画的な更新を実施してまいります。