経営の健全性・効率性について
長沼町の公共下水道は大都市と比較して、管渠延長に対しての住宅密度が低いため、整備費及び維持管理費を賄う経費の全てを使用者に負わせるのは難しい状況である。現状としては中心地及び既に住宅が建っている地域の下水道整備はほぼ完了しており、今後先行投資的なものは行わない予定である。※分析欄【収益的収支比率】近年約5%前後の上昇傾向にある。地方債残高は毎年減少傾向にあり、料金改定に伴い一般会計からの繰入金額も減少する予定であるため、今後は収益的収支比率は上昇していく見込みである。【企業債残高対事業規模比率】類似団体より低い水準となっている。下水道整備はほぼ完了しているが、令和2年度から行っているストックマネジメント計画による更新工事のため、起債借入を行い企業債残高は増加している。企業債残高対事業規模比率も増加している。【経費回収率・汚水処理原価】汚水処理費が増加したため、経費回収率は減少、汚水処理原価は増加した。処理場の維持管理の民間委託や使用料徴収委託によって経費削減に努めている。【施設利用率】類似団体より高い水準となっている。水洗化率が高いため、平均処理水量も多くなっていることが要因となっている。【水洗化率】類似団体より高い水準となっている。今後も更なる普及率の向上を目指し水洗化の促進に図っていく。
老朽化の状況について
長沼町の公共下水道は、平成元年に供用開始をしている。管渠については供用開始から30年程度のため管渠の更新や老朽化対策を実施していないが、令和2年度からストックマネジメント計画により、調査診断・更新工事を逐次行っている。処理場の施設については令和元年度まで長寿命化計画を行い、令和2年度から設備の経年劣化があるものについて、予防保全的に主要部品の交換等を行うストックマネジメント計画により機器の延命を図っている。
全体総括
長沼町の公共下水道については他の類似団体と比較して経営の健全性・効率性は高い水準とはなっているが、一般会計からの繰入金や起債の借入によって収入の大部分を頼っていることが現状である。近年の人口減少や節水効果のため有収水量の増加を見込むのは厳しく、令和4年度より料金改定を行い、使用料収入の増加を想定しているが、起債償還金等を補うことが出来ないため、料金水準の適正化による料金改定を継続的に検討していくことが必要であると考える。また、水洗化の促進による使用料収入の増加、徹底した経費の見直しや削減を先行して行っていき、事業の効率的な実施と経営能力の向上を図っていくことが課題である。