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地方財政ダッシュボード

愛媛県四国中央市の財政状況(2019年度)

🏠四国中央市

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2019年度)

財政力指数の分析欄

全国有数の製紙工業都市として、紙加工業などの紙関連企業も多く、市民の大半が何らかの紙関係の仕事に従事しており、活発な地場産業に支えられ比較的財政力に恵まれている。令和元年度財政力指数は、固定資産税等増収に伴い基準財政収入額が増であったが、基準財政需要額も増となったため前年度より0.1ポイント低い0.75となっている。依然として類似団体平均や愛媛県平均より上回っている。しかし、産業構造が「紙」に特化した単一構造のため、原油高や円安と言った外的要因を受けやすく脆さも併せ持っている。また、近年低下傾向にあるため、第二次総合計画に沿った施策を重点的に実施することにより活力のあるまちづくりを展開しつつ、行政の効率化に努めることにより、財政の健全化を図る。

経常収支比率の分析欄

平成19年度以降大幅な経常的経費の削減を進めた結果、最も数値が悪かった平成18年度決算の96.4%と比較すると改善されてきた。しかし、平成30年度決算では87.4%であったが、令和元年度は、公債費や人件費、扶助費などの義務的経費が高止まりする中、分母となる地方税や地方交付税などの経常一般財源収入が減少したことにより、昨年度より1.4ポイント上昇し88.8%となり、比率は年々悪化している。今後、普通交付税合併算定替終了の影響や合併特例債の元金償還が本格化するなど、さらなる財政の硬直化が進むことが予想されることから、積極的な繰上償還の実施や、選択と集中による経常経費の削減を図りながら現在の水準以下を目標に取り組む。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

類似団体平均を上回り、かつ上昇傾向にある要因として、令和元年度に実施したプレミアム付商品券事業や市民文化ホール開館に伴う開館準備・管理委託等、学校ICT環境整備に係る端末購入費などにより物件費が増加し、人口1人当たり人件費・物件費等決算額も7,613円の増となった。定員管理及び給与の適正化による人件費の抑制に努めるとともに,民間委託等の推進や指定管理者制度の活用などによる物件費の抑制に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

前年度より0.3ポイント上昇し98.3で、類似団体平均とほぼ同じ水準である。定員適正化計画に基づき適正化を進めてきた結果、採用抑制によって世代間のアンバランス解消が課題となっているが、引き続き人件費の抑制に努め本市の財政状況等を踏まえた給与水準の適正化等に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

合併に伴い一部事務組合職員の身分を新市に引き継いだため、平成16年度は職員数が1,270人と類似団体平均に比べ約200人超過していた。定員適正化計画に基づき適正化をすすめたことにより職員数は減少してきたものの、類似団体と比較しても依然高く推移している。また、採用抑制や再任用制度の開始により世代間のアンバランスが生じており、将来に渡って安定的に業務を遂行できる職員配置が急務となっている。短期での大幅な減員が見込めない状況にあるが、施設の統廃合・民営化など行政のスリム化により抑制を図る。

実質公債費比率の分析欄

最も数値が悪かった平成19年度決算における実質公債費比率は20.7%であった。令和元年度は8.6%と確実に改善されてきているが、類似団体平均6.6%と比べると依然高い数値となっている。継続事業については容易に市債に頼ることなく適正な事業量を執行していくよう努めるとともに、減債基金の積立額を確保し繰上償還を行う等、地方債残高の縮減に取り組み類似団体の平均水準を目指す。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率を算定する際の分子となる公営企業債等繰入見込額が減少したものの、新庁舎建設事業などの大型建設事業の実施に伴う合併特例債の発行などによる一般会計等における地方債残高の増加により、前年度と比較して3.8ポイント増の108.0%で、類似団体平均の25.5%と比較して依然高い水準である。合併後の新市建設計画に基づいた大型建設事業については令和元年度で概ね終了したことから、今後は将来負担比率の低減に向け、借入額の抑制や財源の確保を図るとともに、減債基金や特定目的基金の積立等により財政健全化に努め、類似団体並の将来負担比率を目標とする。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)

人件費の分析欄

平成18年の32.5%をピークに定員適正化計画を進めた結果、類似団体平均に近づきつつあったが、平成25年度の7月から3月まで国家公務員給与減額措置に応じて実施した減額分を平成26年度に復元したことの影響が続いていることや、平成29年度より特別会計閉鎖による職員給の増により、令和元年度は類似団体平均より2.1ポイント高い数値となっている。施設の統廃合やアウトソーシング、事務量の把握と精査による効率的な人員配置を行いながら、給与水準の適正化に努める。

物件費の分析欄

類似団体との比較においては概ね中間に位置しており、前年度と比較して0.6ポイント上昇の15.3%で概ね横ばいに推移している。施設の維持管理経費、アウトソーシング等による委託料等の増加が見込まれることなどから、類似施設の統廃合、事業の選択と集中を図ることが急務となっている。今後もコスト削減を進めながらもサービス水準の向上を図るため計画的な財政運営に努める。

扶助費の分析欄

前年度と比較して0.2ポイント低下の11.0%で、類似団体との比較においては、概ね同水準となっている。扶助費の経常一般財源については、生活保護費や障がい者福祉サービス費、施設型給付費等の恒常的な高止まりに加え、平成27年度から実施した子ども医療費の完全無償化の影響や平成29年度より直営であった養護老人ホームを民間移譲したことによる老人ホーム入所事業費の増などにより上昇傾向となっている。国の制度に基づくものが大半であるが、資格審査等の適正化を進めていくことで、上昇傾向に歯止めをかけるよう努める。

その他の分析欄

その他に係る経常収支比率が前年度と比較して0.4ポイント上昇の12.4%となっている。類似団体平均の13.7%と比較して下回っているが、上昇傾向にある。繰出金については、介護保険事業や後期高齢者医療事業特別会計の給付費の増加や、国民健康保険事業の加入者の高齢化、医療技術の高度化などに伴う医療費増加によって国民健康保険事業特別会計の財政悪化も懸念されることから、歳入歳出の適正化を図ることにより負担増加を抑制する。

補助費等の分析欄

類似団体との比較では大きく平均を下回っている。これは合併により市町村で構成されていた一部事務組合が解散になり多額の負担金が不要となったことが挙げられる。また、合併した直後から財政の危機的状況を打破するために外部団体の補助金のあり方の検証、行政監査等の取り組みにより、その結果が成果として表れている。また、平成30年度より公共下水道事業の法適化に伴い、一般会計からの繰出金の一部が補助費等に分類されたことにより比率が上昇している。今後も適正な執行に努める。

公債費の分析欄

令和元年度は前年度と比較して0.2ポイント上昇の19.8%で、類似団体平均の15.6%と比較しても高い状況にある。公債費については、これまで改善傾向にあったが、新市建設計画に基づく合併特例債を活用した建設事業の実施により地方債現在高が増加した影響で、地方債の元利償還金が増となった。新庁舎建設事業など大型建設事業が令和元年度で完成し、これらの償還が今後の公債費を押し上げる見込みとなっていることから、市債の新規発行を伴う普通建設事業を抑制していくほか、減債基金の積立額を確保し繰上償還を行う等、地方債残高の縮減に取り組み公債費の低減に努める。

公債費以外の分析欄

令和元年度は前年度より1.2ポイント上昇の69.0%で、類似団体平均を下回り推移している。経常収支比率が88.8%であることから公債費が占める割合が非常に高いことが判る。これまで経費削減のため恒常的に削減を行ってきたため、これ以上の削減が厳しい状況下にあるが、事業の選択と集中を図りながら現在の水準を超えないよう、歳入・歳出両面で財政の質を高めるように努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

総務費は住民一人当たり92,157円、前年度より23,023円増で類似団体平均より30,773円高い状況である。これは、新庁舎建設事業などの大型建設事業による普通建設事業費や物件費が増加したことが要因である。民生費は全体の33.4%を占め、住民一人当たりは165,020円で、類似団体平均と比較して一人当たり20,036円高い状況となっている。これは、平成27年度途中から開始したこども医療費無料化拡大分による影響、近年の障がい者福祉サービス事業費や児童発達支援事業費が増加していることなどが要因となっている。土木費は住民一人当たり54,299円で前年度より4,189円増で、類似団体平均より10,310円高い状況が続いている。大きな要因として港湾整備事業や平成27年度からの継続事業である川之江地区整備事業がある。教育費は住民一人当たり58,989円で前年度より2,196円増で、類似団体と比較しても依然高い状況となっている。幼稚園や小中学校のブロック塀・冷房設備対策事業や公民館新築事業などの普通建設事業費が増加したことが要因である。今後も各施設の更新や維持管理に係る費用が嵩んでくることが見込まれるため、公共施設等総合管理計画や個別施設計画に基づく事業の取捨選択により、事業の精査を厳にすることで事業費の減少を目指す。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり493,905円となっており、前年度に比べ19,564円の増となっている。主な構成項目である人件費は、住民一人当たり77,463円となっており前年度より1,169円の減となっている。定員適正化計画を進めてきた結果、ピークであった平成18年度に比べ11.7%減少してきてはいるものの、依然類似団体と比べて高い水準にある。物件費は住民一人当たり58,556円で、学校ICT環境整備に係る端末購入費などにより前年度より7,727円の増、類似団体より5,967円低い状況である。維持修繕費は住民一人当たり3,014円で、類似団体と比較して一人当たりのコストは低い状況である。扶助費は住民一人当たり88,241円で、前年度に比べ2,271円の増となっている。要因として、幼児教育・保育の無償化等に伴う施設型給付費の増などに加え、障がい福祉サービス事業費、障がい児通所扶助費などが継続的に増加したためである。補助費等は住民一人当たり32,120円と前年度より486円の増となったが、類似団体平均と比較して一人当たりのコストは17,247円低い状況である。これは補助金のあり方の検証や行政監査の取り組み等による結果が表れている。普通建設事業費のうち更新整備については、住民一人当たり108,854円で前年度より20,674円の増となり、類似団体平均より74,014円高くなっている。これは、新庁舎建設事業等の新市建設計画に基づく大型建設事業が重複したためである。公債費は住民一人当たり56,065円で、平成30年度に繰上償還を実施したことから前年度と比較して13,653円の減となったが、類似団体平均より15,708円高い状況にある。これは、合併特例債の元利償還金が増となったためで、今後も高水準での推移が見込まれる。

実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)

分析欄

合併に伴う一部事務組合の正規雇用等による人件費の大幅な増加や合併前の大型事業による公債費の増加によって、平成18年度の経常収支比率は96.4%と硬直した財政状況であった。定員適正化計画による職員削減や補助金の見直し、補償金免除繰上償還の積極的な活用等の行財政改革により平成20年度以降は経常収支比率も改善されてきている。実質収支は、平成20年度以降は黒字決算が続いている。事務事業の見直し・施設の統廃合など歳出の合理化等行政改革を推進し、引き続き健全な財政運営に努める。実質単年度収支が赤字となっているのは、新庁舎建設事業や市民文化ホール建設事業等の普通建設事業費が増加したことなどが主な要因となっている。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)

分析欄

住宅新築資金等貸付事業特別会計については、これまでの収入未済の積み重ねにより、前年度繰上充用で会計を運営している状況であるが、貸付事業は終了していることから、収入未済額の確保に努めることが、もっとも重要な事業となっている。その他一般会計等の会計は黒字を達成しているが、使用料等の適正な負担額への見直しや事務事業の再点検等、歳入歳出両面から質を高める取り組みを通じ健全な財政運営に努めることとしている。

実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

平成19年度以降、政府資金の公的免除繰上償還や高利率の起債の積極的借換、公債費負担適正化計画等の実施により公債費の低減を図ったことで着実に改善されてきていたが、新市建設計画に基づく合併特例債を活用した大型建設事業が集中したため元利償還金が増加傾向となっている。また、算入公債費等についても合併特例債や臨時財政対策債等の交付税算入率の高い市債借入により増加となっており、結果として実質公債費比率の分子は減となっている。今後も選択と集中により事業費の抑制を図るとともに、基準財政需要額の算入率が高い起債の活用、減債基金を増額し計画的に繰上償還を行うなど実質公債費比率の低減に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

令和元年度の将来負担額は、公営企業債等繰入見込額が減少したものの、新庁舎建設事業などの大型建設事業の実施に伴う合併特例債の発行などによる一般会計等における地方債残高が増となったことから、前年度と比較して増加している。また、充当可能財源等も、基準財政需要額算入見込額が増となったため、前年度と比較して増加している。将来負担額及び充当可能財源等はいずれも増加しているが、将来負担額の増加幅が大きいため、将来負担比率の分子は前年度と比較して増加となっている。将来負担比率は、平成19年度267.2%であったが、政府資金の公的免除繰上償還や高利率の起債の積極的借換、土地開発公社を三セク債を活用し解散する等、着実に改善されている。しかしながら依然として他市町に比べて非常に高い数値となっているのは、一般会計地方債現在高や地方債償還元金繰入見込額が大きいことが将来負担比率の分子に影響しているためである。将来負担解消には長期的な視点で財政の硬直化を招かないよう取り組む必要がある。今後、新規事業採択や施設の更新等にあたっては、統廃合を含め長期的に判断することが肝要であり、事業内容及び経費の精査と最適化により地方債への依存を最小限に抑制するとともに、普交合併算定替終了が指標の分子・分母双方の悪化要因となることにも留意しつつ、一般財源の確保及び充当可能基金の計画的な積立てや繰上償還を積極的に行い、財政の健全化に努める。

基金残高に係る経年分析(2019年度)

基金全体

(増減理由)新庁舎建設事業の実施に伴い「新庁舎建設基金」を1億2,039万円、市民文化ホール建設事業の実施に伴い「文化ホール建設基金」を1億32万円を取り崩したこと等により、基金全体としては1億2千7百万円の減少となっている。(今後の方針)普通交付税の合併算定替による特例措置の適用期限終了及び老朽化が進む公共施設の整備更新等に伴う財政調整基金の取り崩しなどにより、基金残高については中長期的に減少傾向にある。

財政調整基金

(増減理由)運用収入のみを積み立てており、実質的な取り崩しはなし。(今後の方針)災害等に備えるための基礎的な積立額とする30億円に加えて、普通交付税の合併算定替の縮減に備えた激変緩和措置や施設の整備更新等に要する財源として38億円とした積立方針に基づき平成26年度までに積み立てを行い、平成28年度までは歳出削減や歳入確保により取り崩しを回避し基金残高68億円を維持してきたが、平成29年度より減少傾向にある。中長期的に普通交付税の合併算定替による特例措置の適用期限終了などにより、減少していく見込み。

減債基金

(増減理由)増減なし(今後の方針)今後の償還に備え、一定水準は確保していくとともに、市債の償還財源として活用していく。

その他特定目的基金

(基金の使途)・合併振興基金:市民の連帯の強化及び地域振興を図るための事業・ふるさと応援基金:福祉及び医療の充実、教育環境の整備及び文化振興、地場産業の振興並びに生活環境の改善に関する事業その他市政発展に必要な事業・地域福祉基金:高齢者等の保健福祉の増進(増減理由)・新庁舎建設基金:平成28年度から令和元年度で新庁舎建設工事を実施、事業終了年度である令和元年度で取り崩し、事業費に充当したことによる減。・文化ホール建設基金:平成28年度から令和元年度で市民文化ホール建設工事を実施、事業終了年度である令和元年度で取り崩し、事業費に充当したことによる減。(今後の方針)・特定目的基金全体については、将来的に活用が必要となる財源ということも見据え、適切に管理していく。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

当市の有形固定資産減価償却率は類似団体平均に比べて低い比率となっている。これは各施設の老朽化を調査し、施設の適正な維持管理を進めてきた結果である。今後、減価償却が進むにつれ、施設の老朽化が顕著となることが予想されるため、公共施設等の長寿命化や複合化、集約化及び機能転換等も含め、公共施設等の適正配置と有効活用など計画的な資産管理を進めていく。

債務償還比率の分析欄

当市の債務償還比率は類似団体平均に比べて高い比率となっている。分子となる将来負担額が、新庁舎建設事業等の大型建設事業の実施に伴う合併特例債の発行などによる地方債現在高の増等により増加したことで、債務償還比率が前年度と比べて上昇している。新市建設計画に基づいた合併特例債を活用した大型建設事業が令和元年度で概ね終了したことから、投資的経費は今後減少する見込みであるが、市債発行にあたっては、実質公債費比率などに留意し適正な活用に努め、将来負担額の縮減に向け取組を進めていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は、類似団体平均に比べて非常に高い比率にある一方で、有形固定資産減価償却率は類似団体よりも低い比率にある。老朽化した学校施設や庁舎、消防施設等の公共施設の建替えや耐震化を積極的に進めてきたことにより有形固定資産減価償却率は低い水準で推移しているが、これに比して市債の発行による市債現在高が増加した結果、将来負担比率が高い水準となっている。今後は将来負担すべき負債を抑える取組を進めていく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率及び実質公債費比率ともに類似団体平均よりも高い水準にある。主な要因として、川之江小学校及び三島東中学校の建替え、緊急防災事業による小・中学校の耐震化事業、さらに、新庁舎建設事業や市民文化ホール建設事業、消防防災センター建設事業、東部学校給食センター建設事業など新市建設計画に基づいた大規模な建設事業が続いてきたことによる地方債の発行によるものと考えられる。また、令和元年度で合併算定替えが終了となり普通交付税の減などにより将来負担比率及び実質公債費比率の上昇も予想されるが、今後増加を抑制するよう、引き続き財政の健全化に努めていく。

施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体平均値と比較して、特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、公営住宅、児童館であり、特に低くなっている施設は、学校施設、道路、公民館である。公営住宅については、多くの施設が昭和40年代までに建設されており、耐用年数である47年(構造により38年)を大幅に経過しているか経過しつつあり、また、施設の計画的な統廃合が進んでいないことにより一人当たりの面積についても類似団体平均値と比較して大きい状況にある。児童館については、令和元年に川之江児童館の除却を行った影響により、有形固定資産減価償却率は昨年度より上昇している。また、学校施設は、川之江小学校や三島東中学校、新宮小中学校の建替え、妻鳥小学校や松柏小学校、関川小学校及び三島南中学校などの増改築を計画的に行った結果として、有形固定資産減価償却率は類似団体平均値と比較して16.9%低くなっている。道路については、市単道路改良事業や街路事業を計画的に進めている結果として、有形固定資産減価償却率は47.1%と、類似団体平均値と比較して13.1%低くなっている。公民館は、令和元年度に金生公民館の新設を行った影響により、有形固定資産減価償却率は昨年度より6.8%低くなり、類似団体平均値と比較して13.9%低くなっている。

施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

類似団体平均値と比較して、特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は図書館で、今後、建て替えなどの多額の負担が予想される。一方、庁舎については、平成28年度に81.4%となるなど類似団体平均値より大幅に高かったが、令和元年度は16.8%と大幅に低くなっている。これは、平成28年度から令和元年度にかけ、本庁舎の建て替えを行ったことによるものである。市民会館についても、平成28年度から令和元年度にかけ、市民会館を統合した市民文化ホールの新設を行った影響により、有形固定資産減価償却率は昨年度より34.1%低くなり、類似団体平均値と比較して27.5%低くなっている。一般廃棄物処理施設や消防施設についても、類似団体平均値を下回っている。特に、消防施設については34.8%となっており、要因としては老朽化していた新宮分遣所の移転新築や消防本部・消防署・消防団本部を統合した消防防災センターの新築移転が行われたためである。また、1人当たりの数値では、庁舎、消防施設、市民会館等が類似団体平均値を上回っている一方、一般廃棄物処理施設有形固定資産(償却資産)額、保健センター・保健所面積は類似団体平均を下回っている。施設全体としては、一人当たり面積が類似団体よりも高く、維持管理が今後重要となってくると思われる。

財務書類に関する情報①(2019年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等は資産総額が前年度末から3,959百万円(△2.4%)の減少となっており、中でも事業用資産及びインフラ資産の変動が大きい。事業用資産は新庁舎建設事業や市民文化ホール建設事業等の大型建設事業の進捗により前年度比4,701百万円(+5.1%)の増加、インフラ資産については前年度比8,505百万円(△16.3%)の減少となっている。全体は前年度末と比べ資産総額が2,111百万円(△0.8%)の減少、負債総額が4,012百万円(+2.7%)の増加となった。変動が大きいものはインフラ資産の前年度比9.606百万円(△9.7%)の減少である。連結では全体と比較して資産総額で2,378百万円(+0.9%)、負債総額で1,459百万円(+1.0%)の増加となった。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等の経常費用は32,202百万円、前年度比1,064百万円(+3.4%)の増加となった。変動の要因としては、物件費等の増加による業務費用の前年度比645百万円(+3.7%)の増加及び、プレミアム付商品券事業による補助金等の増加による移転費用の前年度比419百万円(+3.1%)増加である。また、経常収益は退職手当負担金の戻入が減少したことにより、その他が前年度比△185百万円(△19.5%)の減少となった。純経常行政コストは前年度比1,384百万円(+4.7%)の30,762百万円となった。なお、純行政コストは前年度比1,284百万円(+4.3%)の31,022百万円となっている。全体では移転費用が業務費用を上回っているが、主たる要因は国民健康保険や介護保険の事業運営による補助金等であり、補助金等は一般会計等より20,558百万円多くなっている。また、経常収益は前年度比△619百万円の7,969百万円となった。連結では愛媛県後期高齢者医療広域連合の補助金等により、移転費用が42,973百万円と全体より11,058百万円(+34.6%)多くなっている。また、経常収益は(株)やまびこ等の第3セクターの事業収益により、全体より799百万円(+10.0%)多い8,768百万円である。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等は税収等の減少(前年度比△83百万円、△0.3%)に加え、物件費等や移転費用を要因とした純行政コストの増加(前年度比1,284百万円、+4.3%)により、本年度差額が1,465百万円(前年度比△1,012百万円、△40.9%)、純資産残高は無償所管換等△8,636百万円の影響もあり、89,994百万円(前年度比△7,172百万円、△7.4%)となった。全体では本年度差額が3,059百万円(前年度比△831百万円、△21.4%)となっている。税収等が前年度比301百万円(+0.9%)、国県等補助金が前年度比383百万円(+2.1%)の微増となっているほか、純行政コストが前年度比1,514百万円(+3.2%)増加している。純資産変動額は△6,123百万円(前年度比△10,160百万円、△251.7%)と大きく減少している。連結では税収等、国県等補助金の財源が全体より11,278百万円(+21.8%)増加し、純行政コストは全体より11,397百万円(+23.4%)の増加となっている。純資産変動額は全体と比べて△151百万円(△2.5%)減の6,274百万円となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務支出が物件費等支出の前年度比553百万円(+8.4%)増加及び補助金等支出の前年度比363百万円(+7.3%)増加により、28,246百万円(前年度比837百万円、+3.1%)となった。業務活動収支は、3,967百万円(前年度比△677百万円、△14.6%)となった。投資活動収支は、前年は繰上償還を実施していた影響で、基金取崩収入が前年度比△1,678百万円(△87.9%)減少し、大型建設事業に係る支出額の増加により公共施設等整備費支出が前年度比1,531百万円(+19.7%)増加し、△7,874百万円(前年度比△3,095百万円、△64.8%)となっている。財務活動収支は、投資活動支出に伴う地方債発行収入の増加により前年度比2,253百万円(+199.9%)の増加となっている。全体では国民健康保険料や介護保険料が税収等に含まれること、工業用水事業会計の給水収益が使用料及び手数料収入となることから、業務活動収支は一般会計等より6,923百万円(+174.5%)多い10,890百万円となった。財務活動収支では、地方債等償還支出が前年度比△27百万円(△0.3%)、地方債等発行収入が前年度比1,903百万円(+20.7%)の増加となった。連結における本年度末資金残高は(株)やまびこや愛媛県後期高齢者医療広域連合などの資金により、全体より864百万円(+6.8%)多い13,512百万円(前年度比+2,011百万円、+17.5%)となっている。

財務書類に関する情報②(2019年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額は184.1万円(前年度比△2.2万円、△1.2%)と類似団体平均値を上回っている。合併特例事業債を活用した大型建設事業が終盤を迎えつつあり、投資的経費の増大により資産形成が増加したことが要因となっている。歳入額対資産比率については3.49年(前年度比△0.14年、△3.9%)となり、類似団体平均値を下回っている。建設事業に係る支出額の増加に伴い、地方債発行収入が増加したことが要因である。有形固定資産減価償却率は49.8%で前年度より2.7%上昇したものの、類似団体平均値より約11%程度下回っている。資産の減価償却を上回るペースで施設整備や道路改良を行っていることが類似団体平均値を下回る要因の一つであると考えられる。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は類似団体平均値72.9%を下回る56.6%、将来世代負担比率は類似団体平均値の2倍超の30.7%となっている。これは平成16年の市町村合併以降、合併特例事業債を活用した建設事業を進めてきた結果、地方債残高が著しく増嵩していることが要因で、将来世代へ負担を先送りしている状況にある。今後、合併特例事業債を活用した大型建設事業が終盤を迎える中、新規債の発行を抑制するなど健全な財政運営を行う必要があり、公債費負担軽減のため計画的な繰上償還を行うなど、将来世代の負担軽減に努めたい。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均値を0.6万円下回る35.9万円となった。物件費等の増加やプレミアム付商品券事業により経常費用が増加し、純行政コストは前年度比1,284百万円増加となり、人口減少も相まって前年度比+1.9万円の増加となっている。今後は新規整備施設や老朽化した施設の維持管理費の増加が懸念されることから、施設の維持管理費の削減を一層進めるとともに、人口減少に対応した施設の集約化に努めていきたい。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は79.9万円(前年度比+4.6万円、+6.1%)であり、類似団体平均値47.4万円を大きく上回っている。主たる要因である地方債の令和元年度末残高は63,113百万円(前年度比+3,384百万円、+5.7%)で、うち合併特例事業債32,795百万円、臨時財政対策債18,775百万円と、地方債残高全体の約8割を占めている。今後は後年度の公債費負担を軽減するための繰上償還や、投資的経費の抑制により新規債の発行を減少させるなど、財政健全化に向けた取り組みに努めたい。基礎的財政収支は公共施設等整備費支出が前年度比19.7%増加したこと等により、投資活動収支の赤字額が増加し、業務活動収支の黒字分を上回り赤字となっている

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

経常収益が昨年度と比較して、退職手当負担金の戻入額が減少したこと等により319百万円減少していることに加え、経常費用では移転費用等の増加により総額で前年度比1,064百万円の増加となったことから、受益者負担率は前年度比△1.2%と類似団体平均値と同値になった。経常費用のうち維持補修費は、公共施設の集約化等の適正管理が進展しなければ増加していくことが見込まれるため、今後は公共施設の使用料の見直しも含め、施設の利用状況を考慮したうえで集約化に努めていきたい。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,