依田窪医療福祉事務組合：国保依田窪病院

地域において担っている役割

・へき地医療・不採算医療や高度・先進医療等の提供。・かかりつけ医機能、また、病院群輪番制参加医療機関として緊急・救急医療体制の提供。・訪問診療、訪問看護体制の充実と地域包括ケア病棟の活用による、地域包括ケアシステムへの支援。

経営の健全性・効率性について

当院は筋骨格系の高いシェア率が特徴であるため、手術を伴う入院患者数が多く病床利用率や一日あたり収益は高い状態にある。特にH28年度は、整形外科の体制強化、また麻酔科体制の整備により、整形外科の手術患者が増えたことと、構成市町からの繰入ルール見直しによる繰入金増額が影響し経常黒字となった。今後も収益を確保していく上で現在の強みである整形外科を最大限に活かしつつ、内科や在宅医療など地域医療分野もより充実させていく必要がある。費用面では医業収益の伸びにより材料費比率は低くなっている。また、経費に含まれる派遣医師費用や業務委託費など含めた人件費で考えると、人件費比率が低いとはいえず、今後増大していく人件費をいかに抑えていくかが費用面での課題である。

老朽化の状況について

管理診療棟（S57建築）をはじめとした建物の老朽化により、設備等の維持管理については、次年度以降、多額の費用がかかることが予測される。同様に医療機器についても今後大型機器（電子カルテ、MRI、CT等）の更新が予定されている。患者にとって安全快適な療養環境を維持できるよう、効率的な診療が提供できるよう設備投資を考えていくことは重要であるが、病床あたりの有形固定資産が他病院と比べ高額であることから、今後の人口動態や診療体制を考慮した中長期的視野での計画的整備を実施し、過大投資を抑制し減価償却費の平準化をめざしたい。

全体総括

ここ数年来、大きな経常損失を計上していた病院事業会計であるが、28年度は内科医師不足の状況にもかかわらず、整形外科を中心に入院収益において大幅な増収となり、繰入金の増額もあったことから経常黒字となった。しかし、当年度のような状況を次年度以降継続できるかが大きな課題であり、今後患者が減少傾向であること、不足する医師を充足できない可能性を考慮すると、構成市町からの繰入金に大きく頼らなければ、厳しい病院運営となることが予想される。