地域において担っている役割
「市民の心の支えとなる、地域の中核病院に」を病院理念として、医療設備の更新、電子カルテの導入等により、より良質な医療、効率的な医療の推進に努めている。また、地域に根ざした医療と健康管理を基盤とした、地域保健、健康推進活動及びプライマリー・ケアからリハビリテーション、さらには在宅医療サービスに至る連続した包括的な地域医療に取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
本市は過疎化・少子高齢化が進んでおり、本院の入院・外来患者数ともに減少傾向で推移している。そのような状況においても、①経常収支比率は収支が黒字であることを示す100%以上となっている。また②医業収支比率及び③累積欠損金比率ともに、類似団体の平均値より良い指標となっており、健全経営が保たれている。④病床利用率は、平成31年4月1日付けで療養型病床32床を廃止したことにより、利用率が平均値を上回る結果となった。⑤入院患者1人1日当たり収益は平均値の金額を若干下回ったが、⑥外来患者1人1日当たり収益は平均値の金額を大きく上回っており、安定的な収益を確保することが出来ている。⑦職員給与費対医業収益比率は平均値を大きく下回っており、経費全体に占める給与費の割合は低くなっている。一方⑧材料費対医業収益比率は平均値を大きく上回っているが、これは薬の院内処方を実施していることによるものである。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は平均値を上回っており、法定耐用年数を経過した資産を多く保有している現状にある。一方②器械備品減価償却率は令和元年度に平均値を下回ったのは、高額の器械更新を行ったことによるものと考えられる。③1床当たり有形固定資産は平均値を上回っているが、これは平成9年度に新病院が建設されてから22年が経過し、設備更新の費用が年々増加していることによるものと考えられる。今後は長期的な更新計画に基づき、適切に資産の更新を図っていく予定である。
全体総括
経営の健全性・効率性を示す指標は概ね良好である。平成30年度は入院患者数の落ち込みなどにより、単年度収支で赤字に転落したが、令和元年度は入院・外来患者数ともに増加に転じたことで、再び単年度収支で黒字を達成した。地域が半島の先端に位置する本院では、過疎化に伴う人口減少は避けられないものであり、今後も入院・外来患者数の減少傾向は続くものと考えられる。そういった中でも、経営の効率化を図りながら、収支の黒字化を継続していくことが重要である。次に、老朽化の状況を示す指標からは、老朽化した資産を多く所有していることが示されており、今後は老朽化した資産を順次、計画に基づき更新していく予定である。