経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については平成30年度は経営戦略およびアセットマネジメントの策定費用や消費税の支払により例年より落ち込んでいる。令和元年度は、水道料金の値上げ等に伴い収入が増加し、支出においては消費税や委託料の減少により、総費用が減少したことにより、100を超えている。供給単価については毎年度ほぼ同額で推移しているが、給水原価についてはその年度の総費用に大きく左右されている。これは当村が規模の小さな事業体であり、村単独の修繕工事等を多く行った年などは給水原価が高くなり、料金回収率を下げることになるが、特別な事案が無い年は100%に近い数値になるためである。料金回収率は平成27年度に80%台前半まで落ち込んだが、平成29年度には98%台まで回復している。平成30年度に再び80%台後半まで落ちたが、これは経営戦略の策定費用等により給水原価が増加したことによるものであり、令和元年度は再び上昇に転じているが、大規模工事や消費税等の納付にも左右されるため、今後も注視する必要がある。企業債残高対給水収益比率については類似団体と比較して低いが、平成30年度中に策定した経営戦略およびアセットマネジメントを元に、低い率を今後も維持できるように配水管の更新事業を計画的に実施していきたい。施設利用率については、平成24年度から類似団体と同程度の約50%台後半で推移している。これは、地域での火災等の発生時にも安定した水道の供給体制を整えるために施設を拡張したことが利用率を押し下げた要因である。利用率に関しては、平成29年中に40世帯分、令和元年度中に55世帯分の造成があったため、今後人口増加による利用率の上昇が見込める。また、有収率が5ヶ年とも類似団体の平均値を超えており、効率よく収益を確保していることを表している。
老朽化の状況について
本村では、平成の初めにかけて本村全域の管路の更新を実施している。そのため、管路の老朽化は類似団体と比較して進んでいないが、比較的古い本管の一部約700mを令和元年度に、約100mを令和2年度に更新済みであり、残り約100mを令和3年度で更新すれば法定耐用年数を超えた管は無くなる見込みである。
全体総括
本村においては、有収率や料金回収率が類似団体と比較して高い状況となっており、それらが経営を支えている。今後については、実施すべき管路の更新に備えるために継続して料金回収対策を実施する他、より有収率を高めることで、更なる経営の安定化・効率化を目指す必要がある。