経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は前年度から0.14%増加したが、一般会計からの繰入がなければ経営できない状態が続いている。現在の地方債償還金、管路更新事業を踏まえると、今後も現況に近い経営が続くことが予想されるが、健全な経営へ向け事業の効率化を図るなど、経営改善策を見出していくことが必要である。④企業債残高対事業規模比率は前年度から147.82%減少した。現在の主な企業債は平成8年に竣工となった第1次拡張事業と平成21年度から継続中である管路更新事業のものである。また、給水普及率が80%台と低いため、引き続き新規加入の促進活動に取り組む。⑤料金回収率は前年度から1.9%増加したが、給水収益以外の繰出金により収入不足を補填している割合が高い。今後も基準外繰出で収入を補填せざるを得ない状況が続くが、徴収率の向上及び給水原価の減少に努めたい。⑥給水原価は前年度から9.35円減少した。有収率の向上を図るとともに、施設管理費のコスト削減に努めたい。また、基本料金と従量料金のバランスを考慮し、定期的に料金の引き上げを実施したい。⑦施設利用率は前年度から0.13%増加したが、給水人口減少伴い、給水量は減少傾向にある。老朽施設の更新も費用的な面で経年劣化に追いつかない状況である。また、今後の課題として施設の長寿命化を図りながら、近隣市町村との広域化・共同化も検討していくことが必要である。⑧有収率は前年度から3.92%増加した。今後も老朽管更新事業の継続及び漏水調査に取り組み、無効水量を減少させ、90%以上の有収率を目指していきたい。
老朽化の状況について
管路更新率は0.77%減少した。平成21年度から実施してきた石綿セメント管の更新事業が令和元年度で完了し、令和2年度から硬質塩化ビニル管等の更新事業を15年計画で実施しているためである。令和2年度から6年度までは事業規模が小さいため、並行して各施設の機械設備関係の更新を図り、効率的かつ効果的な水道施設の運営を行いたい。
全体総括
当村の水道事業運営は、一般会計からの繰入がなければ経営できない厳しい状況にある。今後も各施設の老朽化に伴い、更新事業を継続して行う必要がある。現状の経営状況を早期に打開することは難しいが、健全な経営へ近づけるため、料金改定、維持管理費のコスト削減、事業の効率化を図るなど、経営改善策を見出していくことが必要である。また、法適用化へ向け固定資産台帳の整備、アセットマネジメントの更新等を行い、現状を把握したうえで、中長期的な更新計画を作成するとともに、財源確保に努め、安全で強靭な水道事業を持続していく。