経営の状況について
本市の太陽光発電所(佐山太陽光発電所、多那太陽光発電所)は、平成28年度に工事着工、平成29年5月に完成、発電を開始しました。発電開始から主要設備は順調に稼働しており、これまで計画どおりの売電収入が得られています。本年度の収益的収支比率及び営業収支比率は、前年度と比較して減少しましたが、黒字であることを示す100%を上回っており、概ね健全な経営状況であるといえます。①収益的収支比率が減少した理由としては、前年度は発電収入のほかに消費税の還付があったことによって、総収益が多かったのに対し、本年度は消費税の還付がなく納付金が発生したために、総収益が減少し、総費用が増加したことがあげられます。②営業収支比率が減少した主な理由としては、監視装置の交換修繕を行ったことで営業費用が増加したことが考えられます。③供給原価の表中、H30の当該値は「11,290.1(円)」とありますが、誤りで、正しくは「29,036.8(円)」です。本年度は、H29、H30年度に行っていた一般会計への繰出しを行わなかったことにより総費用が減少したため、過去の年度と比較して供給原価は減少しています。今後も地方債の元金償還期間中は高い値になってしまいますが、定期点検の実施や監視システムの活用によって、発電状況の把握や故障等の早期発見に取り組みながら、改善を図る必要があります。④EBITDA(減価償却前営業利益)の数値については、事業期間がまだ短く、経年比較が難しいことから、今後も経営状況判断の指標として注視し、必要に応じて経費削減や事業改善に努めてまいります。
経営のリスクについて
①太陽光発電は天候等により発電量が左右されるため、設備利用率は前年度と比較するとわずかに減少となりました。数値が全国平均値を下回っているのは、冬季の積雪による影響と考えますが、年間発電電力量は当初のシミュレーションの範囲内であり、発電状況は良好であります。②本年度は、修繕費比率が増加しましたが、監視装置の機器交換修繕を行ったことによるものです。今後も監視システムを活用して発電状況等を把握し、設備の不具合等の早期発見に努めてまいります。③企業債残高対料金収入比率については、高い値で推移していますが、地方債の償還開始後間もないためであり、計画どおりに償還していくことで減少していくものです。④固定価格買取制度(FIT)収入割合は100%であり、FIT適用期間中は安定した収入が確保できるものと考えます。一方で、FIT適用期間終了後は、大幅に収入が減少するリスクを抱えているため、期間満了までに事業の終了も含めたリスク対応の検討が必要となります。
全体総括
現状では想定どおりの売電収入が得られており、概ね健全な経営状況であります。また、売電収入から計画的に基金への積立てを行うことで、将来の設備更新・撤去に備えています。FIT適用期間終了後の事業運営については、現時点で方針は定まっておりませんが、新規事業である小水力発電所の建設計画も進んでおり、令和2年度に策定した経営戦略に基づいて、中長期的な視点から検討、判断していく必要があります。