経営の状況について
令和3年度は、水力発電における出水率が低調であったことに加え、風力発電における稲庭高原風力発電所の再開発に伴う稼働停止等の影響により、「経常収支比率」及び「営業収支比率」は前年度に比べて減少したが、両比率は継続して100%を超えており、経営の健全性は確保されている。「流動比率」は継続して100%を大きく上回っており、短期的な支払能力を十分に確保できている。「供給原価」は平均値よりも低く抑えられており、また「EBITDA(減価償却前営業利益)」は平均値を大きく上回っていることから、効率的・安定的な経営状態で推移している。
経営のリスクについて
【水力発電】「設備利用率」及び「企業債残高対料金収入比率」は、平均値に比べ良好に推移しているほか、「修繕費比率」は平均値と同水準である。「有形固定資産減価償却率」は平均値と比べて高い状況にあるため、計画的な設備更新を行っていく必要がある。「FIT収入割合」については、FIT適用発電所の適用満了(R16.6)までには期間があることや、FITの収入割合が低いことなどから、FIT収入の変動による経営のリスクは少ない状況にある。【風力発電】「設備利用率」、「修繕費率」及び「有形固定資産減価償却率」は、平均値に比べ良好に推移しているほか、「企業債残高対料金収入比率」は順調に減少している。「FIT収入割合」がほぼ100%となっており、FIT期間終了後において収益が変動することも想定されるが、投資額はFIT期間中に十分回収される見通しであり、特に支障はないものと見込んでいる。【太陽光発電】「設備利用率」が平均値を上回るなど収入は安定し、また「修繕費比率」及び「企業債残高対料金収入比率」の発生もなく、経営状況は良好である。一方で、太陽光発電所は平成26年度から稼働し、年数が経過するにつれて、「有形固定資産減価償却率」が上昇傾向にあるほか、「FIT収入割合」が100%であることから、FIT適用期間満了(R16.10)後は収入が大きく変動するリスクを抱えているため、今後、事業のあり方を検討する必要がある。
全体総括
令和2年3月に策定した「長期経営方針(2020~2029)」及び「第1期中期経営計画」に基づき、施設の計画的な改良・修繕や業務コストの節減を図ることにより、安定的な経営が確保できている。今後も、地域新電力を売電先に加えた新たな電力供給契約に基づく安定供給や、既設発電所の再開発を進め、本県の再生可能エネルギーの維持拡大に取り組むとともに、小売電気事業者と連携した「いわて復興パワー」や再生可能エネルギーの地産地消の取組を推進し、震災復興及びふるさと振興に寄与する地域貢献に継続的に取り組んでいく。