経営の状況について
○令和3年度における「収益的収支比率」(料金収入や一般会計からの繰入金等の総収益で、総費用と地方債償還金がどれくらい賄えているかを示す)及び「営業収支比率」(料金収入等の営業活動から生じる収益で、発電費等の営業費用がどれくらい賄えているかを示す)は、それぞれ265.8%、263.7%で、いずれも100%以上となっており、令和2年度に引き続き令和3年度においても当該電気事業全体の収支及び営業収益は黒字となっています。○販売電力量1MWhあたりにどれだけの費用がかかっているかを示す「供給原価」については、令和2年度に比べ令和3年度は発電機器のメーカーによる点検業務を行ったことにより微増ではあるものの平均値を大きく下回り、他団体に比べると費用は安価となっています。○経年の推移をみて収益が継続して成長しているかを判断する指標である「EBITDA」(減価償却前営業利益)については、令和3年度は昨年度に比べ発電電力量が微減であったこと、点検業務委託費の増による総費用増額により減少しています。
経営のリスクについて
○本来備えている発電能力と実際の発電電力量との割合で、設備の利用状況や適正規模判断する指標である「設備利用率」は、一般的には高い数値であることが望まれ、経年比較により施設の効率的な運用について確認できます。平成27年度は、約3ヶ月の稼働停止期間があり、設備利用率が42.3%でしたが、28年度は通年の稼動で57.8%、29年度は53.3%、30年度は52.5%、令和元年度は53.0%、令和2年度は52.4%、令和3年度においては51.4%でした。設備利用率が100%を大きく下回る原因については、本施設が河川からの取水による発電施設であり、その取水にあっては、季節毎で取水制限があり、年間を通じて最大出力での稼働ができないためです。今後、通年の適正な設備利用率を把握し、施設の効率的な運用に生かしていくことが必要です。○費用のうち、施設修繕、管理やメンテナンスにかかっている割合を表す「修繕費比率」は、経費が発生しなかったためゼロとなっています。○料金収入に対する企業債残高の割合を表す「企業債残高対料金収入比率」は、企業債の起債残高が無いためゼロとなっています。○料金収入における、再生可能エネルギー固定価格買取制度により売電した収入の割合を表す指標「FIT収入割合」については、100%です。なお、令和元年度28.7%、令和2年度が0%となっておりますが、これは令和元年8月からローカルエナジー(株)と特定卸供給を行い、町内の小学校等教育施設へ電力の地産地消SDGsを取り組んでいるものですが、特定卸供給契約を特定供給と誤認していたことによる計上誤りです。
全体総括
○電気事業全体の経営状況については、稼動して間もないことや不測の系統側の停電等により十分指標に反映されていない部分もあるものの、現段階では大きな改善事項はありません。令和3年3月に琴浦町電気事業経営戦略を策定しており、今後も発電量等のモニタリングを行い、経営戦略の事後検証及び見直しを行いつつ適切な経営を行い、各種指標による分析を継続していきます。