経営の状況について
【収益的収支比率】当該指標が100%未満である平成28年度及び平成29年度は、単年度の収支が赤字であることを示しています。平成30年度以降は、当該指標が100%となりましたが、これは地方債償還が平成29年度をもって終了したことが大きな要因です。なお、総費用は営業収益だけで補うことができないため、不足する財源は一般会計繰入金を充当し、収支の均衡を図っている状況です。【営業収支比率】当該指標は100%未満であるため、単年度の営業収支が赤字であることを示しています。平成28年度以降は赤字で推移しており、経営改善が課題となっています。【供給原価】全国平均と比べて高い数値で推移しており、発電コストが高いことを表しているため、効率的な運転とコスト削減に向けた取組を進める必要があります。【EBITDA】平成28年度以降マイナスで推移しており、全国平均と比較しても低い傾向にあります。毎年、安定した収益が得られないことから、一般会計繰入金に依存している状況にあります。
経営のリスクについて
【設備利用率】当該指標は高い数値が望まれるところですが、各年度とも一桁台に留まっており、全国平均(発電型式別)を大きく下回っています。これは、経年劣化による故障のほか、風況の良い冬期間に多発する落雷を起因とした長期停止が原因としてあげられます。【修繕費比率】当該比率は平成28年度及び平成29年度は、全国平均(発電型式別)を大きく上回っていましたが、事業廃止も視野にいれた中で、修繕に係る経費の抑制(必要最小限の修繕)を図った結果、平成30年度以降は全国平均を下回りました。【企業債残高対料金収入比率】風力発電建設時に借り入れた企業債は、平成29年度をもって完済したことから、当該比率0%(現在高0円)となっています。【FIT収入割合】電力料収入のうち大部分がFITで占められており(自家用を除く)、令和4年度のFIT適用終了(2・3号機)後は、収入が減少するリスクがあります。
全体総括
当該事業は、施設の老朽化が進行し、経年劣化に伴う部品交換や落雷被害により毎年多額の修繕費を要し、また、長期にわたって運転を停止せざるを得ない状況も生じ、厳しい経営状況を余儀なくされてきました。さらには、今後も収支の改善が見込めず、FIT適用終了前に、事業の廃止を視野に入れた抜本的な改革が急務であることから、平成29年度末に1号機を廃止(機能停止)し、残りの3基についても、令和2年度をもって施設を停止(発電停止)しました。その後、1号機及び2・3号機を令和3年度に解体撤去し、名立機についても今後撤去(時期未定)を予定しているところですが、撤去までの間は、必要な点検等を行い、施設を適切に管理していくこととしています。なお、事業の抜本的な改革の中で、施設の民間譲渡に向けた取組として、令和元年度に公募を実施しましたが、候補者の選定には至りませんでした。