経営の状況について
■経常収支比率・営業収支比率経常収支比率が前年度比4.9ポイント減の133.4%、営業収支比率が5.1ポイント減の130.4%となりましたが、ともに100%超を維持しています。R3年度の供給電力量は、下期の渇水等により前年度より減少したものの、水車発電機オーバーホール等の大きな工事がなかったため、前年度の水準を維持しています。■流動比率前年度比447.3ポイント増の1,401.9%となり、100%を大きく上回っています。増加の理由は、未払金の減少などにより流動負債が減少したことに加え、現金・預金の増加により流動資産が増加したためです。■供給原価全国平均を下回っていますが、これは機器の長寿命化等による設備投資の効率化や経費削減等の経営効率化の取組を行っていることによるものです。前年度の数値が低くなっている理由は、例年よりも供給電力量が増加したためです。■EBITDA前年度から微減となった要因の一つとして、下期の渇水の影響や、風力発電所の故障に伴う長期間の発電停止などにより総収益が減少し、純利益の黒字幅が減少したことです。
経営のリスクについて
[水力発電]■設備利用率R3年度が減少に転じた要因は、下期の渇水などの影響を受け、発電電力量が前年度より大きく減少したことによるものです。なお、H30年度は発電設備の被災、R元年度は水車発電機オーバーホールや点検による長期の発電停止期間の発生が要因となり、数値が伸びなかったものです。■修繕費比率H30年度は豪雨により被災した発電設備等の修繕、R元年度は水車発電機オーバーホールの実施により費用がかさみ、全国平均を超えている状況にありましたが、R3年度は大規模な修繕工事がなかったため、低い数値となっています。■企業債残高対料金収入比率計画どおりの企業債償還により低下傾向にあります。■有形固定資産減価償却率全国平均よりも高い割合となっており施設の老朽化が進んでいる状況と言えます。なお、水車発電機の修繕・改良は定期的に実施しており、施設の適切な管理に努めています。■FIT収入割合該当施設はありません。[風力発電]■設備利用率R3年度が減少に転じた要因は、下期以降に長期の故障停止があり、発電電力量が前年度より大きく減少したことによるものです。なお、前年度は落雷による機器損傷などの影響を受けたこと、R元年度はFIT期間終了に伴う8月末での発電所(1,200kW)の廃止により、供給電力量が減少したためです。■修繕費比率R2・R3年度は故障により修繕費がかさんだため、全国平均値を超える数値となっています。なお、R元年度に大きく低下している理由は、廃止した風力発電所の当該年度の定期点検費用が減少したためです。■企業債残高対料金収入比率該当はありません。■有形固定資産減価償却率国内での風車導入の初期に建設されたことから減価償却が進んでおり、全国平均よりも高い割合となっています。■FIT収入割合H29年度以降はすべてFITを活用した売電を行っているため、100%となっています。
全体総括
電気事業の経営状況については、安定的な売電料金収入の確保と、経費削減や業務の効率化などに努めており、全体的には健全な経営が行えています。風力発電所については、安定した電力供給の確保に向け、施設の適切な維持管理を行うとともに、故障の際には停止期間の短縮を図ります。なお、FIT適用終了(R6)後の事業継続については、H29年度に実施した試算では厳しい結果となっていますが、FIT適用終了時期までに改めて検討します。今後も、経営の効率化と施設の適切な維持管理に努め、有利な条件の下での水力発電の売電料金の確保に取り組むなど、営業利益の安定確保を目指していきます。また、H30年度に策定した経営戦略の見直しを図るとともに、引き続き健全な経営が行えるよう取り組んでいきます。