経営の健全性・効率性について
■経常収支比率(及び累積欠損金比率)R3年度は前年度比で10.73ポイント増加し、119.60%となりました。この主な要因は、鏡川工業用水道において修繕費や委託料が減少し、営業費用が縮小したことにより、全国平均を超えて、累積欠損金もないことから、堅調な経営を維持しています。R元年度及び前年度は、管路の老朽化及び施設の耐震対策費用が増加したため低下しています。■流動比率100%を大幅に超えており、類似団体平均値よりも高い水準で推移しています。H30年度に大きく増となっている理由は、設備の再整備のために電気事業会計から借入れを行ったことにより流動資産が大きく増加したためです。■料金回収率いずれの年も100%を超えており、給水に係る費用が給水収益で賄われています。R3年度は前年度比19.97ポイント増加し131.48%となり、指標とされる100%を超えており、給水に係る費用が給水収益で賄われている状況です。■給水原価類似団体平均値を下回っていますが、これは機器の長寿命化等による設備投資の効率化や、経費削減等の経営効率化の取組を行っていることによるものです。■施設利用率(及び契約率)同水準で推移しているものの、給水区域における工水需要の低迷により類似団体平均値を下回っています。また、契約率についても、同事由により50%を下回る低い水準で推移しています。この状況を踏まえ、新規給水契約の獲得に向けた積極的な営業活動の継続及び効率的な経営に向けた取組が重要となっています。
老朽化の状況について
■有形固定資産減価償却率類似団体平均値よりも低い数値を示していますが、2つの事業を個別にみると、鏡川工水(S41年度一部給水開始)は約73%、香南工水(H24年度一部給水開始)では約37%となっており、鏡川工水の保有資産については、その多くが法定耐用年数に近づいています。■管路経年化率(及び管路更新率)事業個別にみると、香南工水の管路は給水開始から日が浅く法定耐用年数を経過したものはありませんが、鏡川工水の管路では約87%と類似団体平均値を大きく上回っており、その多くが法定耐用年数を経過しています。今後は、施設の老朽化への対応に加え、南海トラフ地震に備えるため、H30年度に策定した経営戦略の見直しを図るとともに、引き続き取り組みを進めていきます。
全体総括
工水事業の経営状況については、工業用水の適切な料金による安定供給を継続すべく、経費削減や業務の効率化などに努めており、全体的には健全な経営が行えています。鏡川工水では、施設の老朽化対策及び耐震化に向けた施設の修繕改良計画を策定するとともに、給水量増加に向けた取組を継続し、更なる事業の効率化等の検討を進めていきます。また香南工水は、R元年度に香南市の事業と統合し、R元年12月から本格稼働を開始しました。工水事業では、今後も、経営の効率化と施設の適切な維持管理に努めるとともに、経営戦略に基づく取組の推進により、引き続き健全な経営が行えるよう取り組んでまいります。