経営の状況について
本市の電気事業は、昭和29年から稼働する布部発電所(225kW)と、昭和34年から稼働する伯太発電所(95kW)の2つの小水力発電所経営によるものである。平成26年度から公営企業会計(法非適用)による会計処理を行っている。伯太発電所は、固定価格買取制度(FIT)の適用となるようリプレース工事を行い、平成28年3月からFIT認定設備として運転している。布部発電所については、既存設備でありながら、令和2年4月から令和4年度末までFIT単価が適用されることとなった(いわゆるFIT単純移行)。多くの余剰が生じたため、前年度同様、令和3年度も一般会計への繰出しを行った。その上でも収益的収支比率188.3%、営業収支比率375.5%、EBITDA51,733千円であり、安定した経営が行えたと言える。供給原価については、17,890.1円と過去最高になり、平均値も上回った。これは、売電収入が増加した分、支払い消費税額も増加したことが主な要因である。今後、維持管理費の削減等に努めなければならない。
経営のリスクについて
設備利用率について、小水力発電の目安である60%は超えているものの、近年減少傾向にある。これは布部発電所の老朽化に起因する。既存設備で運転を行う令和4年度末までは、日常点検に気を配り、設備利用率の悪化を抑制しなければならない。修繕費比率については、9.5%と近年最高になり、平均値も上回った。伯太発電所の水車を塗装修繕したためで予定していたものではあるが、今後も予期せぬ修繕に備えて注視する必要がある。企業債残高対料金収入比率は、前年度とほぼ同値であったが、令和5~6年度に起債予定であり、再度比率が上昇する見込みである。
全体総括
布部発電所が3年間FIT適用となったことで令和2~4年度は収支に余裕が生じる期間である。しかし、令和5~6年度に布部発電所改修事業に係る起債を予定しており、特に令和5年度は単年度赤字となる見込みである。また、伯太発電所についても、FITリプレースから6年が過ぎ、修繕料など今後予期せぬ支出の発生が考えられる。令和2年度末に策定した経営戦略を拠り所に、今後も計画的で安定した経営を行いたい。