経営の状況について
風力発電事業は平成10年度から現在まで一般会計からの繰り入れは一度も無い。収益的収支比率は100%を超えているが令和元年度から令和18年度まで起債償還金の支出が続くことや一般会計への繰出しを併せ起債償還が終了する令和18年度までは同程度で推移することが見込まれる。リプレース事業を完了し運転を開始した令和2年度からは、売電単価18円/kWh、売電期間20年間、稼働率保証によりFIT期間終了年度である令和21年度まで順調な経営状況が継続できる見込みである。営業収支比率は毎年度において300%を超え順調に推移してきたが、令和元年度は7月末でFIT期間が終了したことに伴い売電収入が減少したため、収益比率が低下した。リプレースに伴い運転を再開した令和2年度は、560%を超えており、以前の営業収支比率を大きく上回っている。令和3年度以降も200%以上で堅調に推移する見込みである。また、令和2年度から風力発電機に係る消耗品や修繕等の費用は、包括連携契約により毎年一定額の支出で確定しており、支出の追加的増加が無いことから、今後においては安定した経営が見込める。
経営のリスクについて
【設備利用率について】・風力発電事業の20年間の実績を踏まえてリプレースを行った新風力発電設備は、国内の風力発電設備利用率の平均値(建設計画当時)である25.6%を基準に収支計算を行っているが、実績は30.2%であった。・発電設備の効率的な運用を行うため、包括連携契約を締結している。【修繕費比率について】・風力発電機は包括連携契約を締結しているため、基本的に修繕費が発生することは無い。ただし、自然災害等に伴う修繕は契約対象外であり、修繕費が必要となる。令和3年度においては修繕が発生しなかったことから0%である。・受変電設備は包括連携契約対象外であるため、施設修繕、管理やメンテナンス費用が必要となる。【企業債残高対料金収入比率について】・リプレースに伴い平成30年度及び令和元年度に起債を行ったため令和元年度は企業債残高が上昇した。・企業債償還年数は18年であるが、料金収入期間は20年間の前に終了する。・運転開始後において、新たに大きな企業債発行の予定はない。【FIT収入割合について】・FIT収入割合は100%である。風力発電機の償却期間17年に対し20年間の売電期間が確保されている。・リプレース後においては、風車メンテナンス会社と20年間の包括連携契約を締結し、93%以上の稼働率保証があることから、一定額以上の収入が担保されており、毎年度において収支がマイナスとはならない。・風力発電機の設計寿命は20年とされているが、立地条件や管理状況、気象状況により大きく異なる。減価償却期間は17年であるが、耐用年数が経過した施設のあり方については、再生可能エネルギーの位置づけがその時代にどのようになっているかで大きく異なる。政策によっては、耐用年数経過後においても有効な施設の活用を図る予定である。(例えば、町有施設の電源供給、防災電源、水素製造などに活用)
全体総括
平成10年度に運転を開始した苫前町風力発電事業であるが、事故も無く順調な稼働を続け、令和元年7月に運転を終了した。約20年間の基金積立額は2億3,600万円を超える。平成30年度にはリプレース事業に着手し、令和2年3月から風車4号機(2,200kW)の運転を再開したところである。リプレース事業の決定に伴い、平成30年7月には苫前町電気事業経営戦略を策定し、安定した事業の構築と運転の継続を目指す。なお令和6年度からは、公営企業に移行することが決定しており、公営企業会計移行事務を進めている。