熊本県：電気事業

経営の状況について

本県の電気事業は、球磨川水系の市房第一、市房第二及び笠振発電所、緑川水系の緑川第一、緑川第二及び緑川第三発電所並びに菊池川水系の菊鹿発電所の計7つの水力発電所により、九州電力株式会社へ電力を供給している。（風力発電については令和元年9月に民間譲渡）経営基盤強化のため、主力4発電所（市房第一、市房第二、緑川第一、緑川第二）の水車発電機等更新工事を進め、令和2年度には市房第一及び市房第二発電所の工事が完了し、FIT適用による発電を開始した。緑川第一及び緑川第二発電所は、同工事に伴い令和3年度は発電を停止していた（令和4年度から発電開始）。なお、市房第一発電所は、故障により令和3年4月から7月まで発電を停止した。●経常収支比率、営業収支比率平成30年度以降は、水車発電機等更新工事の現地施工に伴う発電停止により、経常収支比率及び営業収支比率とも100％を下回っているが、令和3年度は、市房第一発電所の故障による発電停止に伴う電力料収入の大幅な減少により、前年度を大きく下回った。●流動比率水車発電機等更新工事の財源として企業債の発行による資金借入を行ったため、流動資産である現金が増加したが、同工事に係る未払金や企業債償還元金の大幅な増加により流動負債が増加したため、流動比率は前年度を大きく下回った。●供給原価経常費用は前年度より若干減少したが、供給電力量が市房第一発電所の停止により、前年度の6割程度に減少したため、供給原価は前年度の1.5倍超となった。

経営のリスクについて

●設備利用率発電方式、天候、地域特性に大きく左右されるが、令和3年度は、水車発電機等更新工事に伴う緑川第一及び緑川第二発電所の発電停止並びに市房第一発電所の故障停止により、設備利用率は前年度より低下した。●修繕費率緑川第二発電所の修繕費が増加したため、修繕費率は前年度より上昇した。●企業債残高対料金収入比率企業債の発行に伴い企業債残高が増加する一方、市房第一発電所の故障による発電停止により料金収入が大幅に減少したため、企業債残高対料金収入比率は前年度より大幅に上昇した。●有形固定資産減価償却率令和2年度に水車発電機等更新工事が完了した市房第一及び第二発電所の減価償却費が増加したため、有形固定資産減価償却率は若干上昇した。●FIT収入割合令和3年度は、FIT適用の市房第一及び第二発電所並びに緑川第三発電所(R3.12月まで)、非FITの菊鹿発電所及び笠振発電所が稼働していたが、収入の大半をFIT適用の市房第一及び市房第二発電所が占めている状況。市房第一発電所の故障による発電停止により、前年度を若干下回ったものの、全国平均と比べかなり高い水準となった。＊風力発電については、令和元年9月に民間譲渡を行っているため、令和2年度以降のデータはない。

全体総括

令和2年3月に策定した第5期経営基本計画である「県企業局経営戦略2020」に基づき、経営基盤の強化を図るとともに、新規水力発電所の開発に向けた調査検討や地域貢献に取り組んでいくこととしている。なお、水車発電機等更新工事の現地施工に伴う発電停止により平成30年度以降は赤字となっているが、同工事が令和4年度末に完了し、令和5年度以降は黒字に転じる見込みであり、以降は安定した収入を見込んでいる。