経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率常に赤字状態であり、一般会計繰入金で収支差額を調整している。使用料収入の減少から、年々数値は悪化しているが、H30については、企業会計移行に伴う打切り決算の関係で、使用料収入が11ヶ月分しか入らないので、例年よりも低い数値になっている。④企業債残高対事業規模比率建設事業に伴う新規借り入れがないことと、企業債残高のほぼ全額が、一般会計負担分のため、全期間にわたって0である。⑤経費回収率、⑥汚水原価処理区の規模に比べて水洗化人口が少ないため、使用料収入が少ない反面、維持管理費は割高になる。そのため、経費回収率は100%を下回っており、汚水処理原価も高い範囲で推移している。H30については、打切り決算の関係で収入が少ないため、さらに悪い数値となっている。⑦施設利用率H30末の水洗化人口は422人と、計画人口の3分の2に減少しており、さらに節水意識の向上及び節水機器の普及により処理水量が減少していることから、60%を下回る低い水準になっている。⑧水洗化率H28に90%を超えたものの、その後は、89%と90%の間で推移している。今後も処理区全体の人口減少と水洗化人口が減少を続けていくと見込まれるため、厳しい状況が続く。
老朽化の状況について
喜木津・広早処理区はH4、磯崎処理区はH5の供用開始と、管渠の耐用年数から見れば、比較的新しい施設であるため、管渠の改善・更新は行っていない。一方、喜木津浄化センター及び磯崎浄化センターについては、供用開始から20年が経過していることによる機械類の経年劣化が進んでおり、老朽化している状況と言える。また、7箇所あるマンホールポンプについても同様の状況である。そこで、平成28年度から、処理場の小修繕を計画的に行い、長寿命化を図っているところである。
全体総括
少子高齢化と若年層の流出により、処理区内の人口は減少の一途をたどっており、今後も増加は見込めない状況である。反面、施設については、年を追うごとに老朽化が進行するため、維持管理費は増高していく。このような状況で下水道事業を安定して経営していくためには、処理場の長寿命化により、維持管理費を抑えていく必要がある。また収入面では、使用料の改定が考えられるが、当地区は、現状でも公共下水道に比べて高い水準にあるため、下水道料金の改定は困難な状況である。今後は、経営戦略に基づき、水洗化率の向上と経費の削減を図っていきたい。また、H31に企業会計に移行したので、公営企業としての効率性を発揮して、経営の合理化に努めていきたい。あわせて、企業会計としての経営戦略の見直しも行う予定である。