経営の健全性・効率性について
経常収支比率が100%以上であり、単年度の収支は黒字となっているが、累積欠損金が生じていること、流動比率が100%未満であること、また、経常収益は使用料収入以外の一般会計からの繰入れに依存しているなど、経営改善に向けた取組を行う必要があります。企業債残高は、投資規模の増大により類似団体平均値より高い比率であるため、使用料の見直し検討や接続率向上に取組む必要があります。経費回収率においては、汚水処理に要する維持管理費を使用料収入で賄えていない状況にあるため、使用料の適正化に向けて分析を進めるとともに、資本費については、現在処理場能力が過大なものについて、早期接続に向けた取組を強化する必要があります。汚水処理原価においては、1,368.75円と類似団体平均値343.49円より3.98倍高い数値を示しており、将来的に変動する汚水処理費や年間有収水量を予測しつつ、使用料の適正化について検討を進める必要があります。施設利用率においては、平成29年度から供用開始した崎浜地区の稼働率が低いことから、適切な施設規模となるよう地区内の接続率向上に向けた取組を進める必要があります。水洗化率においては、上述の崎浜地区を重点的に、早期接続を啓発すると共に、未接続者の実態等を把握し、水洗化の普及促進に向けた取組を進めます。
老朽化の状況について
漁業集落排水施設のうち、最も整備年数が経過した施設は、平成元年度から供用を開始しています。管渠施設については、不明水流入が確認されるなど、最も整備年数が経過した地区において、更新・修繕が必要となっていることから、令和2年度に策定した機能保全計画に基づき、今後、詳細設計を実施するなど、計画的かつ効率的な維持修繕の取組を進めます。
全体総括
漁業集落排水施設は、崎浜地区において平成29年度から一部供用しており、令和元年度に管渠整備を完了しています。供用区域の拡大に伴い、使用料収入の増収が見込まれますが、令和2年度に策定した漁業集落排水施設機能保全計画に基づき、老朽化施設の更新・修繕を進めることとしており、その費用に係る財源を確保する必要があることからも、使用料の適正化とより一層の接続率の向上対策を進める必要があります。今後とも漁業集落排水事業に係るトータルコストの大幅な縮減を図り、効率的かつ効果的な事業運営に努めることとしています。