経営の健全性・効率性について
収益的収支比率はここ数年上昇傾向であったが、令和3年度については68.59%と、前年度から大きく率を下げてしまった。これは総収入の減少によるところが大きく、経費回収率についても前年度から率を下げていることから、使用料だけで経費を回収することは難しい状況となっており、使用料については金額設定及び徴収対策の両面で適切な対応が必要となっている。起債残高は減少傾向にあるが、企業債残高対事業規模比率については、類似団体平均値を960.56%と大幅に上回っている。漁業集落排水施設は平成13年度の供用開始から20年程度経過したため、令和4年度から施設の設備更新事業を実施しており、これ以降は起債残高が増加していくと考えられる。施設利用率は、類似団体平均値を14.48%下回り、14.29%とかなり低い状況が続いている。水洗化率は緩やかな上昇を続けており、類似団体平均値の減少が続いていることから、類似団体平均値とほぼ同水準へと近づいてきているが、人口の減少が進む中、もともと処理区域内の人口が少ないこともあり、新規接続は今後停滞していくと考えられる。処理能力に対して施設稼働状況はかなり余裕があるので、最大時の稼働率を考慮しながら、施設の規模適正化を検討する必要がある。
老朽化の状況について
管渠については、平成13年度~17年度に供用開始されてからまだ耐用年数を経過しておらず、更新を実施していないことから、管渠改善率は0.00%となっている。
全体総括
使用料収入では汚水処理費の4割程度しか賄えていない状況が続いており、一般会計繰入金により経営の健全化が図られていることから、料金適正化などの経営改善が必要な状況ではあるが、同一会計の特環下水道事業と料金格差をつけることは難しいため、下水道事業全体での料金適正化を検討していく必要がある。効率性に関しては、施設利用率及び水洗化率が類似団体平均値を下回っており、特に施設稼働率については低水準で推移しているなかで、施設老朽化に伴う設備の更新事業が令和4年度から開始されることから、実施にあたっては適正な施設規模の検討が必要となっている。管渠については耐用年数を経過していないため、当面の間更新は必要ないが、不明処理水があることから、破損個所の調査など対策の検討が必要となっている。