坂出市：公共下水道

経営の健全性・効率性について

昭和５２年に下水道事業に着手し，昭和６０年から供用開始した。過去においては，瀬戸大橋の架橋や四国横断自動車道建設，鉄道高架および坂出駅周辺整備事業等の大型プロジェクトに取り組んだことにより，汚水事業に対する投資を抑えたため，汚水事業の整備が遅れることとなった。一般会計からの繰入についても大型事業の影響で一時期，ほぼ基準内繰入のみとなったため資金不足が生じ累積赤字が膨らんだ。このため国，県から指摘を受け，下水道事業経営健全化計画を作成し，平成２７年度をもって累積赤字を解消した。収益的収支比率は平成２９年度において対前年比で総収益（主に下水道使用料）が増加し，総費用（主に支払利息）が減少したことから，数値がわずかながら上昇した。企業債残高対事業規模比率については類似団体より下回っている。平成１４年度が企業債残高のピークであり残高についてはその後，健全化計画により，投資を抑えたため徐々に下がってきている。平成２９年度において県道富士見町線の拡幅に伴い西部雨水幹線工事を行ったことにより事業費・企業債残高が上昇したため，対前年値も上昇した。費用回収率は１００％な状態である。汚水処理原価は，類似団体・全国平均を上回っていることから，水洗化率の向上による有収水量の増加に努めなければならないが，下水道整備の遅れにより既に浄化槽を設置していたり，高齢化や家屋の老朽化により下水道への接続のための改修費用の捻出が難しい等の経済的な理由で接続しない世帯が多く，水洗化率が７７．９８％必要がある。

老朽化の状況について

昭和５３年度よりコンクリート管および塩化ビニール管による管渠整備を開始し，平成２９年度末現在の管渠整備延長は約８４．０㎞現在のところ法定耐用年数を経過していないため管渠改築等は実施していない。平成２９年度よりストックマネジメント計画の策定に着手しており，初年度は汚水・雨水ポンプ場と管渠を対象とした全体計画を策定した。今後は平成３３年度までに耐震診断や詳細調査を行い，実施計画を策定し，平成３４年度以降，施設更新に取り組む予定である。

全体総括

経営健全化計画により平成２７年度に累積赤字を解消したが，財源に占める一般会計からの繰入金が多額である状況は変わりない。平成３２年度より公営企業会計への移行することで，財務諸表に基づき，より効率的な事業運営に努めたい。また公営企業会計への移行と並行して，平成３２年度までに経営戦略を策定し，経営の健全化を図っていく。建設事業については幹線整備から面整備へと変わっていくことにより，有収水量の伸びや使用料の増加が期待できる。限られた事業費の中で，地元要望等を勘案し，投資効果の高いところから重点的に事業を実施する予定である。