経営の状況について
○収益的収支比率平成29年度は前年度より26.7ポイント下がり94.7%となり平均値を下回る結果となった。平成29年度は平成28年度ほど降雨に恵まれず100%を切り赤字となった。業務委託を行い人件費を圧縮したことは、総費用が減少し比率の良化に貢献していると考えている。本町施設は初期投資の規模が巨大で指標の分母となる地方債償還金も多額であることから平均より低い傾向にある。○営業収支比率前年度より下がったが、経常的に100%を超え営業収支は黒字を継続している。今後の施設の長寿命化に対応するため、繰越金の一部を電気事業基金へ積立し財源の確保を図っている。○供給原価平成28年度より2,300円余り上がったが、平均値を下回り、他団体と比べると費用は安価になっている。地方債償還金が指標に大きく影響し、平成37年度にピークが来ることから、更なる経常経費の抑制を検討する。○EBITDA(減価償却前営業利益)経年の推移をみて収益が継続して成長しているかを判断する指標であり、降雨量の影響による高低はあるものの、業務委託により人件費を圧縮したことで収益性は微増を見込む。
経営のリスクについて
○設備利用率対前年度比12.5ポイント減少し51.9%となったが、平均値を上回っており、安定した施設の稼働ができた。平成27年度においては降雨量が少なく、設備利用率は低い数値となっているが、それ以外の年度は平均値と同程度の数値となっている。また、資源エネルギー庁の「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告」(平成27年5月発電コスト検証ワーキンググループ)で設定されている設備利用率は小水力発電で60%とされてていることから、累計平均で若干下回るものの概ね妥当な水準と考えている。○修繕費比率費用のうち、施設修繕、管理やメンテナンスにかかっている割合を表す指標となるが、平成29年度においては施設修繕の経費がほとんど発生していない。施設の稼働が16年を迎えるため、今後は施設の長寿命化に向けた計画的な更新(修繕)により年度間の平準化を図る必要がある。○企業債残高対料金収入比率企業債の現在残高が高額であるため、平均値を上回る数値となっているが、企業債現在高は、順調に減少している。他団体との比較で本町の数値の高い要因として、本町が元利均等償還で借り入れを行っていることから、元金均等に比べ残高の減りが遅いことや、一般会計の負担を約束したものがないことなどが考えられる。借入金の86.7%が25年債であり、平成37年度から39年度に多くの償還が完了する予定であり、その直前年度あたりで数値が良化していくものと見込んでいる。○FIT収入割合本町の電気事業施設は平成15年度に運転を開始しており、再生可能エネルギー固定価格買取制度により売電した収入は無いことから、単価下落による収入減少のリスクは無いものと考える。
全体総括
本町の電気事業施設は平成15年4月の営業運転開始以降、大きな故障もなく順調に稼働(運転)している。小水力発電所は、自然環境(降雨量)により発電量や売電収入に影響を受けるところが大きいが、安定的な運転に努める。施設の長寿命化を図るため、定期的な点検を行い大規模な修繕(更新)に備える。また、経常的経費の削減に努め、大規模修繕(更新)に向けた財源確保のため基金へ積立を行う。法適化については、施設規模が条件に満たないため現在のところ考えていないが、必要に応じ検討する。経営戦略については、策定に未着手ではあるものの平成32年度までに策定しなければならない課題として捉えている。