経営の状況について
①収益的収支比率H26年度に比べ27.8ポイント減少し、100%を下回る数字となった。水力発電は降雨状況に収益が大きく左右され、H27年度は前年度に比べ降水量が少なかったため、発電量の低下に伴い売電収入が減少し指標が下がった。初期投資の規模が巨大で指標の分母となる毎年の地方債償還金も多額であることから、平均値より低い傾向にあるが、5年間の平均値が98.1%となることや一般会計からの繰入金もH24年度を除き職員給相当額未満の水準にあることからも概ね目標値と考えている。なお、H28年度から直営で職員が行っていた仕事の一部を業務委託し収支の改善へ向け取り組んでいる。②営業収支比率営業収益(売電収入)の減少により前年度より120ポイント減少したが100%を上回っている。今後の施設の長寿命化に対応できるよう、繰越金の一部を電気事業基金へ積立し財源の確保を図っている。③供給原価前年対比で上昇したが平均値を下回っている。地方債償還金が指標に大きく影響しており、H37年度に既発債の償還金がピークとなることから当分の間は高い数値で推移するものと考えており、更なる経常経費の抑制を検討する。④EBITDA(減価償却前営業利益)H24年度とH27年度において減少したが、降雨状況を要因とする変動であり、その他の年度においては横ばいにある、その他の年度において生じた余剰金は必要な修繕に充てた残額を電気事業基金に積立て大規模修繕に備えている。
経営のリスクについて
①設備利用率前年度より17.2ポイント下がり、平均値よりも下回っている。降雨状況により設備の利用率(発電量)に影響があることから他の発電を含めた施設全体平均と比較すると不安定ではあるものの、全ての年度において平均値を上回っている。また、5年間の値を平均すると56.7%で水力発電平均61.0%と比較すると4.3ポイントと僅かに低い。②修繕費比率前年度より下がっているが、H27年度は突発的な事由により増加しており、運転を開始して10年以上が経過するなか修繕を先送りしてきていることが要因と考えられる。なお、H26年度は3年ごとの定期点検により増加しているものである。今後は施設の長寿命化に向け、計画的な更新(修繕)により年度間の平準化を図っていく必要がある。③企業債残高対料金収入比率企業債現在高が高額であるため平均値をはるかに上回る数値となっている。料金収入は降雨状況に影響されるが、企業債現在高は順調に減少している。なお、他団体と比較し高い要因としては、本町が元利均等償還で借入を行っていることから残高の減りが元金均等に比べ遅い事や、一般会計の負担を約束したものが無いことなどが考えられる。借入額の86.7%が25年債でありH37~39年度に償還が完了することから、その直前年度辺りで数値が良化していくものと見込んでいる。④FIT収入割合本町の電気事業施設は平成15年に運転を開始しており、再生可能エネルギー固定価格買取制度により売電した収入は無い事から、単価の下落による収入減少のリスクは無いものと考える。
全体総括
本町の電気事業は平成15年の運転開始以来大きな故障もなく順調に運転をしている。小水力発電所は降雨状況により発電量や売電収入に影響を受けるところが大きいが、安定的な運転に努める。経常的経費の削減に努め、大規模修繕に向けた財源確保のための基金に積立てを行う。また、施設の長寿命化を図るため、定期的な点検を行い大規模な修繕に備える。法適化については、施設規模が必須条件に満たないため現在のところ考えていないが、必要に応じ今後検討する。経営戦略については、策定に未着手であるものの平成32年度までに策定しなければならない課題として捉えている。今回の経営比較分析表の取組みを契機に検討を進めていきたい。