経営の健全性・効率性について
当該事業の経営にあたっては、使用料収入のみでは賄いきれず、一般会計繰入金より賄っている。収益的収支については、収支率100%を下回る赤字状態である。H29は71.36%、H30は91.28%、R1は61.35%、R2は109.53%であり、R3には62.05%に減少している。収支率変動の主な要因は、R1は災害等により予定外の修繕等が発生したことにより、総費用が総収益と比較して高くなったこと、R2は一般会計繰入金が総費用と比較して高い水準となったことである。R3については、公営企業への移行業務を開始したことにより、例年と比較して総費用が高くなったため、収益率が低くなっている。企業債残高対事業規模比率については、H29以降類似団体よりも高い傾向にある。建設当時の借入金償還はR6の完済に向けて減少していくため、事業規模比率はR5以降減少すると分析している。施設利用率は、更新工事において、現状に見合った処理能力に見直しされたことから24.00%と改善している。しかしながら、観光型集落であることから、夏期のピーク時に対して計画しているため、類似団体と比較すると低い数値となっている。使用料収入については、水洗化率100%、徴収率も100%で滞納もない状況である。汚水処理原価は、H29~H30には類似団体と比較しても若干抑えられているが、R1~R3については委託料の増加によりH29~30と比較して高くなっており、また各年度の修繕費のばらつきにより汚水処理原価が変動している。近年は類似団体と同程度となっており、今後料金改定等により経営健全化を図っていく必要があると考える。
老朽化の状況について
H7の供用開始から、約26年経過した中、H26からH27にかけて、集落排水処理施設(排水処理場、中継ポンプ場、官渠)の健全度調査を行い機能保全計画を策定した。排水処理場については、機器等の老朽化が著しいため、H28より更新工事に着手しており、R3に完了している。管渠については、調査の結果、健全度が保たれているため、現在のところ、改築又は更新計画はない。
全体総括
経営健全化の手法として、人件費削減、広域化による施設統廃合の改善等があるが、当該事業は受益戸数が100戸に満たない小規模なもので、人件費は一般会計事務の職員が兼務しており、予算計上されていない。普及率及び水洗化率はともに100%で、使用料の徴収率も100%である。今後の広域化による公共下水道との施設統合は、集落が遠方で孤立しているため困難である。経営健全化対策としては、処理施設の更新工事において、処理能力及び処理方式を見直すことにより、更新工事費及び電気料、汚泥引抜料の維持管理費の削減を図ったところであり、今後は公営企業会計への移行により、経営状況を明確化した中で、経営健全化対策検討する必要がある。