地域において担っている役割
地域の中核病院として、救急医療、高度医療、地域に不足する医療の充実に取り組んでいます。救急医療では年間190日以上担当し、救急日に合わせて小児初期救急も行っています。高度医療ではMRIやCT等の医療機器の更新を行うなど医療環境の整備を図っています。また、圏域では産科医療機関が1診療所のみとなっており、産科医療を確保するため、当院から助産師を派遣しています。
経営の健全性・効率性について
平成28年度以降、経常収支比率、医業収支比率が100%を下回る状況が続いています。令和元年度も単年度収支で損失を計上したことにより、累積欠損金が増加する結果となりました。主な要因として、入院患者1人1日当たり収益が下がったことや、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2月、3月の収益が減少したことが挙げられます。また、165床のうち29床が休床のため、病床利用率が平均値より低くなっていますが、病床利用率は収益確保の目安であることから、稼働病床の利用率を上げていく必要があります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、器械備品減価償却率は前年度より上がり、平均値も上回っている状況にあります。減価償却率が上昇傾向にあるということは建物の老朽化が進み、医療機器の更新時期も迫っているということになります。1床当たり有形固定資産は平均値を下回っており、過大な投資を行っていないと言えますが、建物については、更新時期を見据え、適正な維持管理を行い、医療機器については、耐用年数、使用状況を踏まえた更新を行っていかなければなりません。
全体総括
経営の健全性・効率性では、累積欠損金が増加したことから、収益の増加を図り、経常収支、医業収支の改善をしていかなくてはなりません。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により収益が悪化しており、また、救急医療、新型コロナウイルス感染症対策に伴う人件費の増加により、職員給与費対医業収益比率の改善も厳しい状況にあります。老朽化の状況では、減価償却上の耐用年数39年に達した建物もあることから、更新について検討しているところです。器械備品の購入についても同様のことが言えますが、過大な投資をせず、更新後も将来の減価償却費の増大が負担にならないよう、計画的に行っていく必要があります。