地域において担っている役割
大崎・栗原医療圏における高度急性期・急性期医療を担う。
経営の健全性・効率性について
平成26年度においては,地方公営企業会計基準の見直しや,移転・新築に伴う関連経費の発生及び診療制限の実施などの影響により収支が悪化し,その後の建物や医療機器に係る減価償却費の計上により直近3年については経常収支比率及び医業収支比率共に100%を下回った。しかし,新規施設基準の取得等に努めた結果,平成28年度においては,経常収支比率及び医業収支比率ともに前年度結果を上回り,累積欠損金比率についても前年度比で△0.3pとなった。病床利用率及び患者1人1日当たり収益は,共に平均値を上回った。特に,患者1人1日当たり収益については,移転・新築に伴い標榜診療科の新設やDPCⅡ群病院の指定などにより診療機能の充実を図り,入院・外来ともに移転・新築前と比較して増加した。また,高度急性期機能の拡充により,高額薬剤や手術材料等の支出が増加しているため,材料費比率は年々増加傾向にあり,平成28年度は平均値を3.8p上回っており,後発医薬品や同種同効品への切り替えにより費用抑制を図りたい。給与費比率については,現時点において平均値を下回っているものの,現在休床している病床の稼働にあたり人材確保が必要となることから,安定的な看護配置により,適切な比率の維持に努めたい。
老朽化の状況について
当院については旧施設の老朽化や狭隘化が進み,医療機能についても分散していたため,平成26年度に現在地へ移転・新築を行った。移転・新築にあわせた機能拡充として,医療機器の一部を除き新設・更新したことから,各減価償却率については,平成26年度からの3年間平均値を下回る状況にある。1床当たりの有形固定資産額についても,前述の理由により平成26年度に資産額が増加し,その後3年間については平均値を上回る状況にあり徐々に資産額が増加している。
全体総括
平成26年度においては,地方公営企業会計基準の見直しや建物の移転・新築の影響を受け収支が悪化したものの,その後,医療機能の拡充に伴い,新規施設基準の取得や稼働病床数の増加により医業収益の増加を図ることができた。資産の老朽化状況については,移転・新築後2年が経過し,概ね問題ないものと考えるが,一部医療機器等については旧病院から継続利用し,更新が必要な資産もあるため,その収益性や保守等の経常的な費用について精査した上で整備を実施したい。新大崎市民病院改革プランで示す当院の果たすべき役割として,県北地域の基幹病院及び本市病院事業の中核病院として現行の医療体制を維持するとともに,更なる医療の質の向上を目指し,高度急性期,急性期医療に特化した医療機能を拡充していくこととしている。今後も市民が安心できる質の高い医療を提供し,かつ,本指標を活かしながら経営改善を図りたい。