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地方財政ダッシュボード

新潟県南魚沼市の財政状況(2020年度)

🏠南魚沼市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2020年度)

財政力指数の分析欄

平成20年度をピークに低下が続き、平成24年度からは横ばいで推移していたが、単年度としては平成26年度から低下傾向にあるが、令和2年度は地方消費税交付金が増額したことにより、財政力指数も増加した。3ヵ年平均は平成30年度からは0.41と横ばいが続いている。臨時財政対策債振替前の基準財政需要額は微減したものの、臨時対策債振替額が減少したため、基準財政需要額は増加した。基準財政収入額も全体的に微減したが、財政力指数は横ばいであった。公債費や公営企業(水道事業・病院事業・下水道事業)に対する補助金が高額であるなどの構造的な問題により、短期的な改善は難しい状況ではあるが、引き続き、保育所民営化や公共施設・インフラの維持補修費等の削減につながる集約化・長寿命化等を推進するとともに、市税徴収強化の取組等により財政基盤の強化に努めていく。

経常収支比率の分析欄

令和2年度は、前年度から0.7ポイントと微増したが、前年同様に類似団体平均値よりも低くなった。要因としては下水道事業が法適化したことによる影響が大きく、今後も同程度の水準を推移すると考えられる。給食センターの民間委託や学校及び保育園の統合による人件費、物件費及び維持補修費の削減を進めているが、いずれも目に見える効果が出てくるまでは時間がかかる見込みである。今後も医師確保等により病院経営が軌道に乗るまでは病院事業への繰出金が多額となることに加え、下水道事業への繰出金も高額で推移する見込みである。また社会保障経費の増加もあり、更なる経常収支比率の改善は困難である。今後も保育所民営化や公共施設の集約化など、さらなる経費の削減等に取組み、経常経費の圧縮に努めていく。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

類似団体平均値及び新潟県平均値と比べて高い水準となっている理由は、市外の区域も担当している廃棄物処理業務や消防業務等があることに加え、公立保育園17園の運営、公設民営子ども園3園の運営委託をしていることによる。また、平成29年度からふるさと納税返礼品事業を開始したことにより、物件費が増加している。令和2年度はふるさと納税返礼品事業の伸びに加えて、新型コロナウイルス感染症対策事業の影響により、大幅に増額している。平成29年度から学校給食調理の民間委託を進めたことにより物件費が増加したが、徐々に人員の削減が進むことにより今後の人件費の削減が期待される。

ラスパイレス指数の分析欄

類似団体や全国平均よりも低い水準で推移している。人口1,000人当たり職員数が多いことから、総額人件費を抑制するため、昇格、昇給基準や各種手当の見直しなどにより、人件費の抑制に努めてきた。令和2年度は、令和元年度とほぼ同じ水準となっている。今後も現在の水準を維持できるよう適正化に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

定員管理適正化計画に基づき、退職者不補充等により職員数削減を進めてきた。しかし、直営保育施設の割合が高いこと、市立病院の運営に医療職が必要なことや、隣接自治体の廃棄物処理、消防救急事務等を受託していることから、類似団体平均や全国平均に比べ大きく開きがある状況が続いている。職員数削減は進んだものの、人口の減少に伴い人口1,000人当たり職員数はほぼ横ばいの状況が続いている。業務の増大、多様化、複雑化により、職員数を削減するには大変な時期になってきていることは間違いないが、新規事業着手の際の既存事業の見直しや、組織・機構改革、民間委託、適正な職員配置、公務能率の向上等により、適正規模に近づけていけるよう努める。

実質公債費比率の分析欄

将来負担比率と同様に下水道事業が法適化した影響が大きく3か年平均としては1.1ポイントの減少となり、単年度としては11.6から12.6へと1.0ポイントと大幅な減少となった。元利償還金の額が115百万円減少したことが大きな要因であるが、今後は減少していく見込みである。大型の建設事業が概ね完了したが、新たなごみ処理施設と給食センターの建設を予定しており、その影響による増加は避けられないため、可能な限り改善を進めておかなければならない。事業内容の精査等により投資的経費を抑えることで新発債を抑制するとともに、優良債を活用することで比率改善に努めていく。

将来負担比率の分析欄

令和2年度は地方債残高が引き続き減少している影響に加え、下水道事業が法適化した影響が続き前年度から35.5ポイントの減少となり改善が見られた。しかし、退職手当負担見込額及び公営企業債等繰入見込額も減少した一方で、充当可能財源等のうち基準財政需要額算入見込額も大きく減少しており、安心できる状況にはない。平成30年度から、ふるさと納税による寄附金から返礼品等にかかった経費及び事業に充当した額を控除た額を基金に積み立てる運用をしているため、今後計画を策定し、大きく取り崩すまでは基金残高は一時的に増加している。標準財政規模が縮小していく中、合併特例債等の基準財政需要額算入率の高い地方債の償還が進んでいることから、将来負担比率は上昇していくものと見込んでいるものの、投資的経費を抑制することにより、将来負担比率の分子の増加を抑えるよう努めていく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2020年度)

人件費の分析欄

二度の合併と広域水道企業団及び広域連合の継承により、職員数は類似団体平均値よりも多いものの、定員管理適正化計画の確実な実行(退職者不補充、昇給・昇格基準及び各種手当の見直し、給与削減等)により、人件費の抑制に努めてきた。平成30年度から小、中学校や保育園の統合を実施してきている。施設数は減少しても正職員については配置転換により雇用を継続するため、短期的には効果が現れてこないものの、将来的な人件費の抑制につながる取組を行っている。令和2年度に大幅に増加しているが、会計年度任用職員の賃金(物件費)が報酬(人件費)になった影響であり、全国平均も同様に上昇している。今後も職員数の適正化と行政改革の取組を通じ、さらなる改善に努める。

物件費の分析欄

傾向としては、類似団体平均値よりも低い値で推移しているが、平成28年度には老人福祉施設を指定管理施設としたこと、平成29年度には給食調理の民間委託を開始したことにより増加している。令和2年度は会計年度任用職員の賃金が報酬となり、物件費から賃金に移項したことから減少した。これまで、保育所の公設民営化、指定管理者制度を活用した公共施設運営の推進等により、民間活用が可能な事業については直営から委託等に切り替えを行ってきた。今後も、保育所民営化や公共施設の集約化等により経費削減に努めていく。

扶助費の分析欄

平成27年度までは類似団体平均よりも低く推移してきたが、私立認可保育所(1園)の設置や子ども医療費助成等の増により、平成28年度にほぼその差はなくなった。平成29年度は横ばいとなったが、類似団体平均値が増加したことにより、結果的にその差が開いた。令和2年は1.4ポイント減少したが、会計年度任用職員の報酬が人件費になった影響で、一部扶助費に含んでいたものが人件費へ移項したものと考えられる。生活保護受給世帯や障がい者に対する介護給付費等の福祉関係経費は年々増加してきており、今後も保育所民営化や保育ニーズの多様化への対応、福祉関係施設に勤務する職員の処遇改善などの影響により扶助費の増加要素は多いことから、事業内容の精査や資格審査等の適正化に努める必要がある。

その他の分析欄

その他の比率については、維持補修費が4.8%、繰出金が9.0%となっており、前年度より0.9ポイント増加したものの、平成30年度から比べ数値は改善している。要因としては、繰出金の大半を占めていた下水道特別会計が法適化されたことにより補助金に移行したことが挙げられる。維持補修費については、当市では降雪具合により一定の金額を目指していくことは難しいので、公共施設の集約化等を進め、将来的な経費抑制につながる取組を進めなくてはならない。

補助費等の分析欄

平成27年度までは類似団体平均等を下回る比率で推移してきたが、平成28年度には病院事業会計に対する補助金が大幅に増加したことにより比率が悪化し、平成29、30年度は微減で推移した。令和元年度からは下水道事業が法適化し、繰出金から補助金等へ移動したことにより大幅に増加し比率が悪化した。令和2年度は改善は見られるが、新型コロナウイルス感染症による事業の中止の影響と考えている。補助費等については従来から、公営企業(水道事業・病院事業、令和元年度からは下水道事業)への補助金が大きな割合を占めている。病院事業については、経営が軌道に乗るまでは相当の補助が必要になるものと考えるが、経営状況等を注視し、明確な基準に従った適正な補助とするよう努めていく。下水道事業についても適切な繰出額を模索し、補助をしていく。

公債費の分析欄

平成19年度以降の公的資金補償金免除繰上償還や、近年の超低金利政策下における高利率の地方債の借換え等により利子負担は大きく軽減することができた。しかしながら、市町村合併に伴い、平成29年度までに一体感の醸成や地域間格差の是正、施設の統廃合などに係る投資的事業が集中したことに加え、今後は公共施設等の集約化長寿命化を進める必要があり、しばらくの間は公債費の大きな減少は見込めない状況にある。公共施設等の集約化・長寿命化を除き、必要なインフラ・施設等の整備が一段落したことから、今後待ち受ける廃棄物処理施設の整備を見据え、投資的経費を縮減し公債費の抑制に努める。

公債費以外の分析欄

公債費以外の経常収支比率については、異常少雪等による経常経費の減によって減少した平成27年度を除くとほぼ類似団体平均や全国平均と同程度で推移している。令和元年度以降は下水道事業が法適化したことにより類似団体よりも大幅に下回った。合併以降、財政健全化計画に基づき、各種の見直し等を進めてきた結果、公営企業等他会計への補助金及び繰出金を除き、一定の経常経費の削減成果は表れている。各種事業の民間委託を進めていく中で、現在は一時的に経費が増加している部分があるが、徐々に人件費等の削減効果が表れてくる予定である。公営企業等他会計の状況を注視しつつ、引き続き不断の事務事業改善により削減を進めていく必要がある。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

令和2年度は新型コロナウイルス感染症に係る事業によって変則的な増減をしているものが多い。総務費が大きく増加したのは、新型コロナウイルス感染症における定額給付金事業の影響である。また、ふるさと納税返礼品事業の伸びによる影響も加わっているため、定額給付金事業がなくとも増加していたと考えられる。衛生費が類似団体平均よりも高くなっているが、これは水道事業及び病院事業に対する補助並びに市外区域も担当している廃棄物処理業務が主な要因である。今後、廃棄物処理施設の整備更新を計画しているため、数年後には再び増加すると見込んでいる。農林水産業費も増加しているが、令和元年度において下水道事業会計に対する補助金を誤って全て土木費に計上しており、令和2年度に分類を修正したことによるものである。商工費も大幅に伸びているが、これは新型コロナウイルス感染症の経済対策事業としてプレミアム付商品券事業を行ったことによる影響である。土木費については、市域面積が広く人口密度が低いことから下水道費が高額なことに加え、特別豪雪地域であるために除雪経費が嵩むことで類似団体平均より高額となっている。県平均も同様に高水準であることから地域特性によるところが大きいものと捉えている。また、先述のとおり令和元年度の下水道事業会計への補助金を令和2年度に修正した結果、土木費は減額となっている。ただし、大型事業も一段落したため、普通建設事業費も減少している。消防費については衛生費の廃棄物処理業務と同様に、市外区域の消防業務を担当しているため類似団体平均値よりも高い水準である。なお、平成30年度の増加は、消防車両等の更新によるものである。教育費について、小学校の統廃合は一段落してきたが、新型コロナウイルス感染症対策や残存施設の除却工事等もあり、事業費は増額となった。諸支出金において平成28年度の数値が大きくなっているのは、土地開発公社の解散に向けて公社から普通財産を取得したためのもので、今後増加の見込はない。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額から算出した住民一人当たりコストは731,187円(前年度比+23.3%)となった。これは1人に10万円の定額給付金事業等、新型コロナウイルス感染症対策のための事業で決算額が前年度比+8,941百万円と大幅に増加したことによるものである。各団体によって新型コロナウイルス感染症対策事業の内容が異なるため、令和2年度は類似団体や県平均と比較することは難しいが、例年と変わることなくさらなるコスト削減の取り組みを進めている。性質別に特徴的なものを見てみると、人件費については、令和2年度は会計年度任用職員制度が始まり、賃金(物件費)の廃止に伴い、報酬(人件費)へ移行したため、人件費は増加している。類似団体と比べ高水準にあるが、直営保育所の割合が高いことや、隣接他団体の廃棄物処理、消防救急等の業務を受託していることによるものである。物件費も増額となっているが、ふるさと納税事業の伸びにより業務委託料が増加していること、またふるさと納税の一部を基金に積み立てる運用をしていることから、積立金も大幅に増加している。維持補修費については、日本有数の豪雪地域であることから除雪経費が例年大きな割合を占めており、類似団体平均よりも高い要因となっている。令和元年度は異常少雪の影響により大幅に減少したが、令和2年度は大雪となったため、大幅にリバウンドする結果となった。補助費等については、前述の定額給付金事業により大幅に増加した。さらに令和元年度から下水道事業が法適用となったため繰出金から補助金等へ移動した影響もあり、住民一人当たりの経費が高水準となっている。普通建設事業費については、合併特例債を活用した施設等の整備が集中していたが平成27年度をピークに減少し、平成29年度で統合中学校、し尿等受入施設等の整備が完了したことにより、大きく減少した。公債費については、合併特例債を活用した大規模な投資事業が続いたことから高水準で推移しているが、普通建設事業とリンクしゆるやかに減少に向かう。繰出金については、前述のとおり、下水道事業への繰出が補助金等へ移動したため、大幅な減額となった。投資及び出資金については、事業会計の繰入内容に合わせて資本的支出については投資で支出する整理としたため、近年は増加している。

実質収支比率等に係る経年分析(2020年度)

分析欄

財政調整基金残高については、平成28年度に土地開発公社解散に向けて公社保有土地の取得費に充てるため、440百万円の取崩しを行ったことにより残高が減少した。平成29年度にはふるさと納税返礼品事業を開始したことにより、寄附額から事業費を差し引いた額を財政調整基金に積み立てたが、平成30年度に同額を取り崩した。その後は増加については、別表「基金残高に係る経年分析」にて説明のとおりである。現状の標準財政規模比10%程度を基本線としつつ、今後も災害等の突発的な事象への備えとして一定額を確保するよう努めていく。実質収支は前年度の1,242百万円から55百万円増の1,297百万円となり、単年度収支は2年連続プラスとなった。実質単年度収支も261百万円とプラスとなった。プラスの要因として、令和元年度については異常少雪による維持補修費の減、令和2年度については大雪だったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により多くの事業を中止し、全体的な歳出が減少したことが要因と考えている。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2020年度)

分析欄

水道事業会計については、2,014百万円の剰余額があるものの、施設更新計画による今後の投資に多額の費用がかかることが想定されるため、将来的には剰余金は減少していく見込みである。一般会計では、標準財政規模比での黒字割合は令和元年度と2年度については増加しているものの、異常少雪と新型コロナウイルス感染症の影響といった特殊事情であり、基本的には4%程度で推移すると考えている。歳出額の抑制が進んだ一方で、歳入額の減少もそれ以上あり、普通交付税の合併算定替の縮減が終了する令和3年度までは同様の傾向が続くと考えられる。地方債残高が高水準にあることから、地方債発行の抑制による黒字幅の縮小について、より意識的な取組みに努めていく必要がある。病院事業会計については、平成23年度から資金不足を解消するために一般会計から繰出しを行っている。平成27年度の南魚沼市民病院や魚沼基幹病院の開院に合わせた地域の医療再編が、当市の体制整備を除き不完全であるため、経営状況が安定しているとは言えない状況にある。市立病院群の新体制移行に伴い多額の企業債を発行したこともあり、経営支援のための一般会計繰出金も増加している。令和元年度には南魚沼市医療対策推進本部を立ち上げ、経営改善を含めた「医療のまちづくり」事業を推進している。

実質公債費比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

平成25年度以降、合併特例債の償還金が増加していることにより、元利償還金は増加傾向にあったが、平成28年度をピークに数年は減少傾向となる見込みであった。しかし、平成29年度より据え置き期間の見直しを行ったことで、再度令和2年度に向け増加した。公営企業債の元利償還金に対する繰入金については、水道事業は高料金対策に対する繰入額が繰出基準に該当しなくなったこと、また下水道事業が法適化したことにより、基準内繰出が減少したことが大幅に減少した要因である。合併特例債や平成23年7月新潟・福島豪雨災害に伴う災害復旧事業債の償還額が増え、元利償還金が高額となっているが、いずれも算入公債費比率が高いため、算入公債費等も同じく高額となっている。実質公債費比率が類似団体や県内平均と比べて高い比率にあること、また、合併特例債の発行が限度額に近づいていることから、実質公債費比率の分子を減少させるために、今後は努めて投資的経費を抑制する必要がある。

将来負担比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

一般会計等に係る地方債の現在高については、大規模な投資的事業が一段落し償還も進んできたため、廃棄物処理施設の更新事業に着手するまでの数年間は、緩やかに減少していく見込みである。しかし、合併特例債、災害復旧事業債など基準財政需要額への算入率が高い地方債の償還が進み、基準財政需要額算入見込額も減少するため、安心できる状況にはない。公営企業債等繰入見込額は、全事業について減少したが、今後は医療機器の更新が控えている病院事業の見込額の増加が見込まれる。充当可能財源については増加しているが、主としてふるさと納税を財源とする基金の増によるものである。しかし、当基金の目的は寄附者の意向に沿った事業に充当するため短期的に積み立てているにすぎず、さらに恒久的に続く制度ではないため、臨時的・一時的な増加であると考えている。したがって、充当可能財源の増を図るより、むしろ地方債現在高を減少させることに重点を置く必要があると認識しており、計画的に投資的経費を抑制していくこととしている。

基金残高に係る経年分析(2020年度)

基金全体

(増減理由)基金全体としては、平成30年度からふるさと納税による寄附金のうち、市が活用できる金額を「ふるさと応援基金」として管理し始め、ふるさと納税の増加に伴い基金全体に占める割合も増え、全体額が増加している。(今後の方針)特定目的基金についてはその目的により取り崩しを行っていくが、財政調整基金及び減債基金については、可能であれば積み増し、基金残高全体としては現在の水準を確保していくように努力していく。

財政調整基金

(増減理由)平成30年度から残高が増加しているが、基金運用益を除く余剰資金を積み立てたものではなく、ふるさと納税返礼品の定期便に係る経費のうち、年度をまたぐ翌年の経費を年度末に積立て、翌年度に同額を取り崩して運営している。そのため年度をまたぐ定期便の申し込みが増えていくにつれ、財政調整基金も増加していく仕組みとなっている。ただし、令和2年度においては、令和3年度以降の新型コロナウイルス感染症対策事業に備え、50,000千円を積み立てた。(今後の方針)平成23年の災害を教訓に、災害等の突発的な事象への備えとして一定額を確保するため毎年積み増していきたいところだが、除雪経費が他市に比べ大きく、さらに不確定要素として大きなウェイトを占めている当市においては計画的な積立は難しい。標準財政規模比の10%程度を最低限確保するよう努めていく。

減債基金

(増減理由)平成22年には437百万の残高があったが、平成23年の災害を機にほぼすべてを取崩し、平成25年に86百万円を積み立ててからは数万円の運用益を積み立てる程度であり現在の残高を維持している。(今後の方針)将来金利が上昇し借換債を発行するのが不利な状況となった場合に備え、7億円程度の残高を確保したいが、優先度としては財政調整基金を積み増すほうが上となる。財政調整基金の積み増しが難しい現状では、せめて現在の残高を維持するほかない。

その他特定目的基金

(基金の使途)南魚沼市合併振興基金:市民の連帯の強化及び地域振興のための事業費用に充てるため南魚沼市ふるさと応援基金:南魚沼市ふるさと応援寄附金を管理し、寄附者の思いを反映した施策に活用し、魅力あるまちづくりを推進するため南魚沼市ふるさと基金:南魚沼地域広域計画協議会における広域的な事業の実施のため南魚沼市人材育成及びリゾートオフィス・田園都市構想松井基金:南魚沼市の産業の発展に寄与するイノベーション人材の育成及び人や企業を呼び込み地域の活性化を促進するリゾートオフィス・田園都市構想の推進に係る財源に充てるため南魚沼市国際交流及び文化・スポーツ基金:市民の国際親善交流の振興及び青少年の文化・スポーツの向上を図る費用に充てるため(増減理由)南魚沼市合併振興基金:平成29年度以降は充当事業に関する考え方を再度まとめるために取崩しを休止している。南魚沼市ふるさと応援基金:平成30年度に創設した。令和2年度は小学校のトイレ改修事業、通学用バス更新事業等に充てるため323,500千円取り崩し、ふるさと納税による収入のうち1,496,741千円を積み立てた。南魚沼市人材育成及びリゾートオフィス・田園都市構想松井基金:株式会社アルプス技研創業者松井利夫様の寄附金を財源とし、300,000千円を積み立てた。令和2年度中にイノベーション事業に740千円充当し、運用益11千円を積み立てた。南魚沼市国際交流及び文化・スポーツ基金:例年は中学生海外派遣事業、中学生各種大会補助等に充てていたが、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、一部事業は中止となった。令和2年度は1,265千円を取り崩し、運用益3千円とふるさと納税による寄附金の一部等3,186千円を積み立てた。(今後の方針)各基金ともに使途に従って取り崩し、該当する事業に充当していく。合併振興基金については、最も効率的に基金をいかす方法を模索し、充当事業に関する考え方をまとめた後に事業に充当していく。ふるさと応援基金については、基金残高も多額になってきたため、令和4年度以降に基金利用計画を作成し、今後の活用を考えていく。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2020年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

近年では合併特例債を活用し、図書館や運動公園等の合併後新市の一体性の確立や均衡ある発展を図るための施設を新たに整備してきたが、公営住宅、公民館といった地域ごとに整備された施設については、1980年から1994年までに建設されたものが多いため、今後はそれらの長寿命化と集約化等による適正管理に重点的に取り組む必要がある。有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値よりやや大きくなっているが、機能が重複している施設、地理的に近接している施設については集約化・複合化等により整理を進めて減少に努めたい。平成28年度に策定した公共施設等総合管理計画では、統合や廃止による施設の総量縮減の目標は計画期間の30年で15%としている。

債務償還比率の分析欄

大規模な投資事業が一段落し、地方債残高は減少傾向にある。それに加え、令和元年より下水道事業が公営企業法全部適用となったため、将来負担額が大きく減少した。令和2年度はふるさと納税の収入増により充当可能財源が増加したことで比率が類似団体の平均値とほぼ同等となった。今後の大規模な投資的事業までは減少し続けると見込んでいる。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は前年度から35.5ポイントと大きく減少となった。これは地方債の償還が進んだことや、ふるさと納税の伸びにより基金への積み立てが増加したことによる負担額の減によるもの。しかし類似団体に比べて高い水準となっている。大規模な投資が一段落したこと、ふるさと納税の収入が伸びていることから、今後の大規模投資的事業である廃棄物処理施設の更新事業までは減少が続く見込みである。有形固定資産減価償却率については、平成28年度に牧之保育園及び八幡保育園、平成29年度に八海中学校が完成し、保育所及び学校施設の有形固定資産減価償却率は減少するが、全体としての有形固定資産減価償却率は増加する見込みである。公共施設等総合管理計画に基づき、統廃合を検討し、公共施設の管理に努める必要がある。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率は有形固定資産減価償却率との組合せによる分析で記載している通り35.5ポイント減少と大きく減ることなったが、実質公債費比率と将来負担比率共に類似団体平均を大幅に上回っている。実質公債費比率については令和2年度から水道事業の高資本対策費が非該当となり、準元利償還金の基準財政需要額への算入の減により分子が増となったが、地方消費税交付金の増などの理由から分母が増となり令和元年度から1.1ポイントの減となった。しかし、合併特例債や災害復旧事業債などの算入率の高い地方債の償還が進んでおり、基準財政需要額への算入額が減るため、今後も地方債を使用する投資的経費を抑制する必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2020年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

学校施設については統廃合が進んでおり、有形固定資産減価償却率は類似団体平均より低くなっている。面積については類似団体より大幅に上回っており、子どもたちが活動を行うには十分な面積を確保していると考えられる。認定こども園・保育所についても統廃合とともに施設を新設した経緯もあり、有形固定資産減価償却率は減少している。今後も統廃合を進めていくが、新築ではなく現状の施設を活用していくため、有形固定資産償却率が大幅に減少する見込みはない。公営住宅、公民館については有形固定資産減価償却率は類似団体よりも高くなっている。特に公民館については取得日が古い施設が多いため、有形固定資産減価償却率が高く、今後統廃合及び大規模な修繕計画をどのように進めていくのか、重点的に検討する必要がある。公営住宅については平成26年に長寿命化計画を策定、令和3年度に計画の見直しを行い、ライフサイクルコストの縮減と事業量の軽減・平準化を図ることとしている。道路の一人当たり延長が平成30年度から伸びているが、道路台帳等の固定資産台帳以外の数値を採用したことによる差異である。平成29年度は公民館の有形固定資産減価償却率が大きく上昇しているが、これは錯誤により平成28年度まで工作物を二重計上していたものを訂正した影響である。

施設類型別ストック情報分析表②(2020年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

図書館、一般廃棄物処理施設、福祉施設、消防施設については、近年、合併特例債等を活用して整備を進めたため、有形固定資産減価償却率は低くなっている。図書館については平成26年度、消防施設(本署等)については平成24年度に新設しており、当市の公共施設の中でも特に有形固定資産減価償却率が低い施設となっている。一般廃棄物処理施設については、し尿等受入施設が平成30年度に供用開始しており、廃棄物処理施設の更新事業も大規模投資的事業として予定しているため、今後はさらに有形固定資産減価償却率は減少する予定である。福祉施設は、金額的に大きなウェイトを占めている養護老人ホーム魚沼荘の更新事業が平成28年度に完了したため、有形固定資産減価償却率は低くなっている。市民会館は平成元年に完成し、その後は機械施設等の改修を行っている。建物本体だけの有形固定資産減価償却率は約75%を超えており、全体の中でも大きなウェイトを占めている。市民会館は大規模なイベント・コンサートや市の確定申告相談会の会場として市民に広く認知されており、公共施設の中でも重要な役割を担っているが、類似の施設が無く集約化・複合化が難しいことから、今後の更新については慎重に検討を進める必要がある。庁舎については、本庁舎、大和庁舎、塩沢庁舎を設置しており、全て合併前の旧町の本庁舎を利用している。その中でも一番新しい庁舎は昭和57年に設立された大和庁舎で、35年以上経過しており更新計画を進める必要があるが、市民の利便性を考慮するとこれ以上の統廃合は難しい。市民会館と同様に今後の更新については慎重に進めていく必要がある。平成29年度は体育館と市民会館の有形固定資産減価償却率が大きく上昇しているが、これは錯誤により平成28年度まで工作物を二重計上していたものを訂正した影響である。市民会館の平成30の数値は報告誤りであり、0.105が正しい数値である。

財務書類に関する情報①(2020年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

令和元年度の一般会計等においては、資産総額が平成30年度末から664百万円の減少(▲0.4%)となっている。これは減価償却等による有形固定資産の減少(4,313百万円)が、道路改良工事や小学校大規模改造工事などの資産の取得等による有形固定資産の増加(2,540百万円)を上回ったことを示している。合併特例債を活用した大型の投資的事業は概ね完了しているため、今後予定している大規模な投資的事業までは、減価償却を含めた有形固定資産の減少が増加を上回る予定である。償却が進んでいる資産は将来の維持管理・更新等の支出を伴うものであることから、公共施設等総合管理計画に基づき、集約化等に取り組み、適正管理を進める必要がある。全体においては、特別会計、水道会計、病院会計に加え、令和元年度より下水道関連事業が企業会計に含まれたため、資産総額は平成30年度末から55,896百万円と大きく増加(+30.1%)している。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

令和元年度の一般会計等において、経常費用は28,142百万円となり、前年度比869百万円の減少(▲3.0%)となった。そのうち、人件費等の業務費用は17,808百万円、補助金や社会保障給付等の移転費用は10,334百万円であり、業務費用の方が移転費用よりも多い。最も金額が大きいのは物件費(7,287百万円、前年度比▲431百万円)、次いで補助金等(5,830百万円、前年度比+1,507百万円)であり、経常費用の46.6%を占めている。全体では、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が6,180百万円多くなっている一方、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が9,131百万円多くなり、純行政コストは10.933百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

令和元年度の一般会計等においては、税収等の財源(27,330百万円)が純行政コスト(26,060百万円)を上回ったことから、平成30年度と令和元年度の差額は+1,270百万円(前年度比+1,309百万円)となった。無償所管換等により純資産残高は117,083百万円(前年度比+1,374百万円)となった。普通交付税の合併算定替えの特例措置が終了し、令和2年度まで毎年億円単位の縮減が行われることから、当面は減少傾向と見込んでいたが、令和元年度はふるさと納税の好調等で税収が増えたことにより純資産額の増加につながった。令和2年度のふるさと納税も好調であり純資産は増加すると見込んでいる。全体では、国民健康保険特別会計、後期高齢者医療特別会計、介護保険特別会計の保険税や保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が10,766百万円多くなっている。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

令和元年度の一般会計等においては、業務活動収支は5,724百万円であったが、投資活動収支については、▲3,208百万円であった。財務活動収支については、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから1,933百万円となっており、令和元年度末資金残高は前年度から583百万円増加し、1,481百万円となった。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれること、水道料金等の使用料及び手数料収入があることに加え、令和元年度からの下水道事業の企業会計へ含まれたことから、業務活動収支は一般会計等より1,509百万円多い7,233百万円となっている。

財務書類に関する情報②(2020年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

令和元年度は住民一人当たり資産額及び歳入額対資産比率が類似団体平均額を上回っている。これは合併前に旧町毎に整備した施設があるため、保有する施設が非合併団体よりも多いことが考えられる。また、当市は隣接している町の事務の一一部を受託しているため、隣接する町にも所在している財産を所有していることも一因となっている。令和元年度の有形固定資産減価償却率は類似団体平均値並となっている。図書館、一般廃棄物処理施設、福祉施設、消防施設については、近年、合併特例債等を活用して整備を進めたため、有形固定資産減価償却率は低くなっている。しかし、大型の投資的事業は概ね完了しているため、有形固定資産減価償却率は上昇する見込みである。今後は公共施設等総合管理計画に基づき、集約化等に取り組み、適正管理を進める必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

令和元年度の純資産比率は類似団体平均と同程度である。純資産変動計算書において税収等が純行政コストを上回ったことから、純資産は増加した。純資産の増加は、将来世代が利用可能な資源が増加したことを意味する。主な要因としてはふるさと納税の好調による増が上げられる。令和2年度もふるさと納税が好調のため増加する見込みである。今後さらに純資産比率を増加させるためには、税収等の確保は必須となるが、普通交付税は合併算定替の特例措置が終了し、令和2年度まで毎年億円単位の歳入の縮減が行われることから、指標の改善は厳しく、財政規模に見合った事業の見直し等を図る必要がある。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

令和元年度において住民一人当たり行政コストは類似団体平均を上回っている。行政コストは地域ごとの特色や政策により大きく異なるものであり、単純に平均比較はできないが、新潟県は豪雪地域であり、当市は県内でも屈指の豪雪地域となっている。全国平均と比べて上回っている理由としては、物件費に含められる除雪費用が雪が少ない地域と比べると多いことが原因の一つだと考えられる。ただし、降雪は自然現象であり、除雪は市内経済にとっても冬の重要な要素である。不要なコストは削減に努めているが、降雪の状況によって毎年の大きく変動するとから、削減目標を設定するのは難しい。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

令和元年度の住民一人当たり負債額は類似団体平均を上回っているが、一般会計等に係る地方債の現在高については、大規模な投資的事業が一段落したことを受け、今後、廃棄物処理施設の更新事業に着手するまでの数年間は、緩やかに減少していく見込みである。基礎的財政収支は、業務活動収支の黒字部分が基金の取崩収入及び基金積立金支出を除いた投資活動収支の赤字分を上回ったため、3,224百万円となっている。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

令和元年度の受益者負担比率は、類似団体平均を上回っている状況にある。当市は隣接している町の事務の一部を受託しており、金額が大きいものを挙げると、ごみ処理業務、し尿及び生活雑排水汚泥処理業務、消防業務受託事業が経常収益のうちその他の経常収益に計上されている。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,