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地方財政ダッシュボード

岩手県釜石市の財政状況(2022年度)

🏠釜石市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

📅2023年度📅2022年度📅2021年度📅2020年度📅2019年度📅2018年度📅2017年度📅2016年度📅2015年度📅2014年度📅2013年度📅2012年度📅2011年度📅2010年度

総括表

人口の推移

財政比較分析表(2022年度)

財政力指数の分析欄

近年はコロナによる景気低迷や復旧復興関連事業の減少に伴う減収により、基準財政収入額が減少傾向にあったが、主要企業である輸出関連企業の業績の復調等による法人市民税や復興特区課税免除期間の終了等による固定資産税の増加により、基準財政収入額が増加(令和3年度42.3億円→令和4年度44.6億円)した。しかしながら、今後も少子高齢化の影響等による人口減少などの税収のマイナス要因が見込まれることから、歳出経常経費の徹底的な削減を図るとともに、税収増加への施策の重点化など、収納率向上に努め、財政の健全化を図る。

経常収支比率の分析欄

歳入(経常的経費)では、主要企業の収益好調等により地方税の増(207,990千円)に繋がったものの、地方交付税(-116,898千円)や臨時財政対策債(-26,900千円)の減により、経常的収入全体で320,954千円の減少となった。歳出(経常的経費)では、令和2年度に繰上償還を実施したものの、近年の大型事業や災害復旧事業による公債費の増(141,954千円)に加え、昨今の物価高騰に伴う光熱水費や燃料費の増加による物件費の増(63,829千円)などにより、経常的支出全体では59,112千円の増加となった。この結果、前年度と比較して経常収支比率は3.3ポイント増加し、類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を大きく上回っている。今後は、市税等の収入確保及び歳出の抑制に努めるとともに、公債費の繰上償還を実施し、経常収支比率の改善に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費は、定年退職者の増により退職手当組合負担金が増加(16,626千円)したが、復興関連事業に従事していた任期付職員の減少等による職員給の減(-82,198千円)をはじめ、議員報酬の減(-4,492千円)などにより、人件費全体として85,318千円の減少となった。物件費は、ふるさと便お届け事業(-138,546千円)、上中島市営住宅解体事業(-117,700千円)の減などにより、物件費全体として168,758千円の減少となった。前年度と比較して、人口1人当たり人件費・物件費等決算額は2,641円減少したものの、類似団体平均等を大きく上回っている。復興事業への対応のため現状の人口規模と比して多い人件費や復興期間中に整備した施設の維持管理費の負担増など、今後は組織のスリム化による人員配置の効率化や公共施設の集約化を図り、コスト削減に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

ラスパイレス指数は、前年度と比較してやや上昇しているものの、類似団体の平均並みであり、全国市平均を下回っている状況である。今後は、人事評価結果の活用を図りながら、業績・能力に応じた職務・職責構造への転換を図り、給与体系の適正化に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

東日本大震災からの復興経過において増加した各種施設や多様なサービスを維持するため、人口1,000人当たりの職員数は、類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を上回る状況が続いているものの、定員適正化計画を上回る職員数の減によって減少傾向にある。今後は、行財政改革を一層推進することとし、組織のスリム化やアウトソーシングをはじめ民間活力の導入等について職員間で意識を合わせて取り組んでいくとともに、第3次釜石市人材育成計画に基づいて職員のモチベーションの向上を図ることで、人員減となっても市民サービスの向上を実現できる体制づくりに努める。

実質公債費比率の分析欄

学校給食センター整備事業など近年の大型事業に係る過疎対策事業債や令和元年の台風19号関連被害に係る災害復旧事業債の発行等により、前年度より元利償還金が増加し、単年度比率では10.6%から11.3%に増加した。しかしながら、令和2年度に実施した繰上償還の効果もあり、3ヵ年平均値は14.4%から12.9%に改善したものの、依然として類似団体平均、全国平均等を上回っている。今後も新市庁舎の建設をはじめ、大規模事業が予定されているため、事業計画の整理や縮減に加えて、釜石市中期財政計画に基づき市債発行額をコントロールするとともに、公営企業債の元利償還に対する繰入金などの抑制に努める。

将来負担比率の分析欄

令和2年度に実施した繰上償還により地方債現在高が減少したことで将来負担額が26,632,512千円まで減少し、震災復興特別交付税の精算金を含む財政調整基金の減少などにより、充当可能財源等も27,350,977千円に減少した。これにより、将来負担比率の算出式の分子全体が令和3年度の-1,501,716千円から令和4年度の-718,465千円へと783,251千円の増加となった。震災復興特別交付税等の復興事業の精算処理が進むにつれ、充当可能基金が今後減少し、さらに人口減少等により税収の伸び悩みが避けられないことから、地方債や義務的経費の削減など財政健全化を図り、比率の上昇の抑制に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2022年度)

人件費の分析欄

人件費に係る経常収支比率は、前年度より0.5ポイント改善したものの、東日本大震災からの復旧・復興事業への対応のためにマンパワーの確保が求められていたため、人口減少の流れに反して、当市の職員数は依然として多い状況にある。類似団体平均等を上回っていることから、直営で運営している公共施設のあり方の見直しに加えて、復興過程で膨らんだ事務事業の縮小を図るなど、組織のスリム化や人員配置の最適化により、人件費の抑制に繋げる。

物件費の分析欄

物件費全体では前年度より減少したものの、近年の原油価格や物価高騰の影響により、施設の維持管理費を中心に経常的な経費が増加し、経常経費充当一般財源も前年度比63,829千円、3.8%の増加となっているため、経常収支比率は1.1ポイント悪化した。復興過程で整備した施設に加えて、老朽化したインフラの更新費用の増大など、震災前より維持管理経費が膨らんでいるため、公共施設の集約化や長寿命化などにより、コスト削減に努める。

扶助費の分析欄

扶助費全体では前年度より減少したものの、経常経費充当一般財源は前年度比21,154千円、2.3%の増加となり、経常収支比率は0.5ポイント悪化したが、これは生活保護費や子ども・子育て支援給付事業などの増加によるものである。類似団体平均を上回っている状況にあり、今後も市単独の子ども医療給付費をはじめ子育て支援施策の拡充による扶助費の増加が見込まれるため、費用対効果の分析等に基づく事業の取捨選択により、財政負担の抑制に努める。

その他の分析欄

介護保険事業会計繰出金が49,492千円、後期高齢者医療事業会計繰出金が9,962千円増加するなど、繰出金全体として69,158千円の増加となった。経常経費充当一般財源は、前年度比31,787千円、2.7%の増となり、その他の経常収支比率は0.3ポイントの増加となった。類似団体平均や全国平均等を下回っているものの、各事業会計の赤字補てん的な繰出金の増加が懸念されることから、事業計画の整理や縮減を図りつつ、抑制に努める。

補助費等の分析欄

釜石大槌地区行政事務組合負担金の162,492千円、復興事業宅地分譲収入返還金等の93,957千円の減少などにより、補助費等全体として10,478千円の減少となり、経常経費充当一般財源も前年度比55,615千円、2.8%の減少となった。経常収支比率は全国平均等を上回っていることから、経常化した団体運営等に係る補助金や負担金の見直しに加えて、一部事務組合等に対する負担金については経費の精査により縮減を図るなど、コスト削減に努める。

公債費の分析欄

令和2年度に繰上償還を行ったものの、近年の大型事業や災害復旧事業の市債の償還により、過疎対策事業債が173,449千円、災害復旧事業債が58,593千円増加するなど、公債費全体として137,377千円の増加となった。また、経常経費充当一般財源は前年度から7.6%増加し、経常収支比率は1.8ポイント悪化した。今後も新市庁舎の建設など大型事業が控えていることから、令和2年度に策定した釜石市中期財政計画に基づき、市債発行額を元金償還額の90%以下に抑えるなど、今後も事業計画の整理や縮減を図りつつ、公債費の抑制に努める。

公債費以外の分析欄

人件費や物件費については、施設や事務事業の統廃合により組織や職員配置の最適化を図り、経費の削減に繋げる。扶助費や補助費等については、交付基準の見直しをはじめ、費用対効果の分析に基づく資源の集中配分により、財政負担の抑制を図る。その他については、特に公営企業に対する負担金について、繰出基準に基づく厳密な繰出や公営企業会計の経営計画見直しによる料金の適正化など、経営の効率化を踏まえて負担金の抑制に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

・総務費は、ふるさと納税の減少に伴い、基金積立金やふるさと便お届け事業などが減少したことから、住民一人当たりのコストが155,723円へと下がったが、今後の新市庁舎建設事業の進捗により一時的に増加する見込みである。・民生費は、コロナ関連の子育て支援事業や低所得世帯への給付事業に加えて、保育施設の建替整備に係る補助金などにより増加し、住民一人当たりのコストは215,847円となり、全国平均等を上回った。・土木費は、都市公園等復旧整備事業など東日本大震災からの復興関連事業が完了したことから、全国平均等を下回り、住民一人当たりのコストは50,690円へと減少した。・消防費は、東日本大震災からの最後のハード整備である避難道路整備事業の進捗などにより、住民一人当たりのコストが34,374円へと減少したが、今後も消防屯所の建設など大型事業が予定されているため高止まりする見込みである。・災害復旧費は、令和元年の台風19号関連の災害復旧事業の収束などにより減少したことから、住民一人当たりのコストは13,622円となった。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

・歳出決算総額においては、住民一人当たりのコストは710,381円となっている。・人件費は、復興関連事業に従事していた任期付職員給与費の減などにより人件費総額は減少したものの、当市の人口減少と相まって、全国平均等より高い傾向にあり、住民一人当たりのコストは106,552円となった。・物件費は、復旧・復興事業による施設の設置に伴う維持管理費等が増加していることから、全国平均等を大きく上回り、住民一人当たりのコストが139,806円となっているため、施設の維持管理費の削減に向けて公共施設の運営手法の見直しを図っていくこととしている。・扶助費は、子ども医療給付費の拡充をはじめ、コロナ関連の子育て世帯や低所得世帯への給付金の増加により、住民一人当たりのコストは128,535円となり、全国平均等を大きく上回った。・補助費等は、復旧・復興事業の精算に伴う国庫返還金等により多額となっていることから、全国平均等を大きく上回り、住民一人当たりのコストは135,718円となっているが、復旧・復興事業の精算処理の進捗によりコストは下がる見込みである。・普通建設事業は、東日本大震災からの復興関連事業の収束により前年度より減少し、住民一人当たりのコストが31,402円となったが、今後の新市庁舎建設事業の進捗により一時的に増加する見込みである。

実質収支比率等に係る経年分析(2022年度)

分析欄

・令和3年度の実質収支が290,366千円だったことから、令和4年度に財政調整基金に156,341千円を積み立てたが、震災復興特別交付税の返還などにより700,000千円を取り崩したため、財政調整基金の残高は6,005,777千円となっている。・実質単年度収支は、単年度収支のマイナスに加えて、財政調整基金の取り崩しも多額であったため、令和4年度は減少し、標準財政規模に占める割合は-6.26%まで減少となった。・今後は市税等の収入増の取組に加え、施設や事務事業の総点検により経費の削減に繋げるなど、財政の硬直化の改善に向けた行財政改革を推進し、収支の均衡を図りながら、財政調整基金の取り崩しを最小限に抑えていく。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2022年度)

分析欄

・一般会計の黒字額は、東日本大震災に係る復旧・復興事業の進捗により、繰越事業が減少していることから減少傾向である。・令和2年度に策定した、釜石市中期財政計画(令和3年度~令和7年度)に基づき、財政の健全化等に取り組んでいるところである。

実質公債費比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

令和2年度に繰上償還を実施したものの、近年の大型事業や災害復旧事業で発行した市債の償還により元利償還金が138百万円増加したこと、算入公債費等も微増であったことから、分子全体としては36百万円の増加となった。今後も新市庁舎の建設など大規模なハード事業が予定されていることから、事業計画の整理や縮減を図り、新規市債発行を必要最低限にとどめていくほか、公営企業債の元利償還に対する繰入金などの抑制に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

令和2年度に実施した繰上償還により地方債現在高が減少したことで将来負担額が26,632,512千円まで減少し、震災復興特別交付税の精算金を含む財政調整基金の減少などにより、充当可能財源等も27,350,977千円に減少した。これにより、将来負担比率の算出式の分子全体が令和3年度の-1,501,716千円から令和4年度の-718,465千円へと783,251千円の増加となった。震災復興特別交付税等の復興事業の精算処理が進むにつれ、充当可能基金が今後減少し、さらに人口減少等により税収の伸び悩みが避けられないことから、地方債や義務的経費の削減など財政健全化を図り、比率の上昇の抑制に努める。

基金残高に係る経年分析(2022年度)

基金全体

(増減理由)・財政調整基金から700,000千円、復興まちづくり基金から64,822千円を取り崩したことなどにより、基金全体では254,813千円の減少となった。(今後の方針)・復興事業の収束により、復興事業の財源となっていた特定目的基金の残高が減少していくことに加えて、復興期間中に国から交付された震災復興特別交付税などの精算処理を行うことで、基金全体の残高は減少していく見込みである。

財政調整基金

(増減理由)・財政調整基金は、前年度の決算剰余金などにより156,341千円を積み立てたが、震災復興特別交付税返還金などの計上により700,000千円の取り崩しを行ったため減少となった。(今後の方針)・令和5年度に震災復興特別交付税の精算のため、財政調整基金を取り崩して、償還金に充てることとしている。

減債基金

(増減理由)・減債基金は、繰上償還等に備えるため5,501千円を積み立てたが、取り崩しをしなかったため増加となった。(今後の方針)・減債基金を財源とした償還に備えることとしている。

その他特定目的基金

(基金の使途)・庁舎建設基金:新市庁舎の2025年度の完成に向け、建設事業の財源に充当・復興まちづくり基金:復興交付金事業以外の東日本大震災からの復興事業の財源に充当・ラグビーこども未来基金:ラグビーを活用したまちづくりの推進及び次代を担う青少年の人材育成に必要な事業の財源に充当(増減理由)・庁舎建設基金:2025年度の完成に向けて整備を進める新市庁舎建設事業の財源に充当するため、21,422千円を取り崩し、218,723千円を積み立てたことによる増加。・復興まちづくり基金:被災者住宅再建支援事業などの財源として64,822千円を充当したことによる減少。・ラグビーこども未来基金:ふるさと寄附金などを財源とした積立金15,223千円に対し、ラグビーメモリアルイベント開催事業などの財源として11,140千円を充当したことによる増加。(今後の方針)・庁舎建設基金:2025年度の完成に向けて整備を進める新市庁舎建設事業の財源として、今後も取り崩しを予定している。・復興まちづくり基金:東日本大震災からのハード面の復興事業が令和4年度で完了したことに加えて、被災者の住宅再建支援事業も令和5年度で終了するなど、復興事業の収束により基金残高は減少していく見込みである。・ラグビーこども未来基金:ラグビーを活用したまちづくりの推進及び次代を担う青少年の人材育成に必要な事業の財源として、今後も取り崩しを予定している。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2022年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率については、類似団体より低い水準にあり、令和4年度以降においても同様の傾向が続く見通しである。これは東日本大震災の復興事業で集中的に整備された施設が多いためである。一方、築30年以上など耐用年数を迎え、老朽化に直面している施設も多いことから、今後は有形固定資産減価償却率の水準に留意しつつ、個別施設計画を基に、より適正な施設の維持管理を目指していく。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率は、類似団体平均を下回っており、主な要因としては、東日本大震災の復旧・復興事業に係る震災復興特別交付税の精算金を多く含む財政調整基金が充当可能基金を押し上げているためである。しかし、充当可能財源は減少していく見込みであり、今後の債務償還比率の増加要因となりうるため、地方債発行額の適正化など、健全財政の維持に取り組んでいく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率の算出式の分子となる充当可能財源等が減少(△2,625,554千円)した一方、将来負担額も減少(△1,842,303千円)したことにより、将来負担額が充当可能財源を下回り、分子がマイナスになったことで、将来負担比率は昨年度に引き続き-%となった。要因としては、東日本大震災の復旧・復興事業に係る震災復興特別交付税の精算金を多く含む財政調整基金が充当可能基金を押し上げているためであり、充当可能基金が減少していくことを見越して、引き続き地方債や義務的経費の削減など財政健全化を図り、比率の上昇を抑制していく。また、東日本大震災の復興事業による公共施設の整備に伴い、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値を大幅に下回っているが、過去に集中的に整備された施設の老朽化に直面しており、今後は数値の上昇が懸念されることから、施設ごとの個別施設計画を基に、より適正な施設の維持管理を目指していく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率の算出式の分子となる充当可能財源等が減少(△2,625,554千円)した一方、将来負担額も減少(△1,842,303千円)したことにより、将来負担額が充当可能財源を下回り分子がマイナスになったことで、将来負担比率は昨年度に引き続き-%となった。要因としては、東日本大震災の復旧・復興事業に係る震災復興特別交付税の精算金を多く含む財政調整基金が充当可能基金を押し上げているためであり、充当可能基金が減少していくことを見越して、引き続き地方債や義務的経費の削減など財政健全化を図り、比率の上昇を抑制していく。令和4年度の公債費は前年度より137,372千円の増となり、実質公債費比率(単年度)は0.8ポイント上昇したものの、令和2年度に実施した繰上償還により3カ年平均では1.5ポイント改善した。今後も公債費負担の逓減に向けて、新規の市債発行等の抑制を図るとともに、後年度負担の軽減に向けた繰上償還を検討するなど、比率の改善に努めていく。

施設類型別ストック情報分析表①(2022年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体と比較して特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、橋りょう・トンネルであり、特に低くなっている施設は認定こども園・幼稚園・保育所、学校施設、公営住宅、児童館である。橋りょう・トンネルについては、施設の多くが1960年代から1970年代に整備されたものであり、整備後30年以上経過するものが大半を占めるなど、特に老朽化した橋りょうが増えていることから有形固定資産減価償却率が高くなっている。令和4年度以降においても同様の傾向が続くことから、橋梁長寿命化修繕計画に基づき、計画的に改修を進め、老朽化対策に取り組んでいくこととしている。公営住宅については、東日本大震災以降に市では災害復興公営住宅約940戸の整備を進めたことから、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値を大きく下回っている。認定こども園・幼稚園・保育所、学校施設、児童館についても同様に、東日本大震災の復興事業で施設を整備したことにより、有形固定資産減価償却率は低くなっている。これらの復興関連施設は整備が完了し、今後も数値は低い状態が続く見通しであるが、老朽化が進む既存施設の統廃合も含めて施設の適正配置に努め、維持管理費の増加に留意していきたい。

施設類型別ストック情報分析表②(2022年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

類似団体と比較して特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、図書館、福祉施設、庁舎であり、特に低くなっている施設は、体育館・プール、保健センター・保健所、消防施設、市民会館である。図書館については、昭和58年度建設後の経年が進んでいるため、有形固定資産減価償却率が類似団体内平均値より高くなっている。唯一の市立図書館であることから計画的に改修を行い施設の延命化を図り、引き続き老朽化対策に取り組んでいく。福祉施設については、昭和46年度に整備された老人福祉センターなど、築年数が経過し、資産価値が減少している施設があることから、有形固定資産減価償却率が類似団体内平均値より大幅に高くなっている。庁舎については、特に昭和29年度建設の第一庁舎の経年が進んでおり、有形固定資産減価償却率が類似団体内平均値よりも高く、建物の経年に伴い徐々に数値が高くなる見通しである。そうした中で、現在新市庁舎建設が計画され、将来的には分散する現庁舎の統合も検討されるなど、将来的な施設の維持管理費の縮減が期待されるが、引き続き現庁舎の老朽化対策や維持管理費の抑制に向けて取り組んでいくこととしている。体育館・プールについては、震災後に建設した市民体育館が供用開始となったことや老朽化した体育館を除却したことから有形固定資産減価償却率が大幅に減少した。一方で施設整備から経過期間が長い施設があることから、今後は施設の集約化をはじめ、将来の更新費用の抑制に向けて取り組んでいく。保健センター・保健所については、施設の老朽化に伴い、平成26年度に保健センターの大規模改修が行われたこと、消防施設や市民会館については、東日本大震災での被災による再建など資産の耐用年数の経過が短い施設が多いことから、有形固定資産減価償却率が類似団体平均値を下回っている。

財務書類に関する情報①(2022年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等の資産総額は、前年度末から4,455百万円の減少(△3.0%)となった。資産減少の主な要因は財政調整基金や現金預金の減少によるものである。また、資産総額の中で90.2%と高い割合を占めている有形固定資産は将来の維持管理・更新等の支出を伴うものであることから、早急に施設ごとの個別計画を作成し、より適正な施設管理に努めていきたい。一般会計等の負債総額は1,735百万円(△7.4%)となった。負債減少の主な要因は、地方債等(固定負債)の償還額が地方債発行額を上回ったことにより残高が減少したことによるものである。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等の純経常行政コストのうち、経常費用は20,570百万円となり、前年度から9,478百万円の減少(△31.5%)となった。このうち人件費や物件費等の業務費用は14,186百万円、補助金等や社会保障給付、他会計への繰出金等の移転費用は7,784百万円となり、業務費用は前年度から8,805百万円の減少(△38.3%)、移転費用は474百万円の減少(▲5.7%)となった。業務費用のうち最も金額が大きいのは、維持補修費や減価償却費を含む物件費等9,253百万円(前年度比△5,801百万円)である。移転費用のうち最も金額が大きいのは、補助金等3,503百万円であるが、釜石大槌地区行政事務組合負担金や復興交付金返納額が減少したことにより、前年度から402百万円の減少(△10.3%)となった。震災復興事業により多くの施設が再建され、施設の維持管理コストの増加が著しいことから、公共施設の適正管理とともに経費の縮減に努めていきたい。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等では、税収等の財源17,965百万円(前年度比△985百万円、△5.2%)が純行政コスト20,972百万円(前年度比△11,761百万円、△35.9%)を下回ったことから、本年度差額は△3,007百万円となり、純資産残高は2,721百万円の減少となった。これは新型コロナウイルス感染症への対応や震災復興事業により整備した施設の維持管理等に伴い純行政コストが高止まりしていることに加えて、公共土木施設災害復旧費負担金が減少したことに伴い、財源の国県等補助金が減少したためと考えられる。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等では、業務活動収支は1,151百万円であったが、投資活動収支については、投資活動支出が投資活動収入を上回って△48百万円となっている。これは、橋りょう等の老朽化対策事業の実施などによるものである。また、財務活動収支は、地方債等発行収入が地方債等償還支出を下回ったことから△1,152百万円となっているが、これは市債発行額を元金償還額の9割以内とする中期財政計画の方針によるものである。しかしながら、新庁舎建設など大型事業が控えていることから、今後も繰上償還をはじめ地方債等償還額の抑制に向けた取組の推進が求められる。

財務書類に関する情報②(2022年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額は、ふるさと納税による寄附金を積み立てている基金や、震災復興事業により形成された有形固定資産が資産合計を増加させていることで、類似団体平均値を大きく上回っている状況にあった。しかし、令和2年度の東日本大震災復興交付金基金の廃止等に伴い基金残高が減少していることから資産額は減少に転じ、今後も減少傾向が続くと見込まれる。歳入額対資産比率は、基金が減少したことにより資産合計が減少したが、公共土木施設災害復旧費負担金の減少等により歳入総額が減少したため、類似団体を上回った。今後も歳入の減少が見込まれることから数値が増加していくものと予想される。有形固定資産減価償却率は、震災復興事業により新たに資産が形成されたため、類似団体を下回っている。しかし、既存施設の多くが耐用年数を迎え老朽化に直面していることもあり、今後数値の増加が予想される。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は85.3%となり、前年度より0.7ポイント増加し、依然として類似団体に比べ高い数値になっている。これは、純資産残高が昨年度から2,721百万円、2.1%減少したものの、基金の減少等に伴い資産が4,455百万円、2.9%減少したことによるものである。将来世代負担比率は、昨年度から0.4ポイント数値が減少し、類似団体平均値を下回っている。これは令和2年度に繰上償還を実施したことにより地方債現在高が減少したことよるものである。今後は、地方債の発行抑制に取り組み、将来世代への負担軽減に努めていきたい。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは、昨年度に比べて35.7万円減少したものの、依然として類似団体平均値を上回っている。東日本大震災からの復興過程の中で膨張した人件費や新たに整備した施設の維持管理にかかる物件費の増大など純行政コストが高い数値で推移していることや、人口の減少が著しいことが大きな要因である。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額については、昨年度から3.7万円減少したものの、依然として類似団体平均値を上回っている。これは、令和2年度に実施した繰上償還により負債合計自体は減少しているものの、分母である人口の減少に起因するものである。今後も新庁舎建設などの大型事業が控えており、増加傾向へ転じる可能性があるため、市債発行額の抑制や繰上償還により、地方債残高の縮小に努めていきたい。基礎的財政収支は、業務活動収支の黒字分が基金の取崩収入及び基金積立支出を除いた当市活動収支の赤字分を上回ったため、901百万円となったものの、類似団体平均値を下回っている。投資活動収入が赤字となっているのは、収入の多くを占める基金事業の財源となる基金取崩収入が除かれているためである。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は昨年度から2.6ポイント上昇し類似団体平均を大きく上回っている。これは、新型コロナウイルス感染症関連事業の減等により、経常費用が昨年度から9,279百万円減少した一方、経常収益が昨年度から198百万円増加したためである。震災後に整備された施設の維持管理費が、今後の財政運営の負担となることが懸念されているため、公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化した既存施設の集約化・複合化や長寿命化と併せて、適切な管理を進めていきたい。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,