経営の状況について
本事業の経営状況としては、これまでに計画時の想定を上回る収支を計上しており比較的に良好である。特に、平成26年度までは落雷事故等に伴うブレード修繕を製造元である海外メーカーに直接委託していたが、平成27年度から国内業者に切替えたことで修繕費の大幅な削減が図られ、近年の経営状況は比較的に良好であった。しかし、H30年度の収益的収支比率はH29年度に引き続き、わずかに落ち込んでおり、単年度収支も赤字となっている。これは運転停止の原因究明に時間を要してしまい運転再開が遅れ、収入が減少したためである。供給原価はH29年度から引き続いて全国平均を大きく上回っているが、これは収益的収支比率の原因と同じく運転停止による原因究明に時間を要してしまったための収益の減少と故障による修繕費用の増加が原因として挙げられる。また、建設から年月が経過しているため、今後修繕に係る費用が更に増加し、それに伴い供給原価が増加する可能性が考えられる。EBITDAについては、前年度からわずかに数値を落としており、全国平均を大きく下回る結果となっているため、故障頻度を減らし収益の増大を図っていかなければならない。
経営のリスクについて
設備利用率は全国平均の半分以下の数値で推移しており、H30年度は前年度に比べ数値を落としている。今後としては故障頻度を減らし、資源エネルギー庁の発電コスト検証ワーキンググループで設定されている利用率(20%)を目標に運転を行っていく。修繕費率は年数の経過により大きく数値が上昇し平均値も超える結果となった。既に建設から13年経過しているため、今後もこのような数値になる可能性がある。企業債残高隊料金収入比率は、償還金が滞りなく返済できているため堅実な低下を継続できており全国平均と似たような推移となっている。償還金返済は令和元年度で満了となるため償還財源の確保に支障はないと想定される。FIT収入割合は100%と固定買取価格制度に完全に依存した状況であるが、令和元年度末には償還金返済が満了となるため、以降の料金契約期間満了となる令和7年6月30日までは大幅な黒字が期待される。
全体総括
これまでの経営状況は近年、落ち込んでいるが比較的に良好であった。加えて、料金契約期間内である今年度には企業債の償還期間が満了となるため、料金契約期間満了までの間の業績見通しは明るい。今後は料金契約期間満了後の経営について検討する必要があり、事業を継続する場合は、施設の延命化に要する費用等、必要な経費を十分に考慮した上で、判断する必要がある。FIT適用終了後の事業のあり方については、現時点で方針は定まっていないが、民間事業者への事業移管など様々な観点から検討していかなければならない。