経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、接続人口は減少したが、気候条件等の影響により使用料が増加し、わずかに上昇している。企業債残高については、現在新規借入れを行っていないため減少傾向にあり、比率も低下している。しかし施設の老朽化に伴う機能診断を実施予定であり、今後予定している更新に向けて適切な数値となるよう努める。経費回収率においては、使用料収入が微増であり横ばい傾向にある。汚水処理原価については、処理水量が減少しても維持管理費等についての経費は必要であり、更に離島、海岸半島部という地理的要因により小規模であるため高水準となっている。施設利用率においては、人口の減少により今後も低下傾向となるため、改善するためには広域化等による効率化を図ることも選択肢ではあるが、離島及び海岸半島部に点在しており、隣接する集落が近隣にはないため広域化は困難な状況である。また、水洗化率においては、新規接続世帯は微増である。現状では、経費のうち使用料収入で賄えない分について、一般会計からの繰入を行っている状況である。今後の使用料金の改正予定については現在、他市と比較して高料金となっており、利用者に更なる負担を求めることは当面困難と考える。
老朽化の状況について
各施設、供用開始から15年から21年が経過している。管渠について、法定耐用年数が経過するまでには期間があり、改修計画の見直しや大規模な修繕改修は予定していない。しかし、海岸部のため塩害等も予想されるため、適正な点検・維持管理に努める。また、設備・機器については、機能診断・長寿命化事業計画を策定し、適正な更新・改修等を随時実施する。
全体総括
今後も人口減少が主な要因となり、使用料収入の減少や施設利用率の低下が懸念されている。しかし、事業の広域化、管路延伸による区域の拡大は離島や半島に点在しているため、今後も困難な現状である。使用料金については、1月20㎥あたり津島地区が5,400円、遊子地区が4,795円と他市に比べて大変高い料金設定を導入しており、利用者に更なる負担を求める改定は当面困難である。しかしながら、地区住民にとっては生活環境を維持し快適な市民生活を送るために必要不可欠な施設であり、今後も安定的にサービスを提供をする必要がある。そのため平成30年度から順次、長寿命化計画を策定し、その計画に基づき効率的で適正な施設の更新等を行うとともに、人口減少に対応するために地域にあった処理方法等を検討する。また、未接続の世帯に対しても、接続による地域環境の改善に理解を求めるなど普及・啓発活動の推進を行い、使用料の増収に努めるとともに、随時点検等を細かに実施することで費用発生の抑制を図り、今後も更なる経費削減に努める。