地域において担っている役割
急性期医療を担う中核病院として、地域医療機関との連携を図りながら、良質な医療を提供することはもとより、公立病院として、救急医療や、がん治療など専門医療、実習生等の受入れによる人材育成など、採算性等の面から民間医療機関では困難な医療サービスの提供に努めている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、②医業収支比率、③累積欠損金比率、④病床利用率、⑦職員給与費対医業収益比率については、依然として類似病院平均値を大きく下回った(③、⑦については上回った)ものの、前年と比較すると、改善している。これは常勤医師の増加に伴う診療体制の充実に加え、「救急受入体制」の強化や、「地域包括ケア病棟」を開設したことによるものであるが、年度前半での患者数の伸び悩み等が影響し、経営状況の大幅な改善には至らなかった。なお、③累積欠損金比率が大幅に高いことについては、資産の収益性の低下により減損会計を適用し、多額の特別損失を計上したことによるものであり、今後は減価償却費が減少し、損益の改善が見込まれる。今後においては、更なる医師確保や、診療体制の強化で、新規患者の確保を図り、病院経営の健全化に努めたい。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率、②器械備品償却率については、類似病院平均値を大きく上回っている。これは、28年度に減損会計を実施したことで、償却対象の有形固定資産の帳簿価格を減額したことや、平成30年9月に新病院へ移転するため、資産の更新を控えたためである。このため、新病院となる30年度には数値の大幅な改善が見込まれる。
全体総括
近隣医療機関の増改築が進む中、新病院の建設が遅れたこと、また常勤医師増員の効果が現れるまで、想定していた以上に時間がかかったことから、平成29年度においても厳しい経営状態となった。経常収支比率は26年以降、継続して100%おいても50%前後という低水準を推移しており、抜本的な改革が必要不可欠である。30年度においては、29年度に策定した第3次高松市病院事業経営健全化計画(H30~編・ネットワーク化として、高松市立市民病院と香川診療所を統合した高松市立みんなの病院が開院することで、病床利用率等の経営指標は一定程度、改善される見込みである。ただ、新病院への移転に合わせた患者数の調整による収益減や、施設規模拡大による経費増も見込まれており、厳しい経営状態が予想されるが、これまで以上に良質な医療の提供に努めることで患者数の更なる増加を図り、適正な病院運営に取り組みたい。