地域において担っている役割
滋賀県保健医療計画が前回改定から5年を経過し、平成30年度から新たに5年間の計画が作成された。県民1人ひとりが輝ける健やかな滋賀の実現を基本理念とし、地域包括ケアシステムの深化、医療福祉の推進、医療と介護の連携、医療体制の広域化の実現を主な目標とされる中、二次保健医療圏の中で、甲賀保健医療圏の基幹病院として、健康づくり、5疾病、5事業、在宅医療の面での役割を期待されている。
経営の健全性・効率性について
入院患者数の減少により、病床利用率は昨年より大きく減少したが、両平均値よりは上回っている。入院患者1人1日あたり収益は平成29年度から減少に転じ、両平均値に届いていない。外来患者1人1日あたり収益は、患者数が減少しているものの、注射収入等の増加により若干増加している。材料費対医業収益比率は、費用削減努力により両平均値を下回っている。職員給与費対医業収益比率では、収入の減少や医師等の職員増等により両平均値を大きく上回っている。医業収支は医業費用が全体として減少するも、入院収益も大幅な減少で、全国平均は上回っているものの、類似平均値は下回っている。経常収支は、入院収益の大きな減少により、両平均値を下回っている。入院患者数の確保対策が必要である。
老朽化の状況について
平成25年度に現在の住所へ移転新築するものの、減価償却費は平均値、全国平均より下回っている。器械備品減価償却率は、新病院移転当時に購入した固定資産が耐用年数を迎え、昨年度よりは下がり、両平均値を下回っている。今年度は、CT、眼底カメラ等の高額医療機器や電子カルテ等の医療情報機器の更新を行った。来年度は、この分の減価償却費と、独法化に伴う資産引継ぎ処理による減価償却処理により、減価償却率は上昇することが予想される。
全体総括
医療を取り巻く環境が、少子高齢化の進展、医療の高度化、及び医療・介護を提供する場の多様化により大きく変化している中、診療報酬・介護報酬が全体でマイナス1.19%の厳しい改定がなされた。今年度は、入退院支援センター開設・運用開始による入院患者への対応や効率的なベッドコントロール、断らない救急の確立、看護師の確保、人事評価制度の再構築、電子カルテに代表される医療情報システムの更新等に取り組み、加えて、平成31年4月の地方独立行政法人化に向け、独法準備室を中心に外部委託コンサルタントの支援を得ながら、円滑な移行準備作業を進めてきた。入院患者数の減少を改善すべく、引き続き救急患者受け入れ体制の強化拡大、弾力的な病床運営等により経営改善を図っていく必要がある。