下関市

財政力指数の分析欄

市民税法人割や地方消費税交付金の減等により基準財政収入額は減少したが、個別算定経費（公債費）の減や臨時財政対策債振替額の増等により基準財政需要額も減少したため、単年度、３ヵ年平均ともに、財政力指数は前年度と同値であった。しかし、これは類似団体平均を大きく下回っているため、今後も人口減少等による税収減に対応すべく、平成２７年度からの５年間を計画期間とした「下関市企業誘致アクションプラン」に掲げる基本方針に従い、将来的な市税の収入確保につながるよう、戦略的かつ積極的な企業誘致活動に努める。

経常収支比率の分析欄

歳出において、平成２８年度末の豊浦・大津環境浄化組合解散による負担金の皆減及び市民病院施設整備にかかる起債の償還終了による運営費負担金の減等のため、経常収支比率は１．１％減少した。しかし、依然として高い水準で推移していることから、今後も、さらなる歳入歳出両面の効率化を図り、財政の健全化に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費については退職手当の減により前年度を下回ったが、物件費についてはふるさと納税包括業務委託業務の開始等により、前年度を上回る結果となっている。類似団体との比較において、平均を上回っていることから、今後も定員管理計画の実行や事務事業の見直し等により行財政運営の効率化に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

本市のラスパイレス指数は、近年漸減傾向にあるが依然として１００．０を超過している。今後も住民の理解が得られるよう、給与水準及び制度の適正化に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

本市の職員数は、下関市定員管理計画のもと毎年削減を実現しているところ、全国より早い速度で人口減少が進んでおり、人口千人当たり職員数は、類似団体と比較すると依然として平均を大きく上回っている。今後も、市民サービスの低下を招くことのないよう留意しつつ、民間委託等の推進、再任用職員などの多様な任用形態の活用等を推進し、簡素で効率的な組織体制の確立に努める。

実質公債費比率の分析欄

分子では、主に元利償還金が１．３億円減少したこと及び公営企業に要する準元利が１．２億円減少したことにより、元利償還金等が前年度と比較すると３．４億円の減となったが、基準財政需要額に算入された公債費が４．２億円の減となったため、全体では０．８億円の増となった。分母では、主に普通交付税及び臨時財政対策債の減少に伴い、標準財政規模が減少したため、全体では３．４億円の減となった。実質公債費比率の単年度指数は０．２％悪化した。またの３ヶ年平均は前年度と比較すると０．１％悪化し、１０．０％となった。交付税措置のある起債以外は借入額を抑えており、長期的には穏やかに好転すると見込んでいるが、普通交付税の合併算定替の縮減により、標準財政規模も減少すると見込まれるため、一本算定となる平成３２年度までは悪化するものと想定している。

将来負担比率の分析欄

分子では、土地開発公社の解散に伴い、土地開発公社負債額等負担見込額が１７．９億円皆減した影響により、将来負担額は前年度と比較すると１６．５億円の減となったが、公害防止事業債、合併特例債等の基準財政需要額算入見込額及び土地開発基金を土地開発公社の債務引き受け原資としたことや取り崩し等による充当可能基金の減少により、充当可能財源は５２．６億円の減となり分子全体では３６．１億円の増となった。分母では、主に普通交付税及び臨時財政対策債の減少に伴い、標準財政規模が減少したため、全体では３．４億円の減となった。将来負担比率は、分母の微減に対し、分子が増加したため、前年度と比較すると７．３％悪化し、１０１．１％となった。類似団体平均を上回っている状況であり、今後とも財政の健全化に努める。

人件費の分析欄

退職者数が昨年度を下回ったことに伴う退職手当の減等により、人件費に係る経常収支比率は０．８％減少した。しかし、類似団体と比較すると、依然として平均を上回っていることから、定員管理計画の着実な実行により引き続き人件費の削減に努める。

物件費の分析欄

福祉施設等運営基金繰入金の廃止により、物件費充当一般財源等が減少したため、物件費に係る経常収支比率は０．７％増加した。類似団体と比較すると、平均を下回っているが、今後もコスト削減、行財政運営の効率化を図り、より一層の経費削減に努める。

扶助費の分析欄

生活保護受給者の減に伴う生活保護費の減等により、扶助費に係る経常収支比率は０．２％減少した。類似団体と比較すると、平均を下回っているが、今後も給付費、医療費の適正化を図ると共に単独事業の見直しなどを行い、扶助費充当一般財源の抑制に努める。

その他の分析欄

繰出金（介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計）の増等により、その他に係る経常収支比率は０．３％増加した。本市は類似団体と比較しても高齢化率が高く、今後もより進展することが見込まれることから、予防事業等を通じて給付費の抑制を図るなど、繰出金の増加に歯止めをかけるよう努める。

補助費等の分析欄

豊浦大津環境浄化組合負担金の皆減や及び市民病院運営費負担金の減等により、補助費等に係る経常収支比率は１．２％減少した。類似団体と比較すると、平均を下回っているが、今後も負担金、補助金の事業効果を検証し、見直しや廃止に努める。

公債費の分析欄

平成２９年度は消防デジタル無線化事業独占禁止法違反に伴う賠償金受入や本庁舎改修工事の中止による繰上償還等により、公債費に係る経常収支比率は０．１％増加した。類似団体と比較すると、依然として平均を上回っていることから、今後も新規借入額と元金償還額のバランスに配慮した予算編成を行い、公債費の抑制に努める。

公債費以外の分析欄

物件費や繰出金が増となったが、人件費と補助費等がそれを上回って減となったため、公債費以外に係る経常収支比率は１．２％減少した。類似団体と比較すると、平均をやや下回っているが、定員管理計画の実行や事務事業の見直し等により行財政運営の効率化を図り、経費削減に努める。

基金全体

（増減理由）財政調整基金に決算剰余金等で約１４．２億円を積み立てたほか、ボートレース事業収入７．２億円を原資とする「こども未来基金」を新設した一方、約２９．３億円を取り崩したため、基金全体としては約６．４億円の減となった。また、老朽化した公共施設の建替えや大規模改修に備え、一般財源やボートレース事業収入を原資とする既存４基金を廃止し、「公共施設整備基金」として統合した。（今後の方針）・不足する財源を基金取崩で補う予算編成が続いており、現在のまま推移すればあと数年で基金の枯渇が懸念される状況である。・市長をトップとする部局横断型の庁内組織「下関市行財政改革推進会議」を立ち上げ、積極的な事業の見直しや財源確保など、基金取崩額の抑制を含む持続可能な財政基盤の確立に向けた検討を行っている。

財政調整基金

（増減理由）・人口減少等による市税減収や普通交付税の合併算定替による特例措置の適用期限終了に伴う歳入減少を補填する財源として１８億円を取り崩したことによる減少・決算剰余金（８．２億円）及び土地開発公社貸付金の返済金（６億円）等の積立による増加（今後の方針）・不足する財源を基金取崩で補う予算編成が続いており、現在のまま推移すればあと数年で基金の枯渇が懸念される。・「下関市行財政改革推進会議」において、積極的な事業の見直しや財源確保など、基金取崩額の抑制を含む持続可能な財政基盤の確立に向けた検討を行っている。

減債基金

（増減理由）・市債の償還の財源として１．９億円を取り崩したことによる減少（今後の方針）・借入が多額となった場合には、後年度の公債費償還の増加に備えて積み立てを行う。

その他特定目的基金

（基金の使途）・合併振興基金：市民の連帯の強化又は地域の振興を図る施策の推進・公共施設整備基金：公共施設の整備、解体、災害復旧（一般財源やボートレース事業収入を原資とする既存４基金を廃止・統合して設置）・中央霊園管理基金：下関中央霊園の管理・こども未来基金：子どもたちの健全な成長に資する施策の推進・地域福祉基金：高齢者保健福祉施策、障害者保健福祉施策及びその他の保健福祉施策の積極的な推進・観光振興基金：観光振興を図る施策の推進・国際交流振興基金：国際交流の推進と市民の国際感覚の醸成・地域振興基金：下関市における多様な歴史、伝統、文化、産業等を活かし、独創的かつ個性的な地域づくりを推進し、併せて快適な生活環境の形成等を図る・ふるさと保全対策基金：土地改良施設の機能を適正に発揮させるための地域的な共同活動を支援し、農業及び農村の活性化を図る（増減理由）・公共施設整備基金（新設）：既存基金の統合１９．２億円に加えて土地売却収入金等を１．４億円を積立てた一方で、廃棄物処理施設のストックヤードをはじめとする各種公共施設の整備や解体・撤去の財源として３．３億円を取り崩した。・こども未来基金（新設）：ボートレース事業収入７．２億円を積立てたことによる増加・合併振興基金：生活バス運行事業をはじめとする連帯強化又は地域振興に資する事業の財源として２．７億円を取り崩したことによる減少（今後の方針）・不足財源を基金取崩で補う予算編成が続いており、現在のまま推移すればあと数年で基金の枯渇が懸念されるため、「下関市行財政改革推進会議」において、基金取崩額の抑制を含む持続可能な財政基盤の確立に向けた検討を行っている。

有形固定資産減価償却率の分析欄

平成２９年度は、前年度に比べて０．７ポイント悪化し６５．６％となった。施設整備により償却資産は増加したものの、減価償却により減価償却累計額が増加したことが要因である。昭和４０～５０年代に建設された施設が多く、施設の約６割が整備から３０年を経過しており更新時期を迎えていることから、類似団体より高い水準にある。公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化した施設等の適正管理に努める。

債務償還比率の分析欄

分析欄：将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

平成29年度の将来負担比率は、基金の取崩しにより地方債の償還額等に充当可能な基金残高が減少したことにより、前年度と比較して7.3ポイント悪化し101.1％となり、類似団体と比較してもかなり高い水準となっている。有形固定資産減価償却率は65.6％と高い水準になっており、施設の計画的な更新が必要となるが、将来負担比率も高い水準にあるため、地方債の償還計画も含めた施設の更新を行う必要がある。

分析欄：将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

平成29年度は、標準税収入額の減少に伴う標準財政規模の減少により、単年度比率は0.2ポイント悪化し、過去3ヵ年平均は、前年度より0.1ポイント悪化して10.0％となった。有形固定資産減価償却率は65.6％と高い水準になっており、施設の計画的な更新が必要となるが、交付税措置のある起債を充当して施設更新を行う必要がある。