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本市の財政力指数は0.53であり、県平均0.39、全国平均0.49は上回っているものの、類似団体平均0.78を大きく下回っている。これは、人口減少や高齢化等により、人口1人当たりの地方税収入が少ないこと、基準財政収入額が小さいことに加え、合併により市域が広まったことなどで基準財政需要額が大きくなっていることによるものである。「第7次佐世保市行財政改革推進計画」に基づき、定員管理の適正化、選択と受益者負担を前提とした行政サービスの提供、税等徴収率の向上など、行政運営の効率化、財政基盤の強化を進める必要がある。
本市の経常収支比率は93.0%であり、昨年度と比較すると2.7%上昇しており、長崎県、全国平均と比較してもやや上回っている状況である。高比率化する要因の1つは、財政力指数の欄でも示したとおり自主財源の乏しさにあり、それゆえに経常一般財源の多くを普通交付税に頼っているところにある。今後は人口減少による税収減、高齢化の進展による社会保障関係費の増などにより、更なる財政構造の硬直化が進むことが予想されるので、歳入の更なる確保、歳出の更なる削減が必要となり、職員数の削減、施設の統廃合や民営化、事務事業の見直しなどによる歳出削減を図り、財政の硬直化抑制に努める。
人件費、物件費及び維持補修費の合計額の人口1人当たりの金額が類似団体平均を上回っているが、その要因は人件費・物件費となっている。本市は保健所や港湾、広域消防などの業務があることや、平成17年、18年及び22年に市町合併を行っており、人口千人当たり職員数が類似団体と比較して多い状況である。今後は、「第7次佐世保市行財政改革推進計画」に基づき、定員管理の適正化を図ることで、人件費を抑制するとともに、市有財産の再編・統合を進めることで、公共施設の整理縮小及び公共施設の維持管理にかかる物件費、維持補修費の削減に努める。
全国市平均と比較すると今年度は同一であり、類似団体(中核市平均99.4)との比較では、0.7ポイント低い状況である。今後も国、他都市の動向等を勘案しながら給与の適正化に努める。
保健所設置市であること、消防業務を市直轄で行い近隣市町の消防業務も受託していることなどの制度的な要因に加え、基地や港湾、水産などの本市の特殊事情や、市域が広いため支所等を17か所設置していることなどの地域独自の事情のため、職員数が多くなっている。今後は第7次行財政改革推進計画に基づく業務の繁閑に応じた体制の見直し、庶務業務の集約化など、部局横断的な改革の取組による減員のほか、令和3年1月に策定した現業部門を対象とする「定員見直し計画」の着実な実施により、計画期間中の6年間に106名の減員を見込んでおり、これらの取組により定員管理の適正化に努める。
昨年度から0.2ポイント増加。過去に発行した合併特例債などの交付税措置が大きい起債の償還が終了となったことなどから、令和元年度単年度の比率より令和4年度単年度比率は増加したものの、類似団体平均、全国平均、県平均をいずれも下回っている。今後も地方債の発行を抑制するとともに、市債を活用して実施する投資的な事業については、後年の財政負担を考慮し、財政措置の高い有利な市債を活用するなど計画的な財政運営に努める必要がある。
昨年度に続き、将来負担比率はマイナス数値となっている。令和4年度は、計画的な償還などにより地方債残高などの将来負担額が減となったものの、基準財政需要額算入見込額の減などにより分子が増となったことにより、将来負担比率のマイナス幅は縮小している。自主財源に乏しい本市において、公共施設の整備に必要な財源として地方債を多く発行していることや、平地の少ない地勢上、下水道の設備投資に多額の費用がかかることで各々大きくなっているものであるが、「実質的なプライマリーバランスの黒字化(元金償還額以上に地方債を発行しない)」を原則として財政運営を行っており、これを継続することで地方債残高の減少に引き続き努める。
令和3年度から0.8ポイント増の26.7%となっており、類似団体平均、県平均より高くなっている。増加の理由としては、令和3年度が普通交付税の再算定により経常一財が大きくなっていたが、令和4年度においてはその金額が減少し、歳入経常一財が減少したことなどによるものである。本市は類似団体と比較して人口千人あたりの職員数が多い(本市8.76人、類似団体平均6.46人)ことから人件費の割合が高くなっており、今後も行財政改革の推進などにより、人件費の抑制に努めていく必要がある。
令和3年度から1.2ポイント増の15.5%となっており、全国平均、県平均を上回るものの、類似団体平均より低い状況となっている。増加の主な要因としては、教育費関係経費の増などによるものである。物件費の増加は経常収支比率上昇の大きな要因となるため、今後、公共施設の再編を進め、施設維持管理経費等、経常的な物件費の縮減に努める必要がある。
令和3年度と比較し、0.3ポイント増の15.5%となっており、類似団体平均、県平均よりも高い状況である。増加の理由としては、扶助費にかかる歳出一財については減となったものの、上述のとおり歳入経常一財が減少したことによるものである。本市は類似団体と比較して老人福祉費や教育費にかかる扶助費が多くなっている。令和11年度に高齢者人口のピークを迎える予想であり、今後も高齢化に伴う民生費全般の扶助費の増加などが予想されており、健全な財政運営の確保に努める必要がある。
令和3年度から0.4ポイント増の13.5%となり、全国平均、県平均、類似団体平均を上回っている状況である。昨年度と比較して増加しているものの、分子である歳出一財自体は減少しており、前述のとおり歳入経常一財の減が増加の要因となっている。繰出金については、各特別会計における事務費削減や保険料の適正化に努め、財政健全化を図っていく。
令和3年度から0.1ポイント増の5.9%となっており、類似団体等の平均を大きく下回っている。類似団体や全国平均と比較して、人口一人あたり決算額が、単独で行う補助交付金で下回っている。補助金等見直しガイドラインに基づき、補助金交付の適正化を図っているが、今後も交付要綱の見直しによる経費縮減や、公営事業会計等の繰出(補助)先の財政状況の把握や健全化を図り、歳出抑制に努める。
令和3年度と比較し0.1ポイント減の15.9%となり、類似団体平均よりは大きいが、県平均よりは小さくなっている。経年比較では、公共事業等債などの大型建設事業に対する償還が終了したことにより地方債残高が減少したことなどにより比率としては減少している。今後も市債発行額を元金償還金の範囲内とする基本方針を継続することで市債残高の減少に努めるとともに、実施事業の厳選とコスト意識の徹底により、公債費負担の軽減を図っていく。
公債費を除く経費にかかる経常収支比率は、全国平均、県平均、類似団体平均を上回っている。上回っている主な要因としては、やはり人件費の割合が大きいことが影響していると考えられるため、行財政改革の推進などにより定員管理の適正化に努めていかなければならない。各項目の比率の増については、前述のとおり歳入経常一財の減による影響が大きいため、歳出の削減と合わせて歳入経常一財の確保を行い、安定的な財源の確保が必要となる。
(増減理由)財政調整基金において、単年度収支不足に対応するために令和3年度に積み立てた税収増分のうち5億円を繰り入れたことなどにより、基金全体額としては約6億2千万円減少している。(今後の方針)財政調整基金と減債基金から公募債一括償還などの特殊要素を除いた実質的な残高が、標準財政規模の10%以上を維持できるように努めており、10%を超過する分についてはDX戦略に基づく事業に充当するという考え方のもと、計画的な基金の運用を行っている。また、施設整備基金においても、今後策定される公共施設の再編に関する実施計画に基づき、計画的に運用していく。
(増減理由)競輪事業特別会計からの繰入金(競輪益金)を1億円財政調整基金に積み立てたが、単年度収支不足に対応するために令和3年度に積み立てた税収増分のうち5億円を繰り入れたことなどにより残高は減少した。(今後の方針)財政調整基金と減債基金から公募債一括償還などの特殊要素を除いた実質的な残高が、標準財政規模の10%以上を維持できるように努めている。
(増減理由)毎年計画的に繰り入れている非常用電源整備事業償還相当額の繰入などを実施した結果、残高は減少した。(今後の方針)財政調整基金と減債基金から公募債一括償還などの特殊要素を除いた実質的な残高が、標準財政規模の10%以上を維持できるように努めている。
(基金の使途)合併市町村振興基金:地域住民の連帯の強化及び地域振興等に資する事業施設整備基金:施設の整備を推進し、市民の安全及び行政サービスの向上に資する事業ふるさと佐世保元気基金:恵まれた自然とともに市民が元気で輝くまちづくりに資する事業(増減理由)令和4年度は、合併市町村振興基金について対象事業への基金繰入により残高は減となった、施設整備基金においては、本庁舎のリニューアル事業、前畑崎辺道路整備事業などに充当したことから減となった。また、ふるさと納税寄附金を原資とするふるさと佐世保元気基金において、寄附金の増に伴い増となった。(今後の方針)施設整備基金:今後策定される公共施設の再編に関する実施計画に基づき計画的に運用していく。ふるさと佐世保元気基金:寄附者が寄附の際に選択された4つの活用方法に沿った運用を行う。
有形固定資産減価償却率は、類似団体内平均値より高い水準にある。これは、類似団体よりも多くの資産を持っているためで、「佐世保市公共施設等総合管理計画」に基づき、計画的な施設の集約・更新を推進しているところである。しかしながら、全国平均並びに県平均との乖離は依然としてあるため、今後、集約・更新を加速するために「佐世保市公共施設等総合管理計画」の見直しに着手している。
債務償還比率は類似団体平均を下回っており、主な要因としては、計画的な地方債の借入および交付税措置の高い地方債の借入を行ったことなどにより将来の負担を抑えていることなどが要因と考えられる。
将来負担比率は発生していない一方、類似団体内平均値との有形固定資産減価償却率の差は前回の1.3ポイントから1.6ポイントに拡大している。有形固定資産減価償却率の分析は上記のとおりであり「佐世保市公共施設等総合管理計画」の見直しを行い、公共施設の適正な管理に努めていく。
実質公債費比率は類似団体と比較して低い水準にあるが、令和3年度は令和2年度と比較して0.2ポイント上昇した。これは、合併特例債などの交付税措置の大きい地方債の元利償還金が減少したことなどによるものである。今後も実質公債費比率は上昇する見込みとなっており、これまで以上に公債費の適正化に取り組んでいく必要がある。
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