経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、③流動比率R03の経常収支比率は、給水収益以外の事業収益が減少し、さらに事業費用が増加したことから、前年度を0.34ポイント下回る数値となっているが、流動比率は昨年度同様に類似団体との比較では平均を下回っているものの、一時借入金もなく、100%以上を維持できている。②累積欠損金比率、⑤料金回収率調査期間の5年間において欠損金は生じておらず、給水に係る費用を料金で賄えている。④企業債残高対給水収益比率企業債残高は増加したものの、給水収益が増加したことにより比率は0.62ポイントを改善している。ただし、類似団体平均値は上回っており、給水収益の約5倍となっている。⑥給水原価経常費用が増加したことにより、前年度から1.61円増加した。類似団体平均値を上回っており、これは本市の地理的特性により施設数が多く、資本費及び維持管理に係る経費が高くなっていることが大きな要因である。⑦施設利用率類似団体平均値を上回っているものの、配水量の減少により利用率が減少している。⑧有収率漏水調査や老朽管の更新等の有収率向上のための取組みにより、R02と比べ0.89ポイント上昇した。類似団体平均値をわずかに下回っているものの、有収率は近年上昇している。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率H26には新浄水場の完成に伴い類似団体平均値を下回ったものの、年々資産の老朽化が進んでおり、H28以降は類似団体平均値を上回っている。②管路経年化率R3はR2同様に類似団体平均値を下回っているものの年々上昇している。老朽管を積極的に解消することで、率の増加については類似団体平均値より低く抑えることができた。③管路更新率R3はR2に比べて更新延長は若干多かったことから更新率は増加したものの、類似団体平均値を下回った。
全体総括
前回の料金改定から10年以上が経過しているが、一定の純利益を確保し、経営の面では健全性は保たれてはいるものの、人口減少などにより長期的に見ると給水収益が減少傾向にある。また近年、浄水場や基幹配水本管の更新を行っていることから、財政的弾力性が逓減傾向にある。老朽化の状況においても、管路経年化率は類似団体平均を下回っているものの、機能維持のための適切な管理・更新を行っていく必要がある。さらに、地理的特性により施設数も多いことから、今後アセットマネジメントシステムの運用の中で、可能な限り施設の統廃合や長寿命化等によるライフサイクルコストの低減など投資規模の最適化について検討し、「水の安定供給」と「健全経営の持続」を両立させるための方策の検討を進めていかなければならない。