経営の健全性・効率性について
経営の健全性・効率性において、「①経常収支比率」は継続して100%を超えており、健全な水準が保たれている。「⑤料金回収率」は前年度より1.65ポイント低下した。これは給水収益が減少したためで、減少要因として、前年度は新型コロナウイルス感染症対策の影響で一時的に増加したが、規制緩和により例年通りの生活に戻りつつあることが考えられる。「④企業債残高対給水収益比率」は、計画的な償還により企業債残高が減っているため、減少傾向が続いている。今後、人口減少や節水型機器の普及等により、給水収益はさらに減少していくと見込まれるため、業務の外部委託による人件費の削減、水道施設の更新に合わせたダウンサイジングの検討など、経営の健全化・効率化に努める。「⑧有収率」は類似団体平均値を7.20ポイント下回っており、低水準で推移している。有収率が伸びない要因の一つとして、老朽管等からの漏水などが無効水量になっていることが挙げられる。今後もより効果的な漏水調査を行い、有収水量の向上を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
管路の多くは、1960年代から高度経済成長期に拡張事業として布設されており、今後、2040年代をピークに老朽管が増加する傾向にある。全ての管路を更新するためにかかる期間は、平成30年度以前管路更新率0.7%から算出すると約140年となり、多くが老朽管となってしまう。そこで、速度を上げ効率的かつ効果的に更新を進めるために管路更新計画を作成し、平成30年度に料金改定を行った。計画的に管路更新を進めているが、基幹管路や重要管路を優先的に更新しているため、投資額に対して更新ペースが上がらず、「①有形固定資産減価償却率」や「②管路経年化率」が増加し、「③管路更新率」は減少して類似団体平均値を下回っている状況である。基幹管路の更新は令和4年度に終了する予定であり、その後は管路更新率が徐々に増加するものと考えている。
全体総括
経営状況については、概ね良好な状態であるが、給水収益の減少を見据え、経費の削減及び有収率の向上に努める必要がある。また、老朽化の状況については、多くの配水管が耐用年数を迎えており、効率的な管路更新を進める必要がある。これらの状況を踏まえ、引き続き管路更新計画に基づいて老朽管更新に取り組んでいくとともに、経費の削減やダウンサイジングの検討等より経営の健全化に努める。