経営の健全性・効率性について
令和3年度は，経常収益，経常費用ともに増加し,経常費用の増加率が経常収益の増加率に比べ大きくなりました。①経常収支比率，⑤料金回収率ともに前年度から減少しましたが，類似団体平均値を上回っており，健全な経営状況であると言えます。しかし，無効水量が増加したことで，⑥給水原価，⑧有収率が前年度から悪化しています。③流動比率については，前年度から継続して改善できていますが，類似団体平均値の約半分の値となっており，短期的な債務に対する支払能力を十分備えているものの，依然として，類似団体からは大きく乖離しています。また，④企業債残高対給水収益比率は，過去５年間改善傾向にありますが，類似団体平均値を上回っており，類似団体と比較して企業債への依存度が高い経営体質となっています。今後，収益の減少と経費の増加が見込まれているため，財務状況改善に向けて，より一層の費用削減と有収率の向上に取り組む必要があります。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び②管路経年化率は，数値が高いほど資産や管路の老朽化が進んでいることを示す指標であり，類似団体平均値を下回っているものの，年々老朽化が進んでおります。③管路更新率は，管路の更新ペースを示す指標であり，類似団体平均値を下回っております。現在，本市では，アセットマネジメントにおいて重要度及び優先度を高く設定した，事故影響度の大きい大口径管路の更新を優先して実施しているため，更新率は伸び悩んでおります。今後の施設及び管路の更新は，法定耐用年数を基準とするのではなく，それぞれの老朽度やアセットマネジメントで設定した重要度及び優先度を考慮した更新基準に基づき，長寿命化及び事業の平準化を図りながら，財源の確保に努め，引き続き，計画的に実施してまいります。
全体総括
現在は，企業債残高対給水収益比率が類似団体と比べ高い値となっているものの，経常収支比率は100％を超え，累積欠損金もないことからおおむね健全な経営が行われています。しかし，給水量は年々減少傾向にあり，今後高まる更新需要においても安定した経営を持続していくために,令和2年度には料金改定を実施しました。計画的な企業債の借入れにより，料金改定による急激な市民生活への影響を抑え世代間の公平性を図るとともに，中長期的には企業債残高の低減を図ってまいります。また，アセットマネジメントを活用し実態に即した更新を計画的に実施するとともに，より一層の経営基盤強化に努めてまいります。
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