経営の健全性・効率性について
②累積欠損金額はなく、③流動比率とともに類似団体と比較して良好な状況であり、現状は十分な支払能力を有していると言えますが、①経常収支比率は、平成30年度以降4期連続で100%を下回っており、類似団体や全国平均と比較しても低い状況が続いています。このような状況が続けば、③流動比率や②累積欠損金比率の悪化も考えられることから、①経収支比率の早急な改善が必要です。④企業債残高対給水収益比率については前年度に比べ54.32ポイント改善しましたが、類似団体や全国平均と比較して高い水準が継続しており、今後も毎年度必要となる10キロメートルの管路更新に係る財源を企業債に頼れば、更に悪化が見込まれるため、企業債残高や借入利率を勘案して、将来を見据えた借入額とする必要があります。⑥給水原価は、前年度と比べ14.33円増加しており、令和2年度の水道基本料金減免に伴う受水費の免除等を考慮(免除がなかった場合の給水原価は173.21円)しても、なお増加しています。これは、新庁舎建設までの間、仮設庁舎賃借料が増加していること等の影響によるものです。また、⑧有収率は前年度に比べ0.13ポイント増加し類似団体より高く、⑦施設利用率も高いことから、高低差のある市域全体に、水道施設を有効に活用し、無駄なく水を作り配水していることが伺えますが、⑤料金回収率が長期にわたり100%を下回る状況であり、引き続き経営改善・経営基盤強化に努める必要があります。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は類似団体より少し高い水準で横ばいであり、②管路経年化率は前年度に比べ0.81ポイント経年化が進み、類似団体より3割ほど高い水準で増加傾向です。これは、高度成長期に整備した施設が法定耐用年数を迎えていることと、実際の耐用年数を見極めた上で更新していることも要因となっています。令和2年度以降管路更新に係る事業体制の強化を図ったことにより③管路更新率は類似団体平均に近づいてきていますが、まだ類似団体の水準に届かない状況であり、現在の更新目標1.25の半分程度となっていることから、引き続き計画的かつ効率的な管路更新を行っていきます。
全体総括
生活の維持に必要不可欠な水道を安心・安全に供給し続けるためには、中長期的な視点に立った経営基盤強化が重要であることから、平成28年度に策定した「宝塚市水道事業経営戦略」を令和3年度に見直しました。現在、有形固定資産減価償却率、管路経年化率が高い水準であるにもかかわらず、経常収支比率や料金回収率は継続して100%を下回る状況であることから、施設の老朽化に対応する更新投資費用を水道料金収入で賄えていません。今後人口減少により更に有収水量の減少が見込まれる中、安定して事業を継続していくためには、料金改定の検討や更なる費用削減など早急な抜本的対策が必要となっています。将来にわたって持続可能で安心・安全な水道水の供給を行うため、引き続き経営戦略に基づいた事業の実施・進捗管理に努めるとともに、本市の水道事業の現況を利用者の皆さんに知っていただけるよう情報発信に努めていきます。