経営の状況について
経常収支比率について、30年度の値は331.4%であり、前年度より低いものの100%以上で、尚且つ平均値以上である。また、一般会計への繰出金14,000千円を総収益に加えて経常収支比率の値を算出しても、100%以上の値となっている。収益の内訳は、収益のほぼ100%が売電による料金収入であり、繰入金等の料金収入以外の収入への依存はみられない。営業収支比率について、30年度の値は359.5%であり、前年度より低いものの100%以上で、尚且つ平均値以上である。積立金については、30年度は発電所の放水路の補修工事を実施したため、11千円の積立にとどまった。供給原価は、30年度の値は約12千円であり、前年度より原価が上昇したものの平均値より低い値である。EBITDA(減価償却前営業利益)は、38,502千円であり、前年度より低いものの平均値以上であり、類似団体より収益性が高い。また、一般会計への繰出金14,000千円を総費用に加えてEBITDAの値を算出しても正の値である。いずれの指標も前年と比較して成果を落としているが、平均値以上の値であり、良好な運用ができている。前年と比較して成果を落としたのは、補修工事で発電所を一時期稼働停止させたため売電料が減少し収益が減少したこと、前年に発生しなかった消費税及び流水占用料の支払いが発生したため費用が増加したことが要因である。
経営のリスクについて
設備利用率は86.5%であり、昨年度より低いものの、発電型式の設備利用率を大きく上回っている。発電所補修工事の実施に伴い、一時期稼働停止させたことが要因である。修繕比率に関わる施設の軽微な修繕については、発電所を更新して年数が浅いため30年度は発生していない。企業債残高対料金収入費率は、企業債を発行していないため0%である。FIT収入割合は100%である。設備利用率は良好で、修繕も発生していないため、現時点ではリスクは低いと考えられるが、設備の老朽化に伴い、設備利用率の低下や修繕の発生の増加といったリスクが想定される。
全体総括
今年度は、昨年度に比べ成果は下がったが平均値以上の値であり、良好な運用ができていると言える。今後老朽化によりリスクが上昇し、修繕費の発生や設備利用率の低下によって、経常収支比率や営業収支比率の増加が予測される。設備機器ごとの耐用年数をまとめ、どの時期にいくら費用が必要か想定し修繕計画を立案する等、設備の状態を把握する取組が必要である。