経営の状況について
【ごみ発電】売電収入については、ごみ質の状態による発電量の変動はあるが、経営状態は安定している。ごみ処理の安定稼働により売電収入が増となり一般会計への繰出金も増となった。供給原価については助燃材の高騰により経費負担が増加となったが、設備改修等により安定したごみ処理が見込まれる。平成30年度で企業債償還が終了することから廃棄物発電特別会計を廃止し次年度から一般会計に移行する。【風力発電】2基ある風車のうち、1基(2号機)が機器不具合により長期間に渡り運転停止。もう1基(1号機)についても機器不具合により運転停止が頻発し、風力発電の設備利用率は5.9%(平成29年度比▲6.7ポイント)まで低下した。また、経年劣化等による修繕が増加傾向にあり、平成30年度はブレード修繕等の大規模修繕を要したことから、支出が増加した。以上の要因から収入減少、支出増加となった結果、収益的収支比率ならびに営業収支比率が低下した。EBITDAについても同様で、今後は不具合発生の未然防止に努め、設備利用率の増加ならびに修繕費抑制を図ることで、収益性を改善することが求められる。
経営のリスクについて
【ごみ発電】設備利用率は60%程度であるが、全国平均よりも高く、設備点検等により安定した稼働となっている。発電設備のメンテナンス経費はごみ処理事業で負担しており、廃棄物発電事業では特定供給のための配電線路や計量器の更新の経費のみとなっている。これまで大きな修繕はなく、経営に大きな影響を与えていない。料金収入に対する企業債残高の比率は全国平均よりも高く推移しているが、FIT(固定価格買取り制度)移行後は料金収入が増加し経営が安定している。また起債償還は平成30年度で終わることから、将来的な経営リスクにはならないと考えている。【風力発電】設備利用率については、平成30年度においては直近5年間で最低値となっている。これは「1.経営の状況について」においても触れた機器不具合等に起因するものである。修繕費比率については、経年劣化が進んでおり、細部のみならず大型機器に不具合が発生してきている。今後の不具合発生状況によっては、多額の修繕費を要するリスクがある。企業債については、平成29年度に償還完了。FIT収入割合については、100%割合が高く、安定的な収入に寄与する反面、固定価格買取制度の調達期間終了後の収入減少リスクが高いため、当該リスクへの対策を早期に検討していくことが必要と考える。機器不具合の頻発により、設備利用率の低い状況が続いている。今後は不具合発生の未然防止に努め、設備利用率の増加ならびに修繕費抑制を図ることで、収益性を改善することが求められる。
全体総括
風力発電は設備修繕費の増加、長期間の稼働停止等に伴う売電収入の減少などにより経営状況は不安定であるものの、ごみ発電の安定稼働により総合的に見ると安定した経営ができていると考える。ただし、ごみ発電はごみ処理事業の付帯事業として行っていることから、企業債償還が完了する平成30年度をもって、一般会計事業に移行するため、今後の出雲市における電気事業は風力発電事業のみとなることに留意が必要である。なお、風力発電事業に係る企業債は平成29年度で償還が完了したことから、設備稼働率の増加ならびに修繕費の削減を図ることで、収益の確保は可能であると考える。ただし、FIT収入割合が高く、固定価格買取制度の調達期間終了後の収入減少リスクが高いため、当該リスクへの対策を早期検討していくことが必要である。経営戦略については、ごみ発電は一般会計事業への移行のため、策定しないこととしている。風力発電(キララトゥーリマキ風力発電所)は、平成15年2月24日に運転を開始しているが、財務省が定める固定資産の法定耐用年数(17年)が令和元年度までとなっているため、当該年度における設備や発電状況を踏まえ、その後の経営判断を行うこととしている。経営戦略についても、これに合わせて策定の検討を行う予定である。