経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は100%を上回って推移していたが、今年度は100%を下回ることになった。これは、コロナ対策として使用料を3か月無料とした結果、使用料収入が大幅減となったためである。収益には使用料収入に加えて一般会計からの基準外繰入も含まれており、それも大幅に増加したものの、前年度より悪化した。④企業債残高対事業規模比率は、新たな起債の発行を行っていないことと、償還に要する資金の全額を一般会計が負担することとしたことから0%となっており、企業債への依存度は低い。機器の維持管理を職員で行うなど経費の削減に努めているが、清掃費や補助金等の費用が増加したことから、前年度と比較すると⑥汚水処理原価は上昇した。また、使用料収入は前年度より大幅減となったことから、⑤経費回収率は低下した。⑦施設利用率は類似団体平均よりも高く一定の水準を保っており、効率的運用がなされているといえる。⑧水洗化率は100%に達してしており今後の大幅な収益力向上は見込めない。引き続き、地道な経費削減努力を継続するとともに、使用料の適正化に係る検討を行うことで、安定的な事業運営を目指す。
老朽化の状況について
個別排水処理事業は、各家庭に設置した浄化槽で汚水処理を行い川や水路に排水しているため、処理場や管渠を有しない。供用開始が平成8年であるため、現状深刻な老朽化には至っていないが、維持管理に係る経費削減に引き続き取り組みながら、浄化槽の最適な管理方法を検討していく。
全体総括
高野町では、公共下水道・特定環境保全公共下水道・農業集落排水・個別排水処理・生活排水処理と下水道事業を展開しており、下水道の普及啓蒙に努めている。この結果、類似団体平均をを大きく上回る水洗化率を達成している。個別排水処理事業は、各戸設置の合併浄化槽を町が維持管理し、山間部の汚水処理を行っている。当年度は使用料減免の影響により経費回収率は悪化したが、収益的収支比率は一般会計からの繰入によって比較的高い水準にあることから、経営状態は比較的安定しているといえるが、汚水処理原価が高く、汚水処理に係る費用を使用料収入で賄えていないため、事業運営は一般会計繰入金なしでは成り立たない状況である。安定した事業運営を目指し、今後も原価の削減に努めるとともに、使用料の見直しについても検討する必要がある。