地域において担っている役割
兵庫県北西部に位置し人口減少及び高齢化が進む地域において、市内唯一の急性期病院であり、へき地拠点病院の指定を受けている当院は診療所では提供が困難な救急・急性期医療を提供していくことに加え、地域包括ケアシステムの基幹病院としての役割も担っている。
経営の健全性・効率性について
地域の医療ニーズに沿った病床数・病床機能に見直し、地域完結型の医療を確立するため1病棟を急性期から回復期に機能変更した。また、大学医局との連携強化による医師確保に努め、医療体制の充実・救急患者受入体制の強化を図った。これらの患者確保に努めた結果、前年度比で入院患者数は約14%の増、外来患者数は約5%の増となり、収益全体では304,480千円の増収となった。収益が大幅に増加したことにより、経営分析上の数値は、それぞれ改善している。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は69.8%と平均値を15.2ポイント上回っている。平均値との差が大きく、施設・設備の老朽化が進んでいる状況である。特に医療機器の老朽化が進んでおり、減価償却率は82.5%と高くなっている。現病院は建築後35年が経過し、老朽化や新しい設備を導入する場所がない等の状況になっている。現在病院建替え事業を進めており、長期的・計画的な設備投資を行っていく。
全体総括
平成29年3月に策定した「公立宍粟総合病院改革プラン」の着実な履行により、令和元年度は38,184千円の純利益となり、平成9年度以来、22年ぶりの黒字を確保することができた。今後も引き続き当地域の特定中核病院として、二次救急医療や周産期医療の提供、また、市内で唯一の病院として本市の地域包括ケアシステムの中核を担う医療機関として、急性期から回復期における診療を行うとともに、退院後の在宅医療まで一貫した地域完結型医療を構築し、市民に安全で安心な医療を提供する。