経営の健全性・効率性について
当該事業の経営にあたっては、使用料収入料で賄えることが理想だが、現在その30%~40%を料金収入、残りを一般会計からの繰入金により賄っている。収益的収支については、収支率100%を下回る赤字状態となっている。H25~H28までは80%を上回っていたが、H29は71.36%と減少している。企業債残高対事業については、近年、類似団体よりも高い傾向にある。建設当時の借入金償還はH36の完済に向けて減少していくため、事業規模率はH33以降減少すると分析している。施絶利用率については、定住・観光人口の減少により設置当時より使用人口が減少しているため、施設の処理能力が1日当たり451㎥であるのに対しH29の汚水処理量は1日平均67㎥と下回っている。これについては、現在進めている処理施設の更新工事において、現状に見合った処理能力に見直しているため、改善されると分析している。使用料収入については、水洗化率100%徴収率も100%で滞納もない状態であり、汚水処理原価は類似団体と比較しても過去5年平均約320円と若干抑えられているが、使用料単価はH29実績で約114円と低いため、今後料金改定等により経営健全化を図っていく必要はあると考える。
老朽化の状況について
H7の供用開始から、約20年経過した中、H26からH27にかけて、集落排水処理施設(排水処理場、中継ポンプ場、官渠)の健全度調査を行い機能保全計画を策定した。排水処理場については、機器等の老朽化が著しいため、H28より更新工事に着手している。官渠については、調査の結果、4箇所のマンホール蓋を除き、健全度が保たれているため、現在のところ、改築又は更新計画はない。
全体総括
経営健全化の手法として、人件費削減、広域化による施設統廃合の改善等があるが、当該事業は受益戸数が100戸に満たない小規模なもので、人件費は一般会計事務の職員が兼務しており、予算計上されていない。普及率及び水洗化率はともに100%で、使用料の徴収率も100%である。今後の広域化による公共下水道との施設統合は、集落が遠方で孤立しているため不可能である。経営健全化対策としては、現在進めている処理施設の更新工事において、処理能力及び処理方式を見直すことにより、更新工事費および電気料や汚泥引抜料の維持管理費の削減を図っていく。