経営の状況について
RPS法に基づく1kWh当りの売電契約単価は現在7円のため温泉設備使用電力量を差し引いた余剰電力量が売電収入となり年間2,700千円程度である。現状の本事業では維持管理費を含めると年間500千円の黒字ではあるが、設備の老朽化が進んでおり、今後の修理や設備更新費用を賄うことが出来ていない。ただし、上記に加え温泉設備に使用している電力量として、約25kWh×24h×365日=219,000kWh/年×約12円/kWh=2,628千円程度の電気料金削減に寄与している。令和4年度から老朽化している設備を一式更新し、発電量を全量FIT契約単価売電(1kWh当たり27.5円)することにより、年間売電収入が約19,000千円となる。年間発電所支出経費と温泉設備受電電力料金を差し引いても、点検や電気設備消耗品の取り替えが多い年で年間3,328千円、最大では年間12,746千円の事業収入が確保できる。このため設備投資金額は14年目で回収できる予定である。20年間の累積利益は約57,000千円となる予想である。20年間のFIT期間終了後は、入札による売電契約による収益と温泉設備や村役場への自己託送、余剰電力売電による収益等を比較し、事業運営として、最善のとなる経済性の方法を選択する。
経営のリスクについて
取水量により発電量が左右されることから、特に降雪量が少ない年など渇水により、発電量が落ち、売上が減少する可能性もある。また取水設備の除塵機電源に小水力発電機を使用しているが、故障頻度が多く、除塵機の停止期間を多いことから、小水力発電機の取替または、一般配電線からの受電に切替が必要となってくる。投資費用と修理費用および回復電力量を考慮して実施の可否を検討する。
全体総括
馬曲川発電所は、馬曲温泉公園施設の一部として開発された経緯があり、地域振興事業であった。現在も温泉施設の一部の電気を供給しており、メンテナンスなどを地元企業に外注することで地域創生に寄与している。改修後は全量FIT売電となるが、FIT売電期間終了後は自己託送を利用することで、馬曲川発電所で作った電気を温泉や役場で使用することができ、電気の地産地消になる。