経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率及び⑤経費回収率から見ると、両指数とも100%未満であり、総費用は、総収益の約82%以上を占める一般会計繰入金により運営し、また、それぞれの施設間も距離があるために統合することは難しい状況にある。従って、今後は料金の見直しによる使用料収入の増額を目指すと同時に、維持管理費等の営業費用の可能な限りのコスト縮減等に努めることが何よりも重要である。⑥汚水処理原価についても、類似団体の平均値と比較しても高い数値となっているが、こちらも維持管理費用が大きく影響しているため、前述同様の手立てを講じていく。④企業債残高対事業規模比率については、投資規模に比べ料金収入が低いため、類似団体平均値の約6倍となっているが減少傾向にある。近年は企業債借入をしていないため、減少傾向は続いていく。⑦施設利用率については、全3施設のみの稼働で新たな施設稼働はないことから、ほぼ横ばいで推移すると予想される。⑧水洗化率については、現状ほぼ100%に近くこれ以上伸びる要素は見当たらない。逆にほぼ人口流入が無い区域ばかりで高齢化率も高いことから、今後は死亡に伴う減少傾向が懸念される。
老朽化の状況について
当町の漁業集落排水は現在全3処理区域が供用開始済みとなっているが、一番最初の処理区域は平成14年度からの供用開始で、その管渠整備は平成9年から開始しており、つまり最も古い管渠で約21年が経過しようとしている。管渠の耐用年数は50年であり、前述のように一番古くても半分以下の経年数であることから、耐用年数の観点からも現状として管渠の更新投資・老朽化対策は実施していない。長期的な視点から考えると、当然耐用年数である50年を目途に実施する必要性は承知しているが、単純に耐用年数どおりに更新するのではなく、事前にそれぞれの区域ごとに順次点検業務を行い、その時々の状況に最も即した更新投資や老朽化対策を計画・実施していくことが肝要と考えている。
全体総括
当町は現在、漁業集落排水の全3処理区域が供用開始済みとなっているが、それぞれ施設規模や地域特性等の関係もあり、そのことが各指数にも顕著に表れた状況となっている。特に収支については農業集落排水以上に使用料金だけで全く支出を賄い切れず、一般会計繰入金の補填無くして会計を存続することは不可能な現状となっている。従って、前述のとおり今後の対応として、料金の見直しによる使用料収入の増額を目指すと同時に、維持管理費等の営業費用の可能な限りのコスト縮減に努め、一般会計繰入金のより一層の抑制を念頭に置いた適切な運営を心掛けていく。併せて、それぞれの区域ごとに点検業務を行い、その時々の状況に最も即した更新投資や老朽化対策を計画・実施し、長期的に持続可能な漁業集落排水事業を推進していく。